about

ふるさと応援H(英知)
プログラムとは?

昨今、地球環境の危機が叫ばれ、食料問題やエネルギー分野をはじめとして、
人々の健やかな暮らしを左右する多くの社会課題に直面しています。

こうした中、200%を遥かに超える食料自給率の高さや、
国内随一の再生可能エネルギーの豊富さを例に挙げるまでもなく、
この大地が内に秘める多様な潜在力に目を凝らす時、日本のみならず世界が抱える社会課題に向き合い、
その持続的発展に向けて、北海道の果たす役割は、今後さらに大きくなっていくに違いありません。

エア・ウォーター北海道は、北海道の有する、その限りない潜在力と可能性を念頭に、
この“北海道”を基礎的自治体として支えている「市町村」の担う大切な役割に着目し、
道内全179市町村を対象に、
寄付支援制度「ふるさと応援H(英知)プログラム」を創設することとしました。

requirements

公募要項

2024年度

応募対象者

北海道内の179市町村

寄付の対象となる事業について

下記に記載する2つの条件を満たす事業とします。

  1. 当社グループの成長軸である「地球環境」と「ウェルネス」の観点を含め、様々な社会課題の解決に貢献する事業
  2. 原則2025年度に実施する事業とし、2025年度以前より継続している事業も対象とします。
    (2024年度に終了する事業は対象外)
  3. 総事業費にかかわらず、事業に対する本プログラムによる寄付金の効果が明確な事業

寄付金を交付する事業の選定について

応募期間内に募集があった事業の中から「ふるさと応援Hプログラム推進委員会」によって採択いたします。

ご応募について

2024/9/30、2024年度の応募を締め切りました。

企業版ふるさと納税

寄付の対象とする事業が内閣府による「地域再生計画」の認定を受けている場合、寄付の実施に当たり「企業版ふるさと納税制度」を利用することがあります。
※詳しくは下記の「公募要項」をご覧ください。

審査基準

交付する事業の審査は、次の視点を考慮しながら「寄付することが適当」と認められたものを総合的に判断します。

審査項目 審査の基準
① 持続性 一過性の活動ではなく、継続的な取り組みになることが期待される。
また、寄付実施後、自立的に持続する仕組みの確保、工夫がされている。
② 波及性 他の地域や組織がこの取り組みを参考にすることで、
同様な取り組みが面的に広がっていくことが期待される。
③ 創造性 課題に対する新たな視点で、オリジナリティある取り組みを展開している。
④ 協働性 様々な地域の主体と連携し、多くの住民の参画を得ながら取り組んでいる。
⑤ 地域への貢献 地域資源の活用など地域の特性を活かした事業で、
住民の満足度、地域活性化に資する取り組みである。
⑥ 将来性 次世代が活躍でき将来を見据えている。
北海道の未来に繋がり、新たな可能性を秘めている取り組みである。
⑦ 主体性 運営者が主体的に関与し熱意がある。
本プログラムを活用して新たなことに挑戦する。

公募要項等のダウンロード

2024年度「ふるさと応援H(英知)プログラム」の公募要項を公開しました。

schedule

スケジュール

2024年度

  • 2024
    6/3

    公募要項の公表

  • 2024
    9/2〜9/30
    13:00

    応募申請書の受付締切

    締切日までに応募申請フォームより直接入力してください。

  • 2024
    10月下旬

    一次審査

    「ふるさと応援Hプログラムサポート会議」にて一次審査を行います。

  • 2024
    11月上旬

    プログラム推進委員会

    プログラム推進委員会の審査により、最終的に交付する事業を決定いたします。

  • 2024
    12月下旬※1

    選定結果の発表

    ホームページで公表いたします。

  • 2025
    3月末まで

    寄付金の交付

    年度内に寄付金を交付いたします。

  • ※1 結果は2024年12月下旬までに公表を予定していますが、前後する可能性がありますので予めご了承ください。結果はホームページにて公表させていただきます。また、各市町村の事情に関わらず、電話やメールで合否の問い合わせをすることはご遠慮ください。
  • ※ 受付期間を過ぎての受付はしておりませんので、予めご了承願います。

member

選定委員

推進委員

  • 写真:磯田 憲一

    一般財団法人 HAL財団理事長

    磯田 憲一

    isoda kenichi

    北海道旭川市出身。
    明治大学法学部卒業後、北海道庁入庁。
    上川支庁長、総合企画部長を経て北海道副知事に就任し、2003年に退任。現在、一般財団法人HAL財団理事長、公益財団法人北海道文化財団理事長、東川町・北工学園理事長、君の椅子プロジェクト代表等を務める。

  • 写真:秋山 孝二

    公益財団法人 秋山記念生命科学財団理事長

    秋山 孝二

    akiyama koji

    北海道札幌市出身。
    千葉大学教育学部卒業後、中学理科教諭を経て株式会社秋山愛生館に入社。その後、株式会社スズケン代表取締役副社長等を歴任し、1996年に公益財団法人秋山記念生命科学振興財団理事長に就任する。

  • 写真:三島 敬子

    NPO法人Fit北海道会議理事長

    三島 敬子

    mishima keiko

    北海道大樹町出身。
    日本女子体育短期大学卒業後、株式会社セントラルプロモーション北海道代表取締役等を歴任。
    現在は、NPO法人Fit北海道会議の理事長、一般社団法人おおば比呂司アートコレクション代表を務める。食と観光のブランドの開発や指導など、地域活性化に尽力している。

  • 写真:篠原 結城子

    公益財団法人 北海道文化財団事務局長

    篠原 結城子

    shinohara yukiko

    北海道札幌市出身。
    藤女子短期大学卒業後、北海道庁入庁。
    環境生活部文化局局長や人事委員会事務局長次長を歴任する。2021年より公益財団法人北海道文化財団事務局長として、道内の文化や芸術の振興等の事業を推進する。

サポート委員

  • 写真:井田 芙美子

    株式会社いただきますカンパニー代表取締役

    井田 芙美子

    ida fumiko

    北海道札幌市出身。1980年生まれ。
    帯広畜産大学卒業後、足寄少年自然の家、然別湖ネイチャーセンター、十勝観光連盟を経て2012年3月に日本初の畑ガイド場を開始。女性起業家ネットワーク十勝〇〇婦人部代表、留学支援事業「北海道みらいチャレンジ」パートナーズリーダー、HBC「今日ドキッ」コメンテーターなど幅広く活動中。

  • 写真:中西 拓郎

    一般社団法人ドット道東代表理事・プロデューサー

    中西 拓郎

    nakanishi takuro

    北海道北見市出身。1988年生まれ。
    一般社団法人ドット道東代表理事。2012年北見市にUターンし、フリーランスとしてローカルメディア運営・編集・プロデュースなど幅広く道東を繋ぐ仕事を手掛ける。2019年5月、北海道の東側・道東地域を拠点に活動するソーシャルベンチャーとして社団法人を設立、現職。

  • 写真:中尾 敦

    公益財団法人はまなす財団事務局長

    中尾 敦

    nakao atsushi

    北海道帯広市出身。
    青山学院大学国際政治経済学部卒業後、北海道庁入庁。
    株式会社リクルート、北海道開発局、木古内町への出向後、鉄道課長、航空課長、広報課長、観光局担当局長を歴任し、2023年に道庁を53歳で早期退職。現在は、公益財団法人はまなす財団で全道の地域づくり活動支援に従事している。

  • 写真:伊東 和紀

    一般財団法人 HAL財団

    伊東 和紀

    ito kazuki

    北海道平取町出身。
    1974年北海道庁入庁。後志支庁長、人事委員会事務局長、危機管理監を歴任する。退任後は株式会社HBA常務取締役に就任。2020年より一般財団法人HAL財団にて、北海道の地域活性化に尽力している。

result

選定結果

2024年度選定事業

2024年度実績

応募
自治体
応募
事業数
寄付
件数
寄付
総額
54
市町村
61
事業
19
事業
12,999
万円

推進委員会の総評

一般財団法人HAL財団
理事長

磯田 憲一

今回の要項から、応募のために十分な検討期間を設けるとともに、上限1,000万円の事業に加え、事業費が少額でも知恵やアイデアによって地域の皆さんの豊かな暮らしにつながるような事業にも光を当てていきたいとの思いから、追加事業の制度を設けたところです。幸い、前回を上回る応募があったところであり、今後とも、このHプログラムが、市町村が抱える課題に共に向き合う制度として定着していくよう努めていく所存です。

公益財団法人 秋山記念生命科学財団
理事長

秋山 孝二

申請案件の中には、単年度でやり切るよりも複数年度で時間を掛けて組み立てた方がよいものも散見されました、言い換えるともう少し中・長期的な計画で取り組む方が活動の質が上がり活動主体自体の満足度も上がるような気がします。発想がユニークな案件は大変興味深いのですが、それを継続していくことによって一層活動の深化・アウトカムの質も向上すると思われます。行政担当者は数年で代わりはしますが、地域で暮らす人々は申請したプログラムに参加することが活動のスタート、いかに持続可能な生活者のプログラムにしていくかの視点も、行政に携わる方々としては重要な気がします。

NPO法人Fit北海道会議
理事長

三島 敬子

今年はハード系事業(購入中心事業)&委託事業(依存型事業)が目につきました。

  • 地域のため行政と住民・企業がしっかりと連携しているか
  • 地域の安全で安心できる豊かな暮らしに貢献していけるか
  • 地域の子供たちの未来のため育てる事業目標が具体的に検証できているか等・・

しっかり考え、次の一歩として地域力[デザイン力・マネジメント力・プロデュース力など]を経営ノウハウをもって磨き育てていってほしいと期待しております。

公益財団法人 北海道文化財団
事務局長

篠原 結城子

医療や交通手段の確保など地域にとって待ったなしの課題解決や、委託事業の割合が高いプロジェクトのご応募も多いなど、市町村の厳しい実情を知る機会となりました。一方、マチの魅力の再発見や地域の担い手となる子ども達に向けた手作りの事業もありました。実績報告では、小さくても確かな一歩を期待しています。

サポート委員の総評

株式会社いただきますカンパニー
代表取締役

井田 芙美子

2年目ということで申請事業のレベルが大変上がったと感じます。多様な社会課題解決のアイディアがあり、日々これらの課題に向き合う自治体の皆さまに、改めて感謝の気持ちがわきました。協働は大切ですが丸投げは持続しない…その見極めが非常に難しいと感じています。自由度高く活用できる貴重な寄付事業なので、思いある方にご活用いただき、これを機に地域の課題解決を加速していただければと願っています。個人的には“娘たちが帰ってこられる北海道にする”をライフワークに活動しています。ぜひ、未来ある若者たちが帰ってきたいと思ったときに帰ってこられる北海道を、ともに作っていただければ幸いです。

一般社団法人ドット道東
代表理事・プロデューサー

中西 拓郎

今年度もたくさんのご応募ありがとうございました。さまざまな事業を拝読させていただく中で、北海道の課題は地域で共通のものが多いということを感じました。本プログラムがきっかけとなり、地域独自の取り組みがさらに飛躍していくことと、北海道内で共通の課題が自治体間の連携でより多く解決していくことを期待しています。

公益財団法人はまなす財団
事務局長

中尾 敦

2回目となる今年度も、意欲的な提案が多く寄せられ、申請書の読み込みにも力が入った。今回は、地域住民や域外パートナーとの連携を意識した内容も多く、今後の地域共創社会の推進に向けた可能性を感じることができた。一方で、事業終了後の持続性に関しては、総じて具体性な記述にかけるものが多く、今後に向けた課題と感じた。

一般社団法人HAL財団

伊東 和紀

今年度は、計画の時間が十分あったせいか、昨年度に比べてよく検討されたものが多く、支援対象を絞ることは大変難しかった。その反面、これまで継続してきた事業をそのまま支援対象として申請しているものや他の団体の実施事業への支援の肩代わり的なものなども見受けられた。これらについては、今後は更なる工夫を期待したい。提出書面だけでは、審査の各項目に点数を付けるには情報が不足しており、審査の簡素化を検討すべきと感じた。

2024年度選定事業一覧

自治体名 事業区分 事業分類 事業名 寄付金(万円) 寄付企業
1. 羅臼町 一般 その他 世界自然遺産「知床」の海を守る海中ゴミ回収事業 564 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
2. 東川町 共同 福祉 介護福祉士教育現場におけるDX事業 1,000 エア・ウォーター・ライフサポート㈱
3. 小樽市 共同 医療 小樽・後志救急医療連携事業 1,000 エア・ウォーター・ライフサポート㈱
4. 津別町 一般 脱炭素 地域未利用材の木質バイオマスを用いた地域熱供給 1,000 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
5. 恵庭市 一般 インフラ デジタルツインによる舗装アセットマネジメント事業 700 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
6. 滝川市 一般 教育 生きる力を育むたきかわっ子ワクワクまなびプログラム 1,000 エア・ウォーター西日本㈱
7. 上富良野町 追加 観光 花の百名山富良野岳高山植物ガイドブック制作事業 300 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱
8. 日高町 追加 教育 町民学芸員と目指す【郷土愛あふれる日高町】実現事業 216 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
9. 石狩市 一般 交通 スクールバス・デマンド交通等地域公共交通再編事業 1,000 エア・ウォーター西日本㈱
10. 幕別町 一般 教育 子育て家庭への読書文化の醸成応援事業 99 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
11. 中川町 追加 林業 地域内での木材加工による製材活用事業 300 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱
12. 三笠市 一般 脱炭素 バイオマス作物栽培による食のまちづくり推進事業 1,000 エア・ウォーター東日本㈱
13. 新ひだか町 追加 教育 新ひだか町図書館・博物館10周年記念絵本制作事業 250 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱
14. 厚真町 一般 林業 森林を活用した体感型企業研修による関係人口創出事業 770 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱
15. 旭川市 一般 起業 旭川市スタートアップ・エコシステム構築プロジェクト 1,000 エア・ウォーター東日本㈱
16. 登別市 一般 漁業 登別海岸藻場再生×ブルーカーボン推進事業 1,000 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
17. えりも町 共同 観光 映画「北の流氷」(仮題)製作事業 500 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱
18. 積丹町 追加 観光 環境と社会の未来を創る積丹型エコツーリズム推進事業 300 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱
19. 美瑛町 一般 農業 地域内農業残渣の熱利用モデル化事業 1,000 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱

2024年度選定事業

羅臼町

事業区分
一般
事業分類
その他
事業費
564万円
寄付額
564万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

世界自然遺産「知床」の海を守る
海中ゴミ回収事業

世界自然遺産地域内や隣接する海域では、時化や流氷等により漁業用の網等が流出し海中に放棄され、魚類や鳥類などのゴーストフィッシングを引き起こしているためこれを回収します。手作業で回収可能なゴミはダイバーが回収し、それ以外は地元漁業協同組合の協力を得て回収します。将来はダイビングによる海中ゴミの回収をサステナブルツアーとして商品化すること考えており、国内外の旅行者を対象にモニターツアーを開催して市場調査を行います。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

羅臼町は、北海道の東北端、知床半島の東側に位置し、町域の約95%が森林で占められている。平成17年にユネスコの世界自然遺産に登録された雄大な自然環境があり、特徴ある原始的景観が現存している。

海の豊かさでは全国でも屈指のエリアであり、漁業が基幹産業となっている。スケトウダラ、秋サケ、ホッケ、羅臼昆布、エゾバフンウニなど、通年の水揚げがあり、町の特産品となっている。これら自然環境を活かしたホエールウォッチングやバードウォッチング、トレッキング等が楽しめるため、年間50万人程度の観光客が訪れている。また、北方領土の国後島が約24kmの距離にあり、全国の中高生が北方領土学習で訪れている。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

知床の海では、流氷がもたらす恵みを基礎とした食物網を通じて、シャチやトドなどの哺乳類やオオワシやケイマフリなどの鳥類、シロザケやスケトウダラなどの魚類など、多種多様な生き物が暮らしている。世界自然遺産に登録された際も、海の豊かさが高く評価された。

漁業は羅臼町の基幹産業である。資源保護を目的とした地元漁業者による操業の自主規制が行われており、その内容は国際的にも高く評価されている。このように、地元漁業者は環境保全に配慮した操業を行っているものの、時化や流氷等によりやむを得ず網等が海中で流出してしまうことがある。放棄された網等には、魚類や鳥類が絡まって死亡するなど生き物への影響が懸念されている。

本事業実行後に期待される効果

将来的に、商品化したサステナブルツアーの販売によって、継続的に海中ゴミの回収を実施することを目指す。これによって、世界自然遺産「知床」の豊かな海洋環境を保全するとともに、観光業の活性化や地域振興を図る。また、観光業で環境問題を解決する先進事例として広くPRすることが期待できるほか、地元漁業者等の更なる意識向上にもつながることが予想される。

2024年度選定事業

東川町

事業区分
共同
事業分類
福祉
事業費
1,293万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

介護福祉士教育現場におけるDX事業

介護福祉士を目指す学生は約30年前の古い教材を利用しており、若者世代にとって魅力あるものとは言えず国内外の学生を集めることが難しい状況です。そこでDXが進行する介護分野における最先端の教育機器のロボットや電動機器類を導入し、最新の実践的なスキルを学生たちが学べるようにします。即戦力となる人材教育、介護福祉士をキャリア選択する学生の増加を目指す他、導入した機器を活用し地域住民の介護サービスの質の向上も図ります。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

共同申請自治体

東川町、幌加内町、鷹栖町、浜頓別町、愛別町、滝上町、美瑛町、南富良野町、豊富町、湧別町、幌延町、中川町、礼文町、紋別市、中頓別町、津別町、黒松内町、富良野市、比布町、稚内市、共和町、島牧村、剣淵町、中富良野町、和寒町、猿払村、当麻町、西興部村、名寄市、上川町、旭川市、東神楽町、美深町、木古内町、苫前町、枝幸町、初山別村

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

少子高齢化の進行に伴い、農村社会では介護施設の維持が困難となり、施設の縮小や閉鎖が相次いでいます。さらに、若者の都市部への流出、高齢者の都市部への移住が進行し、地域社会の空洞化が進んでいます。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることは自治体福祉の基本であり、そのためには農村地域での人材育成が重要です。特に、介護分野での人材不足が今後さらに深刻化する中、DX化を見据えた介護教育の質の向上が急務となっています。

本事業実行後に期待される効果

本事業導入後、自治体、学校法人北工学園、そしてエアウォーターの連携により、介護福祉分野における人材不足の課題解決に大きな効果が期待されます。エアウォーターが提供するAIやICT機器を活用することで、学生は最先端の技術を学び、実践的なスキルを習得できます。これにより、福祉人材の質的向上が図られ、地域社会の福祉力が強化されるとともに、若者にとっても魅力的なキャリア形成の場が提供されます。この取り組みは、北海道全体、ひいては日本全体の福祉向上に寄与する先駆的なモデルとなり得ます。

2024年度選定事業

小樽市

事業区分
共同
事業分類
医療
事業費
1,286万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

小樽・後志救急医療連携事業

PACS(医療用画像管理システム)と接続して画像の表示、共有さらに画像上への書き込み編集が可能なアプリ「汎用画像診断装置用プログラム join」、またそれに必要な機器類を小樽市立病院、後志管内の医療機関に導入します。チャット・ビデオ通話機能や画像投稿の機能を有し、小樽市立病院と後志管内の医療機関間で救急患者の画像を共有できることで、診断時間の短縮、遠隔でのコンサルテーションの実施が可能になり、不必要な搬送を防ぎます。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

共同申請自治体

小樽市、後志管内市町村

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

脳卒中救急において、救急要請があった場合の発症から医療機関到着までの所要時間は全道平均の51分に比べて、後志圏域は64分と長くなっています。これは脳血管疾患の急性期医療を担う医療機関が小樽市にしかないことに加え、患者が専門医療機関に搬送されるまでに他の医療機関を経由する割合が後志圏域では36.5%と道内で一番高い状況となっているためです。このような状況において、一旦、搬送された医療機関と専門医療機関との間で、画像等を共有することが出来れば、疑わしい症例について画像を通じた適切な診断ができ不必要な搬送が減少します。これにより医師等はもとより、救急隊、さらには患者や患者家族の負担軽減が図られます。

本事業実行後に期待される効果

画像診断を行ったうえで搬送されることで早期治療が実現し、入院日数や医療費の削減、不要な搬送件数の減少、医師の時間外勤務の減少などの効果が期待されます。

導入された医療機関の実績としては、脳血管疾患では診断時間が40分短縮、入院日数が15%短縮、循環器疾患では受入病院において患者到着から手術室へ入室までの時間が約1/3短縮、相談時の医師の呼出しが65.2%削減になったという報告があります。

そのほか、救急隊においては不要な搬送の減少、患者にとっては救急の救命率の向上が期待されます。

2024年度選定事業

津別町

事業区分
一般
事業分類
脱炭素
事業費
3,285万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

地域未利用材の木質バイオマスを用いた地域熱供給

エネルギーセンターを建設し、移転新築する町内の民間特別養護老人ホームおよびデイサービスセンターや他の既存福祉施設に木質バイオマスによる熱エネルギーを24時間供給し、その熱を暖房・給湯に利用する「地域熱供給」を行います。木質バイオマスは地域の林地未利用材を使用し、脱炭素化・域外への資金流出削減に貢献します。本事業は津別町森林バイオマス利用推進協議会が課題整理・研究を行い、熱供給対象の福祉施設の参画も予定しています。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

津別町はオホーツク圏内陸部に位置する、人口約4,000人の小さな町ですが、町の総面積の約86%という広大な面積を森林が占めており、全国で初めて「愛林のまち」を宣言しました。これらの豊かな自然を活かした林業、木材製品製造業、農業、酪農業が本町の主要産業となっています。

また、本町には、道の駅あいおいで販売されている特産品「クマヤキ」、屈斜路湖や雌阿寒岳・雄阿寒岳などを一望できるだけでなく、雲海も見ることができる「津別峠」、森林セラピー基地認定を受けた「ノンノ森」など、観光資源にも富んでおり、全国各地から多くの観光客が津別町を訪れています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

本町は昭和57年に全国で初めて森林資源の持続的な保全・活用を目指す誓いとして「愛林のまち」を宣言した、総面積の86%を森林が占める林産業の町です。

以前から低質な木材はパルプ材として流通しておりましたが、さらに低質な木材である追上材や枝条といった「林地未利用材」は利用価値の低さから山に残され、再造林の負荷に繋がるほか、ネズミの営巣地として木材の食害被害を助長するため林業の課題とされてきました。

本町は林地未利用材の収集システムを構築しており、収集した材を燃料材(ペレット・チップ)等に加工することで公共施設等を主とした地域内のエネルギーに利用し、持続可能なまちづくりに取り組んでいます。

本事業実行後に期待される効果

熱供給については道内でも先進事例がありますが、本町においては、町が建設したエネルギーセンターから民間の福祉施設に対して暖房給湯用の熱源を供給する設備を導入します。エネルギーセンターは公設民営として運営することで経済の活性化に期待でき、民間の活力を生かしながら効率的・持続的な地域熱供給を行う予定です。本町の事業は、公設民営及び民間を含めた地域熱供給の先駆者として、全道への波及効果が期待できます。

2024年度選定事業

恵庭市

事業区分
一般
事業分類
インフラ
事業費
700万円
寄付額
700万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

デジタルツイン技術による
舗装アセットマネジメント事業

住民の日常生活に必要不可欠な道路の効率的、効果的なメンテナンスを可能にする、簡易な路面調査とAIを組み合わせた舗装デジタルツイン技術を、道内での実績が豊富な室蘭工業大学浅田研究室との共同研究により構築します。また、本技術を用いた舗装総点検の実施および舗装アセットマネジメント計画の策定を行います。さらに、本市が主体となりアンケートやパブリックコメントを実施し、市民との協働を意識した計画策定を目指します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

本市は、札幌市と新千歳空港のほぼ中間に位置し、充実した都市機能と美しい田園環境、豊かな自然環境を有しています。恵まれた交通アクセスと穏やかな気候風土を背景に、早くから住宅地整備を進めると共に、公共下水道や大学・専門学校、工業団地などの都市基盤の整備を進めてきたことから着実に人口が増えてきています。さらに、「花のまち」としても知られており、花のまち並み推進事業など道路を軸とした美しい居住環境の形成を推進しています。例年6月下旬には、花をテーマとしたイベント「恵庭花とくらし展・えにわマルシェ」を開催し、ガーデンツアーや花の展示会などが行われています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

本市では、舗装の老朽化とそれにともなう路面損傷も頻発し、住民からの苦情や要望が増加しています。美しいまち並みを次世代に残していくためには、市民と連携しながら、データに基づいた舗装アセットマネジメントを今すぐに始めることが重要と考えています。しかし、職員数や予算の制限から、舗装点検を十分に実施できず、アセットマネジメントは実現困難な状況です。そこで、2021年度に、室蘭工業大学浅田研究室に依頼して、AIを用いた舗装点検やデジタルツインに関する講演会を実施し、その導入に向けて検討してきました。要素技術の構築が進み、アセットマネジメントを展開できる段階に入ったため、この度、共同研究を行うこととしました。

本事業実行後に期待される効果

市民と連携した舗装点検体制が確立され、網羅的な点検データを用いることで、補修効果が高く、優先すべき地区や区間を客観的に設定できるようになります。また、ライフサイクルコスト分析に基づいた維持管理費用の最適化が可能になります。この新たな舗装アセットマネジメント手法を構築し、安全で快適な移動空間、良好な居住環境(悪路による騒音、振動の低減)を確保することで、活気ある持続可能なまちづくりの実現が期待されます。

2024年度選定事業

滝川市

事業区分
一般
事業分類
教育
事業費
1,010万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター西日本株式会社

生きる力を育む
たきかわっ子ワクワクまなびプログラム

時代の変化に対応した新しい学びや情報を得られる機能を導入するプログラムです。

  1. 滝川市版STEAM教育
    こども科学館では教科横断的STEAM+Eco教育の教材を活用したプログラミング学習、ものづくりワークショップを提供し、環境問題へ取り組む人材育成事業を展開します。
  2. キャリア教育
    図書館では学習体験講座、郷土魅力発見につながる探求学習を開催し、社会的・職業的自立に必要な知識・技能と主体的に個性に合う職業を選択する能力を育む事業を展開します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

北海道のほぼ中央に位置する滝川市は、道内の主要都市を結ぶ交通の要衝となっています。札幌、旭川、富良野、日本海エリアまで車で約1時間圏内と交通利便性が高く、滝川市を拠点にした北海道滞在が可能です。中空知エリアの中核都市として、商業施設や教育施設、医療・福祉施設など、生活に必要な機能やサービスが充実する一方で、日本有数の作付面積を誇る菜の花畑をはじめとした、自然豊かな優れた農村景観を兼ね備える、ほどよい住みやすさが感じられるまちです。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

予測困難な時代を迎え、画一的な思想や慣例にとらわれず、自ら様々な課題に向き合い、解決しようとする探求型人材の育成が求められています。滝川の子ども達に、様々な体験を通し主体的に課題を見つけ、考え、調べてまとめる教科横断的な学習の機会を提供することで、楽しく学びながら探究心を育て、将来にわたって社会的・職業的に自立し、夢や希望を持ち自分らしい生き方ができるようなキャリア開発につなげます。こうした能力の育成のためには、学校や家庭、地域との連携が不可欠であることから、学びのサードプレイスである図書館や科学館など市内の社会教育施設と地域の多様な主体が連携し未来を担う「たきかわっ子」を育成します。

本事業実行後に期待される効果

自分の住む地域の地理や歴史、文化、産業などをテーマにして調べることで郷土への関心や興味を深めるとともに、自らの地域の良さを発見することで郷土愛や誇りが芽生え、滝川に住み続けたいと感じてもらうことが期待できます。また、体験活動では、ものづくりや遊び・学びを通じて、創造性を育むほか、職業体験では、ふるさとに働きたい仕事があることを知ってもらうことで将来の定住につなげ、定住人口の確保が期待できます。

2024年度選定事業

上富良野町

事業区分
追加
事業分類
観光
事業費
300万円
寄付額
300万円
寄付企業
エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

花の百名山富良野岳高山
植物ガイドブック制作事業

「花の百名山」十勝岳連峰・富良野岳に咲く高山植物のガイドブックを道内在住の野草愛好家監修のもと制作します。掲載写真は一般登山愛好家などからも募る全員参加型の企画とし、各種デザインは地域の特色に理解のある富良野圏企業に依頼します。完成したガイドブックは有償の頒布とし、町内事業者が経済的恩恵を受けられるように取り組みます。併せてインターネット上の公開ページを整備し、本事業の幅広い周知を図ります。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

上富良野町は、北海道のほぼ中央に位置し、人口約9,800人(令和6年3月末)、面積237.1平方キロメートルの町です。雄大な十勝岳連峰と波状丘陵が織りなす美しい景観が魅力で、町花であるラベンダーをはじめとした色彩豊かな花畑や、極寒地特有の自然現象であるサンピラー、ダイヤモンドダストなどを雄大な景色とともに楽しめる全国でも稀有な町です。山岳トレッキングやスノーシューなど、自然を活かしたアクティビティも豊富で、四季を通じてイベントも盛んに開催されており、ラベンダーの開花に合わせた「ラベンダーフェスタかみふらの」は、毎年約4万人が訪れる人気のイベントとして広く知られています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

毎年6月下旬から9月中旬にかけて、富良野岳の高山植物のハイシーズンになると、高山植物の開花状況や開花場所について、町への問い合わせが多く寄せられます。現時点で、富良野岳の植生について網羅的に紹介されている媒体や発行物が無く、各種SNSや登山情報アプリに投稿されている登山活動日記の情報を元に推測でお答えしている状況です。富良野岳の魅力を多くの人により深く知ってもらうために、正確な情報が掲載された富良野岳高山植物ガイドブックの必要性を強く感じ、本事業の企画に至りました。

本事業実行後に期待される効果

登山者は富良野岳花ガイドブックを携帯することで、富良野岳の高山植物について深く学ぶことができるようになります。山を歩くだけよりも一歩踏み込んだ体験を通じて、富良野岳の魅力をより一層認識してもらうことが期待されます。十勝岳連峰登山は、美瑛町(望岳台)からのルートが注目されがちな状況が続いている中で、上富良野町を起点としたルートにも注目してもらえる取り組みとして非常に有効であると考えています。

2024年度選定事業

日高町

事業区分
追加
事業分類
教育
事業費
216万円
寄付額
216万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

町民学芸員と目指す
【郷土愛あふれる日高町】実現事業

本事業は、日高町にある植物に関連したアイヌ語地名が残る場所に焦点を当てた町民参加型の郷土の魅力再発見事業です。1年目では参加者は現地に徒歩で訪れ、専門家や職員による解説を受けつつ植物のフィールド調査を実施、図書館や郷土資料館にて調査結果の発表を行います。2年目は1年目の調査結果をもとに参加者が学芸員となり研究成果を発表し、事業概要や成果を掲載したハンドブックを一般向け・子ども向けの2種類発行します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

日高町は日高管内の西部に位置する人口約1万1千人の小さな町です。2006年に旧日高町と旧門別町が飛び地合併し、現在の日高町となりました。日高地区と門別地区の間を沙流川が流れ、太平洋にそそぎ、山も川も海もある自然豊かな町です。産業としては、競馬のサラブレッドの生産が盛んで、町内には門別競馬場があります。また、国指定の史跡・アッペツチャシ跡や国の登録有形文化財・飯田家住居、道指定史跡・門別富仁家盛土墳墓群等の文化財があります。

郷土資料館では町内の歴史・自然・文化を展示しています。中でも、町内のシノタイ遺跡から見つかったメカジキの送り場を復元した展示は、アイヌ文化を知る上で貴重な地域資料です。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

日高町には、アイヌ文化に限らず歴史・自然に関して町民でも知らない地域の宝が多い。過去には日高町には郷土の歴史を研究するグループが存在したが、現在は解散してしまっている。町の歴史や自然に対する関心も薄くなり、個人的に学ぶ方がいても、発表の場がない。さらに、事業を効果的に実施するためには郷土資料館の広報力をUPする必要があるが、そのための備品も不足している。日高町の魅力、「日高町らしさ」を町内外に伝え、発信していくことができる人材を育成していくことが今後の日高町の大きな課題の1つといえる。

本事業実行後に期待される効果

事業で経験して得た「学ぶ姿勢、調査・研究方法、プレゼン方法」をもとに、生まれ育った郷土に関する事柄を自発的に学び、町内外にその魅力を発信する人材の輩出や、地域の応援団(ボランティア、郷土史研究会等)が生まれることが大いに期待できます。日高町には国・道指定の文化財の他、当館収蔵資料含め未公開・未活用の文化財が多い。今回の事業を契機に日高町の文化を学ぶことで、郷土愛を醸成することができます。

2024年度選定事業

石狩市

事業区分
一般
事業分類
交通
事業費
1,000万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター西日本株式会社

スクールバス・デマンド
交通等地域公共交通再編事業

浜益区内のデマンド交通事業やスクールバス・混乗事業など移動に係る事業を一元的に担う移動プラットフォームを地域に創出し、1台の自動車でマルチタスクを行い、人的・物的リソースを効率的に動かせる仕組みを構築します。デマンド事業のアナログで属人化していた配車管理や予約管理のシステム化の推進や自動車をバスからワゴン車にダウンサイズし大型免許ではなく1種免許で運転可能とすることで、人的リソースを確保します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

札幌市の北側に隣接し、総面積は722.33平方キロで、西側一帯は石狩湾に接しています。昭和40年代までは、豊かな自然資源を利用した農水産業等の第一次産業が中心でしたが、宅地造成や石狩湾新港地域の開発に伴い、第二・第三次産業が増加。業種別では、第三次産業の卸売・小売業が最も多く、次いで建設業、医療・福祉、運輸業、郵便業となっています。北海道の中でも温暖で四季の変化に富み、台風の影響も極めて少なく、対馬海流の影響による海洋性気候で、冬期間の気温も零下10度以下になることは少なく、寒暖差もそれほど大きくありません。積雪も12月から3月頃までで、最深積雪は120センチ前後です。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

  • デマンド・スクールバス混乗の運営を行っているが、運転手の高齢化や他地域への転出などで今後継続して業務に当たることが難しい(困難)状況になっている。
  • スクールバスの運転ができる大型免許を持っている人が地域にほとんどいないため、ヘルプスタッフの確保が非常に困難。事業者からは、プロパーのスタッフについても、高齢化が進む中で、新たに札幌から人を送ることが難しいといわれている。
  • 現状、デマンド事業においては、配車管理及び予約管理をアナログで行っている。そのため、地域の土地勘のある乗務員でなければ業務に対応することが難しく、そのことも人的リソース確保のボトルネックとなっている。

本事業実行後に期待される効果

  • 車両をダウンサイズ(ワゴン車)化することで、地域で運転対応可能な人の母数を上げる
  • システムを導入することで、人的リソースの確保を容易にする。
  • 車両を増やすことで、地域内の人がデマンド交通の利用を容易にする。
  • 移動プラットフォーム構築のための人的・物的リソースの確保を推進できる。

2024年度選定事業

幕別町

事業区分
一般
事業分類
教育
事業費
99万円
寄付額
99万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

子育て家庭への読書文化の
醸成応援事業

本町では7・8か月乳児検診で、司書による読み聞かせのコツの説明とともに絵本1冊と町内の中札内高等養護学校幕別分校の生徒が作成した絵本バッグをプレゼントしています。このような従前の読書文化醸成の事業に加え、地球環境に配慮した素材のバッグ制作や地球環境・ウェルネスに関する図書貸し出しセットの設置、小学校入学時にエコ食育、環境をテーマにしたオリジナル絵本の制作・プレゼント、自然・エコに関する絵本作家のワークショップを実施します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

パークゴルフ発祥の地、そしてナウマン象の化石骨が発掘された地として知られる幕別町は、十勝平野の中央部からやや南に位置し、肥沃な土壌と気候に恵まれた自然環境が特徴です。基幹産業である農業が盛んに行われ、また、多くの観光資源に恵まれており、魅力にあふれるまちです。近年、5人のオリンピック選手を輩出しており、幅広い方々がスポーツに親しんでもらう施策に取り組んでいる他、高校生世代までを対象とした医療費助成をはじめとした子育て支援に取り組んでいます。町民と行政の協働によるまちづくりの実践を通し、みんながつながるまちを目指し、「まくべつの躍進」に向けて取り組んでいます。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

全国で街の書店が減少していることから国が本格的支援に乗り出しています。十勝においても大型書店が相次いで閉店しており、出版文化産業振興財団の調査では、書店がない市町村の割合は北海道において42.5%と5割に近づいています。「読書文化」という言葉があるように、本は創造力を豊かにし、物事の理解力を高めることができるものです。中でも絵本は幼少期から手にでき、親子がともに感性を高めることができることから、読書機会を提供する図書館の役割がさらに深まっていると考えます。また、読書文化の醸成には多角的な視点が肝要であることから、地域の力を生かすことが必要不可欠です。

本事業実行後に期待される効果

各関係機関との連携や地域の力を活用し、読書習慣を継続する取組および絵本作家のワークショップを実施することで、本を核とした地域の活性化を図ることが期待されます。加えて、地球環境に配慮した絵本バッグのプレゼント、地球環境・ウェルネスに関する絵本や育児書などのセットの貸出によって、家庭や地域全体で社会課題について考える機会の創出が期待されます。

2024年度選定事業

中川町

事業区分
追加
事業分類
林業
事業費
309万円
寄付額
300万円
寄付企業
エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

地域内での木材加工による
製材活用事業

木材の有効活用を図るため、移動式製材機を購入し、現地で製材後、道内の木工作家や家具作家に木材を供給します。これにより町内で活動する「木材流通コーディネーター」が丸太だけではなく付加価値のついた板や柱などの製材を販売できます。また、町内外の木工作家や家具メーカーに試験木材を提供して品質の試験を行います。これらの事業から中川町が進める「なかがわスタイルの小屋づくり」に用いる建築材等を地域内で供給することが可能になります。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

中川町は北海道上川地方の最北部に位置し、東に北見山地、西に天塩山地を望む山間の町です。この山間を流れる天塩川とその支流域に沿って南北に長く拓けた地形をしており、平野部は肥沃で農耕に適しています。基幹産業は農業と酪農で、道北の広大な土地と自然環境を活かした放牧酪農が盛んです。近年は地域おこし協力隊制度を活用した移住・定住推進、産業振興に取り組んでおり、協力隊(移住者)が中川町をフィールドに自分のやりたいことができる環境づくり、サポート体制の強化に努めています。協力隊の活動や地域住民との交流から地域課題を解決するヒントも生まれており、移住者と住民が一体となってよりよいまちづくりを目指しています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

中川町は面積の87%を森林が占める森林の町で、かつては林業と木材産業によって栄え、最盛期には7,337人が森に関わって暮らしていました。町には7つの木工場がありましたが、略奪的な林業による資源の枯渇や外国産材の流入によって多くの木工場が倒産し、今では1軒も残っていません。豊かな森林資源を抱えながらも、地元の木材を町内で用いる場合、伐採された丸太は主に旭川市で木材に加工され、再び陸送されて中川町に戻ってきます。輸送コストの兼ね合いから森林資源はできる限り近くで使うことが望ましいです。さらに運ぶ場合でも未乾燥の丸太は、水分を含み、積み重ねても隙間が出てスペースを余分に取ってしまうため、効率よい輸送が困難という課題があります。

本事業実行後に期待される効果

  • 地域に移動式製材機を導入することで、豊富な森林資源を地域内で活用することが可能となる。
  • 丸太ではなく、製材を運ぶことにより、輸送コストと環境負荷の両方を低減できる。
  • 町内木工作家が、町内の木を使うことで、木材トレーサビリティや生産背景を明確化できる。
  • 森林資源を地域内で活用可能な状況にすることにより、木工作家だけでなく、現在はいない家具作家など、新たな移住者の獲得に貢献できる。

2024年度選定事業

三笠市

事業区分
一般
事業分類
脱炭素
事業費
1,026万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター東日本株式会社

バイオマス作物栽培による食のまちづくり推進事業

2050 年までにゼロカーボンシティ実現のため、土壌への炭素貯留機能が大きい草本系バイオマスのジャイアントミスカンサス(以下 GM)を栽培し、GMを燃料としてバイオマスボイラーをハウスの加温に活用し、冬期におけるゼロカーボン作物の栽培を目指す。ゼロカーボン作物は、将来的に三笠高校の高校生レストランなどで料理に使用する。令和6年度からGM栽培を開始、市内農業法人のイオンアグリ創造㈱に栽培管理を委託、農研機構より栽培に係る技術指導を受けている。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

南空知に位置し人口は7,300人ほどで、面積の 86%を森林が占める。かつては炭鉱で栄え産業遺構が残る。現在の基幹産業は農業であり、米や玉葱、メロンやスイカなどが生産されているほか、寒暖差の大きい気候とミネラル分の多い土壌があることから良質なぶどうの産地である。近年は山﨑ワイナリーをはじめとするワイン農家が誕生し、そのワインは高く評価されている。また、平成24年に道内唯一の食物調理科単科校として三笠高校が開校し、生徒が調理師やパティシエを目指して研修する高校生レストランがある。

こうした本市の特性を生かし、令和3年に「食のまちづくり基本条例」を制定し、魅力あるまちづくりを進めている。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

近年、温室効果ガスの排出量増加に伴う地球温暖化に起因する気候変動が国際的な問題となっていることを受け、当市では令和3年度にゼロカーボンシティ宣言をし、2050年までにCO2の実質排出量ゼロを目指す。

また、炭鉱まちとして発展したが、石炭産業の縮小とともに人口は最盛期の約6万3千人から約7,300人まで大きく減少したことに加え、老齢人口割合が約47%であることから、産業の衰退や人口減少抑制が喫緊の課題である。市内農業者においても高齢化が進み、後継者不足や遊休農地の増加が課題となるほか、特別豪雪地帯に指定されている当市では平均累積降雪量が8mを超えるため、冬季間は作物栽培が困難な状況となっている。

本事業実行後に期待される効果

GM栽培により土壌への炭素貯留及び農業ハウスの加温が化石燃料を用いずに可能となり、脱炭素化を図る。加えて、遊休農地の活用及び栽培管理に要する労力とコストの削減、ハウス加温による通年栽培が可能となり収量増加が期待されることなどから、農作業の効率化に寄与し、農業者担い手確保の一助となる。また、ゼロカーボン作物として付加価値がついた作物を三笠高校及び同校卒業生などと協働で商品開発することで食のまちづくりを推進する。

2024年度選定事業

新ひだか町

事業区分
追加
事業分類
教育
事業費
250万円
寄付額
250万円
寄付企業
エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

新ひだか町図書館・博物館
10周年記念絵本制作事業

新ひだか町図書館・博物館10周年を記念し、新ひだか町図書館のオリジナルキャラクター「本馬(ほんま)くん」の絵本を制作します。ストーリーは町民から公募し、イラストは本馬くんをデザインしたイラストレーターのおがわじゅり氏に依頼します。絵本は千冊制作し、町の図書館、学校図書館での貸出、新小学1年生への無料配布(5か年継続)のほか、ふるさと納税への返礼品としての活用も検討しています。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

本町は、平成18年3月31日に「静内町」と「三石町」が合併して誕生した町で、日高管内の中央に位置し、峰々が連なる日高山脈を背に、雄大な太平洋を望む、四季を通じて温暖な「涼夏少雪の郷」です。

春には約7㎞にわたって二千本を超える桜が咲き誇る「二十間道路桜並木」に全国から多くの観桜客が訪れます。

主な産業は、日本一の生産頭数を誇る軽種馬を始め、道内有数のミニトマトや花きの産地でもあります。さらに、恵まれた自然環境の中で古くから昆布の漁場として栄え、ウニや鮭などの海産物の他、黒毛和牛「みついし牛」、低たんぱく米など農畜産物が四季を通じて楽しめるまちです。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

  • 図書館を活動拠点とするサークル活動(読み聞かせや文芸サークル等)の休会や縮小が相次ぎ、文化活動が停滞気味となっています。
  • ブックスタート(0歳児へ絵本をプレゼントすることで本への親しみを育てる事業)を実施しているが、子供の成長過程にあわせた絵本のプレゼント等のフォローアップ事業が足りていません。
  • 2025年に開館10周年を迎える新ひだか町図書館には、利用者から親しまれている「本馬くん」という図書館キャラクターがおり、それを活かした絵本の作成をしたいと考えています。

本事業実行後に期待される効果

  • 絵本のストーリーを公募するということで、町民の想像力や構成力を高めるきっかけをつくりだすことができます。
  • 絵本という媒体を作成することで幅広い世代に、図書館と町をPRすることができます。
  • 新1年生へ、絵本をプレゼントすることで、自分で絵本を読みたいという気持ちを応援することができます。

2024年度選定事業

厚真町

事業区分
一般
事業分類
林業
事業費
770万円
寄付額
770万円
寄付企業
エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

森林を活用した体感型企業研修による
関係人口創出事業

厚真町の魅力的な森林空間と、多様な森林事業者のリソースを活用して、健康・観光・教育等の体験コンテンツと森林を掛け合わせた企業向け森林サービス「体感型企業研修(仮称)」を構築します。企業が求める研修を把握し多様な森林コンテンツを研修プログラムとして構築するほか、企業受入窓口のワンストップ化を行います。また研修参加者の事前学習、町の基本情報、研修アーカイブなどをまとめたメタバースを作成します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

厚真町は、札幌市や新千歳空港から近く好アクセスの地域です。基幹産業は水稲を中心とした農業で、作付面積日本一を誇る「ハスカップ」を地域ブランド作物として推進しています。観光では、道内屈指のサーフスポットである浜厚真海岸、抜群なロケーションのなか滞在できるキャンプ場が人気です。近年、ローカルベンチャー(以下LV)を志す者が集まる地域となっており、本町をフィールドに様々なチャレンジが生まれています。林業においては、伐る・使う・植える・育てるを持続的に行う循環型林業が行われており、森林に関わる人材も育っています。胆振東部地震から6年が経過し、内外の人材を活用した創造的復興に向けて取り組んでいます。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

  • LVの推進を背景に、馬搬による林業、製材工場、森林教育や森遊び等、森をフィールドとした事業者が集まっていますが、低水準の収入や人材不足等の課題を抱えており、森林サービス構築による新たな収益の確保が必要です。
  • LVや震災復興をきっかけに生まれた町と民間企業の繋がりがコロナ禍で途絶えてしまい、民間力を取り入れた町の活性化を再び促進する必要があります。
  • 林業の他にも、LVや震災復興を題材とした視察・研修の町への受入が増加していますが、町職員による属人的な対応にとどまっており、対応負担の軽減、収益化による町全体への経済波及や受入ノウハウ、その後の関係づくりなどを見据えた体制整備が必要です。

本事業実行後に期待される効果

健康・観光・教育等と森林コンテンツを掛け合わせた森林サービスを体感型企業研修として提供することで、企業側にとっては社員のウェルネス向上、チームビルディング、新規事業創出に向けた新しい視点の獲得を期待し、森林事業者にとっては新たな収益確保、新たな事業機会の創出、林業の魅力向上の機会を得られます。町においては、町内外の人・企業が森林空間で協働・協業を図ることで、創造的復興の加速や関係人口増加による地域活性化を目指します。

2024年度選定事業

旭川市

事業区分
一般
事業分類
起業
事業費
1,000万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター東日本株式会社

旭川市スタートアップ・エコシステム構築プロジェクト

旭川大雪圏域にてスタートアップ・エコシステムを構築し、アントレプレナーコース新設予定の旭川市立大学の取組と補完し合いつつ経済的価値と社会課題解決が両立する事業創出に取り組みます。アントレプレナーシップ教育では、高校の探求事業で活用する教材の作成、高校・大学生対象の体験プログラムの実施体制の構築を行います。また、スタートアップ育成のためアクセラレータープログラムの構築やEZOHUB TOKYOなど首都圏と連携を強化します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

当市は、大雪山・十勝岳連峰の雄大な山々を背景に、石狩川など多くの河川が街中を流れ、四季を通じて彩りが豊かな風光明媚なまちです。また、北海道の中央に位置し、就航率の高い空港と道内各地につながる鉄道、道路を擁し、交通・物流の要衝であり自然と都市機能が調和した北・北海道の拠点都市です。

雇用者の8割以上が第3次産業ですが、家具・木製品、機械・金属、食品加工等の分野で高い技術力を持つものづくり企業が集積しています。

また、旭川家具がデザインの追求に取り組んできた結果、2019年にユネスコ創造都市ネットワークのデザイン分野での加盟認定を受け、デザインが地域の文化として浸透し始め、発展を続けています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

国内

2022年「スタートアップ育成5か年計画」策定。スタートアップを生み育てるエコシステム創出を推進。人口減少・少子高齢化や多様化・複雑化する社会課題を抱える中、地方都市は気候変動対策や食糧自給基盤整備等、役割の重要性が増加。

道内

道、経産局等が連携しSTARTUP HOKKAIDOプロジェクトを実施。当圏域への機運醸成・波及には至っていない。

地域

若者流出対策として企業誘致や地元就職促進のほか,起業する選択肢を支援する仕組みが必要。

当圏域

市立大学や高専等の高等教育機関、デザイン視点を取り入れたまちづくりを推進する旭川デザインプロデューサー等の人材が豊富で、ビジネスの力で課題を解決するポテンシャルを有する。

本事業実行後に期待される効果

人材育成と若者地元定着

若年層が起業を知り、体験し、ロールモデルに出会うことで地元に残る選択肢が増え、人口流出緩和に繋がる。また、挑戦する若者の創出・増加にも繋げ、将来の可能性を広げる。

地域のリソース活用による社会課題の解決

社会課題をビジネスの種と捉える視点を持つ人材が増えることで、行政だけに頼らず圏域内の産学官民が連携して課題解決に取り組み、持続可能な地域社会の構築につながる。

2024年度選定事業

登別市

事業区分
一般
事業分類
漁業
事業費
1,000万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

登別海岸藻場再生×ブルーカーボン推進事業

地域の漁業関係者(いぶり中央漁業協同組合および漁業者)などの多様なステークホルダーと連携し「持続可能な循環型藻場再生モデル」の構築を目指します。モニタリングや海藻養殖、新系統種苗の開発といった藻場再生事業、再生藻場の価値化のため商品開発やイベント開催、ブルーカーボンクレジット認証取得調査を行います。また、藻場再生状況、CO2吸収量などの海のマップ化、マップの活用法を大学生ビジネスコンペやワークショップにて検討します。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

登別市は、北海道中央南西部の太平洋岸に位置し、豊富な湯量と多種の泉質を誇る登別温泉と山間の静かなカルルス温泉を中心に地獄谷、大湯沼などの自然資源に恵まれ、全国にも名だたる温泉観光地として発展しています。特に、登別温泉は硫黄泉や食塩泉など9種類もの泉質があることで知られています。

また、温泉資源に限らず山や海に囲まれたまちの特徴を活かした酪農や漁業も盛んであり、登別ブランドにも認定されているのぼりべつ牛乳やのぼりべつ牛乳プリン等があるほか、市内には登別漁港や鷲別漁港があり、スケトウダラや毛ガニ等、季節によって様々な魚介類が水揚げされるといった一次産品の魅力にも溢れています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

登別市の水産業は、スケトウダラやサケなどの豊かな海洋資源に恵まれていますが、近年、藻場の減少や海水温の上昇、漁獲量の減少といった深刻な課題に直面しています。なお、今年は、北海道全域で昆布の生産量は過去最低となっています。  

藻場の減少は、海藻の生産の減少だけではなく、魚介類の産卵や生育の環境を悪化させ、漁業資源の減少につながり、地域の水産業に影響を与えています。さらに水産加工業や小売店など地域関連産業や登別温泉宿泊施設など観光業にも悪影響が及んでいることから、持続可能な水産業の維持のため、すべての基盤となる藻場の再生と藻場の価値化により永続的に藻場再生に還元する仕組みを構築することが急務です。

本事業実行後に期待される効果

海洋生態系の回復と漁業資源の持続的な利用が可能となるほか藻場再生海域で生産された水産物を活用してストーリーのある新商品を開発することで、新たな流通加工のサプライチェーンが創出されます。さらにブルーカーボンのクレジット化により、新たな付加価値=収益源が見込まれ、これまで手付かずであった海の可視化は、より低コストのクレジット創出やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への反映など、本事業の持続性が期待されます。

2024年度選定事業

えりも町

事業区分
共同
事業分類
観光
事業費
49,500万円
寄付額
500万円
寄付企業
エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

映画「北の流氷」(仮題)製作事業

浦河町、様似町、えりも町、広尾町による地域振興と観光誘致を目指した映画「北の流氷」(仮題)製作事業を行います。映画は昭和20年代からの襟裳岬で地元の昆布漁師たちが行った緑化事業がテーマです。監督は浦河町出身の田中光敏氏、脚本は小松江里子氏、音楽は久石譲氏が担当です。映画製作支援の応援団体も発足し撮影の受け入れ体制を準備します。2026年夏以降の公開を予定し、公開後には長期的な観光振興につながることはもちろん、映画を通して歴史を伝承し、緑化活動の大切さを学ぶ事業とすることを模索いたします。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

共同申請自治体

えりも町、浦河町、様似町、広尾町

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

四町が直面する課題は、進行する人口減少とそれに伴う地域活性化の必要性です。高齢化と若年層の都市部への流出により、地域経済の停滞と労働力不足が顕在化しています。観光振興は活性化の鍵ですが、アクセスの不便さ、通過型観光地化、季節依存型観光資源が大きな課題です。四町では、これまで自然を活かした観光推進が中心でしたが、地域の特性を活かした観光資源の開発や、持続可能な発展と多様な観光需要への対応が求められています。映画「北の流氷」(仮題)製作事業は、地域の魅力を発信し、観光振興と地元経済の発展につなげていきます。また、SDGsのない時代に緑の大切さを自分たちで気づき、自ら環境改善を行い、豊かな土壌を作った実録を残すことにより、子どもたちを中心に住む者が環境問題に向き合う一助となる活動も行っていきたいと考えており、緑化事業と観光を組み合わせSDGsの見本となる「環境を育てる観光」につなげることを目指します。

本事業実行後に期待される効果

四町の自然や文化が映画を通じて全国、さらには国際的に発信されることで、観光地としての知名度向上に加え、ロケ地巡りなどの観光資源として効果的に活用され、観光客誘致の促進が期待できます。四町地域のイメージや認知度が高まることにより、地域産業、特産品、文化活動が注目され、ブランド化や販路拡大の機会が生まれます。このような影響は、地域全体の活気の創出と一体感の醸成を期待できるだけでなく、中長期的な地域経済の活性化につながり、若者のUターンやIターンを促進するきっかけにもなり得ると考えます。また、子どもたちを中心とした各町町民が環境問題に目を向け、自然や緑の大切さに気付き、SDGsへの意識を持っていただき映画を通して活動することで、観光客はもちろん、世界に向け、緑の大切さを発信できる一助となる事業となると考えます。

2024年度選定事業

積丹町

事業区分
追加
事業分類
観光
事業費
300万円
寄付額
300万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

環境と社会の未来を創る
積丹型エコツーリズム推進事業

積丹型エコツーリズムの展開と仕組みづくりを推進するために、任意団体「SHAKOTAN海森学校」を、法人組織化します。「環境の未来」を考える取組みについて、森川海の繋がりや歴史文化、自然と産業が生んだ「まちの宝」を、学びの場として整理しプログラム化することで、地域理解を深める機会を創出し、「社会の未来」を考えます。本事業では本格始動に向けて、環境資源の価値を普及啓発するエコツアーの実施、資料の収集・活用、活動に不可欠な人材の確保を行います。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

本町は、北海道の西海岸に突き出た積丹半島の先端部分に位置しています。総面積は、半島の約4分の1にあたる238.13k㎡。良好な漁場を有し、漁業とともに農業や観光業が盛んなまちです。神威岬に代表される断崖絶壁の海岸は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園として北海道で唯一の海域公園に指定され、その澄みわたる海の色は「積丹ブルー」と称えられる美しさです。また、主峰積丹岳(1,255m)を源とする美国川、入舸川、余別川などの流域に集落が形成され、海・川・森の豊かな自然の恵みを受けた新鮮な農水産物も特徴です。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

本町を取り巻く環境は急速に変わりつつあり、漁業・観光業の枠組みに、持続可能な地域づくりが必要となっています。原因は、①過疎化による地域活力の衰退 ②気象変動による磯焼けの深刻化です。①での人口減少が進めば、豊かな海や森、文化的な地域資源の管理や継承が困難となってきます。更に②が進めば、年間約90 万人の観光客を支えるウニなどの地域資源が失われてしまう危機感があり深刻な課題となっています。これに対し町では、地元漁師や専門家が中心となって持続可能なウニの生育環境を作る取り組みが行われており、これらの重要性を伝えていく総合的な展開や関係人口の獲得が次の課題となっています。

本事業実行後に期待される効果

マーケティングに必要なWebページ制作で「取り組みの見える化」を実現することで、対外的に活動を共有することが可能となることに加え、エコツアーの販促で顧客の獲得・来訪者が増加すれば、まちの活性化にも貢献が期待できます。更に、本事業を遂行していく中で地域住民や町内外の関係者と共に、環境問題・活動の普及啓発の課題に自発的に取り組めるように賛同者を募っていくことで、人材の交流促進が期待できます。

2024年度選定事業

美瑛町

事業区分
一般
事業分類
農業
事業費
1,000万円
寄付額
1,000万円
寄付企業
エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

地域内農業残渣の熱利用モデル化事業

本事業は、農業残渣用に開発された専用バイオマスバーナーで、町内において発生する多種多様な種類の農業残渣の混焼試験を実施し、地域全体での脱炭素・循環型熱利用システムをモデル化するものである。地域内のビニールハウス暖房など農業への熱利用による灯油代替と発生した炭(バイオ炭)の土壌還元による炭素固定により、地域の脱炭素・循環型社会を確立するための試験を実施する。

市町村概要(町の紹介、主要産業、特徴など)

美瑛町は、北海道のほぼ中央に位置し、十勝岳連峰の麓に広がる波のように続く丘陵地帯では小麦やジャガイモなどの農作物を生産している農業のまちです。そして、農業の営みで創り出された美しい農村景観は風景写真などで広く紹介され、毎年変わる丘の風景を楽しみに多くの観光客が訪れるようになりました。今では農業と観光がまちの基幹産業となっております。また、十勝岳火山噴火の砂防施設である「白金青い池」がApple社Macの壁紙に採用されたことで一躍有名になるなど、新たな観光資源も生まれています。これら地域の財産を、「日本で最も美しい村」連合の活動において、次の世代に伝える取組みも行っています。

前提となっている社会課題とその背景、経緯など

地球温暖化の影響で、暑さや水害による農業被害が多発している。このような状況が続くと予測されるなか、これまで畑作大規模農業が中心だった北海道でも、ビニールハウスなどの施設栽培が増えると考えられる。

現在の施設栽培では、加温のために化石燃料を使った暖房が主流であり、燃料単価の高騰により年々農業者への負担が大きくなっているこ。そのため、地域資源を活用したなかでの地域主体の脱炭素・循環型農業のモデルが求められている。

本事業実行後に期待される効果

本事業は、農業残渣やバイオ炭の付加価値向上という経済的な持続性を目指している。また、本事業は地域のバイオマス資源を地域内で利用する地産地消システムの構築であり、資源を地域内循環できるメリットを有する。これは、エネルギー・経済の観点からの地域自立に貢献する先行モデルとなるものである。

これまでの選定結果

2023年度選定事業

2023年度実績

応募
自治体
応募
事業数
寄付
件数
寄付
総額
46
市町村
52
事業
18
事業
11,335
万円

推進委員会の総評

一般財団法人HAL財団
理事長

磯田 憲一

こうした恒常的な寄付制度は、これまでになかったもので、こうして市町村からの多数の応募のもと、制度を運用していけることに、深い喜びを感じております。寄付を行った市町村をお尋ねしましたが、各市町村の皆さんは、制度創設に大変なご関心を持ち、今後とも寄付金を最大限有効に活用したいとのことでした。2025年2月には興味深い取組みを行っている市町村の皆さんからプレゼンをしていただくとともに、交流の機会を設けることとしておりますので、今後とも、Hプログラムの推進のため、関係者の皆さんのご協力をお願いいたします。

公益財団法人 秋山記念生命科学財団
理事長

秋山 孝二

この「Hプログラム」の初年度として、先ずはそれぞれの地域特性を活かした幅広い活動が採択されたと思い、今後の申請の更なるレベルアップに注目していきたい。ただ、日頃、活動主体としての市民によるプロジェクトに接している私としては、自治体が申請する案件は、フィールドでの人々の活きた活動がイマイチ見えてこないことに少し物足りなさを感じます。採択されたプログラムの先に、地域で活動する方々のモチベーション向上等の成果報告を1年間終了した後に期待したいものです。

NPO法人Fit北海道会議
理事長

三島 敬子

基金交付をした地域事業が申請書通りの方向性や結果を出すのはなかなか難しいことであると感じました。
しかし、せっかくスタートラインにつけたのですからこのチャンスをぜひ活かしていただき未来に繋げる人・企業・地域を育てていってほしいと願っております。

公益財団法人 北海道文化財団
事務局長

篠原 結城子

実績報告をいただいた時期的な問題もあり、本格着手はこれからという市町村もありましたが、Hプログラムによる新しい動きを感じることができ大変うれしく思いました。支援には限りがありますが、地元の熱意と創意工夫で息の長い取組にしていただきたいと思います。

サポート委員の総評

株式会社いただきますカンパニー
代表取締役

井田 芙美子

基礎研究や教育事業、機械・備品購入など、多様な目的にご活用いただき、北海道の地球環境、ウェルネスの改善に貢献する事業が実施されたことを嬉しく思っております。個人的には、通常の補助事業では申請しにくいが重要なもの、意欲ある担い手を応援するものが、長い目で見て持続的な発展、継続につながると考えています。この寄付が、若者たちが希望を持って住み続けられる地域を育てるきっかけになれば幸いです。

一般社団法人ドット道東
代表理事・プロデューサー

中西 拓郎

年度途中であるため、まだ成果が見えづらい事業もありましたが、多くの自治体が予算を有効にご活用いただいている様子がうかがえました。末席にて本事業に関与させていただき、光栄です。個人的な思いとしましては、「Hプログラム」があることで普段は掬い上げられない事業やチャレンジにスポットがあたり、北海道を魅力的にしていく人が1人でも増えていく未来を期待しています。

公益財団法人はまなす財団
事務局長

中尾 敦

地域の創意(叡智)により、多様な地域づくりが着実に進んでいるとの印象。特に若年層を積極的に巻き込んだ取組が多く見られたことは評価したい。一方で、今後の展開や持続性に関しては説得力に欠ける報告も散見された。今回の事業を通じて得られた成果や課題を関係者で分析、共有し、各プレイヤーの強みを活かした明確な役割分担の下、次年度以降の設計図を描いていかれることを期待する。

一般社団法人HAL財団

伊東 和紀

この制度を通して、地域が抱える課題が明らかになり、企業がこれに向き合う中で、地域と企業との間にこれまでにない結びつきが得られたように思います。今後も継続される制度であり、地域の課題の解決と併せて、企業の社会的責任の新たな形が根付いていくことを期待したいと思います。

選定事業の実績報告
(2024年9月末現在の進捗状況)

  • 東川町

    2023年度選定事業

    資源米由来のごみ袋「ライスレジン」の製作

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    東川町

    事業費
    754万円
    寄付額
    754万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

    資源米由来の
    ごみ袋「ライスレジン」の製作

    東川町では「脱炭素化の実現」や「水稲作付面積の維持確保」と「農業所得の向上等」を目的に町内で生産された資源米(ライスレジン)を活用した新しい町指定のごみ袋を製作し導入するものです。

    事業スケジュール

    • 2023年11月 
      ごみ袋のデザイン制作
    • 2023年12月~2024年3月 
      ごみ袋の制作・納品
    • 2024年4月以降 
      ライスレジンごみ袋に順次切り替え

    現在の進捗状況

    東川町では「脱炭素化の実現」や「水稲作付面積の維持確保」と「農業所得の向上等」を目的に町内で生産された資源米(ライスレジン)を活用した新しい町指定のごみ袋を製作し、4月以降、従来品の在庫が無くなり次第、新しいごみ袋に切り替えています。また、2024年4月17日~5月31日までは複合交流施設せんとぴゅあⅡで、2024年9月7日には「カーボンニュートラルフェスタ」の開催にあわせ複合交流施設せんとぴゅあⅠでそれぞれ展示を実施し、ライスレジンを活用した取り組みの普及推進に努めました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    ごみ袋の製造原価を従来品並みに下げることが課題となっていましたが、ごみ袋の規格を5種類(10ℓ、20ℓ、25ℓ、30ℓ、40ℓ)から3種類(10ℓ、20ℓ、40ℓ)に整理し、1年相当分の一括発注により、従来品と変わらない製造原価を実現することができました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    環境配慮と農業振興の2つの地域貢献の視点、製造原価が同程度ということもあり導入には概ね住民理解が得られています。一方で、ごみの種類は全て文字色で区分する方式に切り替えたことにより、一部、間違えやすいという意見もいただいており、今後、ごみ袋の文字色の調整が必要であると考えています。

    今後の展開

    ライスレジンの原料となる資源米の生産振興、ライスレジン商品の導入検討、上川・ひがしかわライスレジン連携協力推進会議を中心にした広域的な普及推進、導入支援の取組を継続して実施していく予定です。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    東川町の取組に関心があれば、他の自治体でも実施していただきたいと考えます。脱炭素化は世界的に早急に解決しなければならない取り組みです。この実現は事業者、自治体、住民の相互理解のもとに行われなければなりません。また、この取り組みは米の生産維持による農業経済活動の維持にもつながるものと考えております。

  • 東神楽町

    2023年度選定事業

    食用高タンパク植物「ウォルフィア」を町の新しい特産品として展開

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    東神楽町

    事業費
    6,796万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    食用高タンパク植物「ウォルフィア」を
    町の新しい特産品として展開

    本事業は、世界最小の花が咲く、食用高タンパク植物ウォルフィア(ウキクサの一種)の試験栽培の実施、生産技術の確立が目的です。将来、「ウォルフィア」を東神楽町の新規特産品として展開し、町内全体の経済活性化、東神楽町の知名度と魅力の向上を目指します。

    ウォルフィアは乾燥重量で40%の完全タンパク質を含む植物で、短期間で大量に繁殖します。必要な農地面積および水使用量は、大豆と比較して、それぞれ63分の1、230分の1です。年中、2日に1回収穫が可能で、単位面積あたりの年間タンパク質収量は大豆の18倍です。

    本事業ではウォルフィアの生産により、タンパク質生産の環境負荷の低減と食料安全を守り、安定的な生産確保を目指します。さらに、最新の研究によるとウォルフィアは光合成で大量の二酸化炭素(CO2)を吸収することが示されており、ウォルフィアは大豆の5倍、二酸化炭素の吸収が可能です。

    現在の進捗状況

    現在、以下の3つの研究開発計画を同時に進めており、Floatmeal(フロートミール)株式会社と提携。同社は、ウォルフィアの持続可能で安定した生産技術を開発することで、食料安全保障を確保するとともに気候変動の抑制に挑む、北海道大学の学生が2024年5月に設立した北大発スタートアップ企業である。

    各事業の進捗状況

    1. 栽培方法に関する研究

      ウォルフィアの自社大量生産技術の確立と、将来的に契約農家への展開に必要な栽培プラットフォームの構築を進めています。

      2024年6月10日、同社は、株式会社三友環境総合研究所とウォルフィアの生産および加工に関するパートナーシップを締結し、安平町に試験栽培の拠点を確保しました。2024年9月末時点で、研究に必要な設備を購入し、ビニールハウス内にウォルフィア栽培用ポンドの設置を完了させ、栽培実験を開始しました。

    2. 炭素固定と環境修復に関する研究

      ウォルフィアなどのウキクサは、水中のミネラルを吸収する優れた水生植物です。食用ウォルフィアは、食経験のない日本市場に浸透するまで数年の時間を要することが予想されるため、大量生産技術を応用し、町内のサーモン養殖施設(杜のサーモンプラント)の排水に含まれるアンモニアの除去やニジマスの餌としての活用の実証実験を行っています。

      また、ウキクサによる炭素固定の測定と吸収量の最大化を目指した取り組みも進めています。

    3. 地域との連携

      2024年8月4日に東神楽町で開催された花まつりのゼロカーボンブースにて「ウキクサ」をテーマにした体験型ワークショップを実施しました。このワークショップでは、顕微鏡を使ってウォルフィアやレムナという様々な種類のウキクサを観察するなど、子供たちが実際にウキクサを身近に感じ、その面白さを体験する機会を提供しました。

      当日は、大人や子供を含め60名以上の参加者がブースに訪れ、ウキクサの観察を楽しみながら、その生態や役割について学びました。参加した子供たちは、楽しみながらウキクサへの理解を深め、東神楽町の自然や環境に対する関心を育む機会となりました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 当初の計画は、3年間のスケジュールにて策定されたため、延長がなければプロジェクトの全ての目標を完全に達成できるかどうかは不透明となってしまいました。プロジェクトの延長に関する具体的な方向性が当初から明確に定義できておりませんでした。
    • より効率的に事業を推進するためには、追加の人員確保が必要です。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 花まつりでは、大ステージでMCの方からプロジェクトについて紹介され、町民の皆様に広く知っていただく機会となりました。また、ブースには約60名が訪れ、そのうち約70%が子供連れでした。参加者たちは、顕微鏡で世界最小の植物ウォルフィアを初めて観察する体験に興味を持ち、楽しんでくれました。特に、子供たちはウキクサの魅力に強い関心を示し、非常に好評でした。
    • 杜のサーモンプラント・東神楽で実施した排水の浄化に関する実証実験については、北海道新聞にも取り上げられました。

    今後の展開

    • ウォルフィアの大量栽培方法に関する実証実験を進めると同時に、東神楽町の特産品化に向けた取り組みも並行して行います。既に高齢者向け食品の開発計画があり、今後は町民の皆様からの意見を収集し、協力を得ながら進める予定です。また、杜のサーモンプラント・東神楽で実施しているウキクサを活用した排水処理とニジマスの飼料実証実験が完了した後は、ウキクサを飼料とする「花のサーモン」というブランド化も目指します。
    • 近隣の小学校で出前授業を実施するなど、町民と一体となって地域全体で東神楽町の経済活性化に貢献します。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    • 東神楽町でウォルフィアの栽培を新たな産業として発展させ、栽培プラットフォームを構築することで、東神楽町のみならず、道内他自治体や日本全体、さらには世界各地でのウォルフィア栽培へ展開・応用できるモデルケースを目指しています。本事業では、ウォルフィアを栽培した経験がない人でもさまざまな地域で栽培が可能となり、さらに生産者の労働負担を大幅に軽減できる汎用性の高い栽培方法の確立を目指しています。これにより、世界中のどこでも、その国の資源量(土地や水)に左右されることなく、栄養価の高い食料を安定的に生産できる技術を広めたいと考えています。
    • 食以外の分野でも、ウキクサを活用することで、屋内養殖やバイオガス生成などにおけるCO2排出量を大幅に削減できる可能性があります。この技術と方法は、他の市町村でも適用可能であり、地域の環境負荷軽減にも大きく貢献できると期待します。
  • 幌加内町

    2023年度選定事業

    幌加内高等学校とベンチャー企業によるそば殻などの未利用資源を活用し、新たな価値の製品を開発

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    幌加内町

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    幌加内高等学校とベンチャー企業による
    そば殻などの未利用資源を活用し、
    新たな価値の製品を開発

    本事業は、幌加内そばの製粉の際に排出される、そば殻、甘皮(3番粉)などの未利用資源を活用し、地域内に価値を還元させ、且つ首都圏での販売など幌加内町認知向上を狙った新たな循環モデルを構築することを目指します。

    協業先であるfabula㈱は「ゴミから感動をつくる」ことをビジョンに掲げ、新素材をつくる東京大学発ベンチャー企業です。食品廃棄物からコンクリートより強い素材をつくる独自技術を所有しており、そばの未利用資源から建材や家具など生活に纏わる製品の開発が可能です。北海道幌加内高等学校(農業科)の学生と共に、同社の技術「そばの町幌加内」を象徴とする新たなプロダクトを製造開発します。

    例として、そば殻からコースターや建築タイルを製造し町内のそば屋や施設で使用していただくことを想定しており、その後町外へも流通・展開させていきます。幌加内高等学校を卒業した「幌加内町ソバ循環プロジェクト プロデューサー 石川朋佳」と提携しています。

    現在の進捗状況

    幌加内高等学校(農業科)にて、年間をとおしての共同開発プロジェクトチーム(T×Hプロジェクト)を発足させ連携をしました。幌加内町内のそば事業者、役場職員、農業技術センター職員・観光協会職員が幌加内高校生と共に、幌加内町内の課題に向き合い、商品開発を行っております。生徒に課題を提示しながらプロジェクトを推進中です。

    現在の進捗状況は主に下記が完了しております。

    1. 幌加内高等学校(農業科)の授業の中での外部講師斡旋(デザイナー・小樽商科大学など)。
    2. 地域課題を見つめるアイデアソン(全2回)の開催(主催:富士通Japan株式会社)。
    3. そばの未利用資源(幌加内高校生が授業で打ったそば)の課題を踏まえ、食品廃棄物から新素材をつくる独自技術を持つ東大発ベンチャー企業(fabula㈱)実験1回目終了。
    4. 幌高商店会(幌加内高等学校内の販売会)にて、新素材展示。
    5. T×Hプロジェクト、月1回定例MTGによる高校生教育伴走。
    アイデアソンの様子
    商店会展示

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    石川プロデューサーからは、外部企業との認識のすり合わせ、高校生との協力体制の構築など、本プロジェクトに関わる方の立場やそれぞれの目的を尊重して進めていくことは非常に困難だったと聞いています。本プログラムを進めていただいたことの成果として、幌加内町に関わる人を増やすことができたことは大きかったと思います。我々は、これからこの活動をどのように継続させ、どのように町内に価値を循環させていくかを考えていくことが今後の課題であると感じています。

    富士通Japanの担当者からは「高校生の多忙さを感じた。そば局やプロジェクト学習、農業体験実習、寮生活と通常の高校生とは違う生活スタイルで学校生活を送られているので、アイデアソンの日程調整や、プロジェクト進捗会の調整などに苦慮することがあった」とのコメントをいただいております。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    石川プロデューサーが町内の資源や人、お金を循環させることを目指した活動は、町民から多くの応援をいただいております。また、「幌加内高校卒業生が、幌加内町のそばに関係する事業で起業したこと」は町内では初めてのことであり、その起業した人が「全国高校生そば打ち選手権大会の優勝者」という経歴も活動を円滑にしているようです。最近では北海道新聞などのメディアで「高校生との取り組み」が取り上げられたことで「幌加内町」という町名の知名度向上にも貢献いただいております。

    アイデアソン参加町内事業者は、「ワークショップに2回参加し、大人も頑張らないといけないと改めて感じた」と話をしていました。「『そばはこういったもの』という当たり前のものが高校生の柔軟な発想によって、多面的に考えることができた。高校生から出たアイデアソンを大人が『できるよ!』と見せてあげたい」と感じていたそうです。ワークショップを通じて高校とも接点ができたので、これからも幌加内町の未来を一緒に考えていきたいとのことでした。

    今後の展開

    本事業は2024年度が初年度。2025年度は、幌加内高校生からのアイデア「町の循環を体現した“HOROSOBA HOUSE”仮 Ver.1」の拠点づくりを目指します。「地域内循環」、「高校生教育」がキーワードとしてあがっています。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    実施していただきたいと思います。「未利用資源の活用」は、地域の課題解決にとどまらず、国や世界的な目標であるゼロカーボン、SDGsに繋がる地球環境に配慮した取組です。本町は「そば」の活用を検討しておりますが、各自治体それぞれの特産品の未利用資材を活用した取組が可能であると思いますので、取組が広がっていくことを期待します。

    また、近年高校生の活躍を目にする機会が増えたように感じます。高校生と地域が一体となり課題解決に取り組むことは、学生の教養を育み、地域の活性化が進み、双方にとって有益な取組であると感じています。また、北海道は生産力に長けており、農作物をはじめとする原料供給の場である一方、加工力は本州より低いとされています。そこで、廃棄されるものを価値に変えることで収入の向上が見込まれ、より広い視点での持続的な町づくりができることを期待します。食の一大生産地、北海道の地方だからこそできる循環モデルは、いずれ地域が潤うことにより、日本が潤うことにもつながると考えます。

  • 苫小牧市

    2023年度選定事業

    プラチナ触媒を活用した長期保存や微生物の抑制制御技術の確立などのフードロス削減

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    苫小牧市

    事業費
    700万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    プラチナ触媒を活用した長期保存や微生物の
    抑制制御技術の確立などのフードロス削減

    苫小牧市は、市内に北海道最大の港湾物流拠点「苫小牧港」、近隣には「新千歳空港」を持つダブルポートを最大限活かすまちづくりをめざしています。交通アクセスのよさから当市は産業の集積地となり流通・保管へのニーズが高まったため、これらを軸とした「新産業の事業展開」を都市再生コンセプトプランに取り入れました。それが「食」の新たな国際物流拠点となる道内最大級のクールロジスティクス(冷凍冷蔵庫)であり、2020年より稼働中です。

    ダブルポートを最大限活用し、地球環境の保全に寄与するフードロスの削減・食の安定供給と多世代の学び・交流を実現するため、下記①-③を北海道大学と連携して実施する。

    1. 食の保管時のおいしさ維持
      おいしい食を安定して輸出入するためには、様々な供給リスクに対応可能な、おいしいままの食のストックが不可欠です。現状では、保管中の鮮度低下や酸化等による食味・においの変化が生じてしまいます。保管中の風味維持のため、プラチナ触媒等を活用した長期保存と輸送時の品質維持も推進します。
    2. 食の保管における微生物制御
      「安心して」食べられる食のためには、長期保管時の安全性を確保する必要があります。加工食品などでは加圧加熱殺菌(レトルト処理)による長期保管が可能な食品もありますが、生の麦、米などでは加熱殺菌処理ができず食中毒が発生する事例があり、その原因となる微生物の殺菌・制御方法を開発します。
    3. 日本人の価値観の刷新 <熟成食・熟食>と新たな“価知”のバリューチェーンの構築
      保管した食の風味や安全性が向上しても、私たち日本人が保管された食を選ぶことをしなければ、ストックすることが安定供給につながりません。熟成肉のように、時間がたつことで価値が上がるようなフードサイエンスや、それを選択する日本人の価値観を刷新し、新たなバリューチェーンを構築します。そのための多世代交流の場を構築します。

    現在の進捗状況

    苫小牧工業高等専門学校・北海道大学を中心にプラチナ触媒の効果を検証する実験を行っています。第1回目のハスカップ実験が終了し、結果を整理している段階です。今後は食以外の花卉類などの分野も視野に入れ、2回目以降の実験内容を検討します。年度内には、プラチナ触媒を切り口にしたイベントを予定しています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    実験内容について学術的知識が求められることから、その効果を広く市民に周知する方法や、本事業を苫小牧駅前再生にいかに展開させていくかが課題です。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    物流や花卉関連の企業が本事業に大変興味を示しており、社会実装に向け積極的な協力体制のもと、2025年度以降の継続した取り組みを希望しています。

    今後の展開

    プラチナ触媒を活用した実験は引き続き実施し、プラチナ触媒のさまざまな可能性や社会実装への可能性を探ります。一方で、本事業を市民や地元企業に広くプロモーションし、新たな食文化や物流、人材育成等幅広い分野に波及させ、当市が目指す駅周辺ビジョンの実現に繋げたいと考えています。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    本事業は物流に関わることから、当市を超えて輸送先の地域でも実施することでさらによい効果を生むと考えており、今後は本市以外の地域とも連携しながら進めていきたいため、ぜひ実施してほしいです。

  • 真狩村

    2023年度選定事業

    真狩高等学校による有機農業の推進と有機食品の開発・商品化

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    真狩村

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    真狩高等学校による有機農業の推進と
    有機食品の開発・商品化

    (1)有機農業分野

    1. テーマ
      リジェネラティブ農業、炭素循環農法による有機農業の復権と推進(有用微生物の働きによる養分供給機能の解明)
    2. 連携先
      東京農業大学、雪印種苗株式会社、北農会、北海道農政部、JAようてい
    3. 資材提供先
      北海道ミネラルウォーター株式会社(コーヒーかす)、株式会社北海道名販(キノコの廃菌床)、株式会社ルピシアグルマン(ビールかす、野菜残渣等)、クレードル興農株式会社(野菜残渣等)、ようてい森林組合(バーク)、有限会社大野ファーム・宗像農場(もみ殻)
    4. 仮説
      土壌中の微生物が活性化され、微生物循環が始まると、無肥料、無農薬栽培が可能となる(従来の有機農業では、有機質資材を投入して栽培)
    5. 実施内容
      マメ科緑肥作物(アバパール)を活用した「北海道版リジェネラティブ農業」、もみ殻やバーク、キノコの廃菌床を活用(アップサイクル)した「炭素循環農法」の土壌中の微生物活性に着目し、従来の慣行農法や有機農法と土壌の化学性、生物性の変化と作物生育の関係について比較検討する

    (2)野菜製菓分野

    1. テーマ
      La mikkaブランドの確立(誰もが楽しめるやさしいお菓子の開発と商品化)
    2. 連携先
      株式会社ルピシアグルマン(商品開発・製造担当)
    3. 仮説
      ・食品添加物、アレルゲン等を考慮した菓子づくりやフェムケアフードとしての菓子づくりをとおして、生徒への食育、消費者の食に対する意識向上
      ・有機(オーガニック)食品としての真狩ブランドの創造
      ・全国展開している企業と連携しての全国販売による、真狩の知名度向上
    4. 実施内容
      (ア) 企業担当者からの「商品開発」に関する講義
      (イ) ニーズの調査・分析
      (ウ) アイディアの発想
      (エ) 商品企画
      (オ) 試作品製造・テスト

    現在の進捗状況

    (1)有機野菜分野

    現在、計画通り栽培し、生育調査を関係機関の協力のもと実施しています。

    (2)野菜製菓分野

    地域にある菓子店「お菓子のふじい」様に協力いただき商品開発について講話、商品開発をする上でのコンセプトの決め方や手法について学びました。現在は栽培した野菜を使用し、特定原材料に考慮した焼き菓子のレシピの試作を実施しています。また、日糧製パンに協力いただき、本校焼き菓子の商品化、全国販売に向けた試作の実施をしています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    (1)有機野菜分野

    農場において、試験栽培は計画的に実施できているが、栽培方法の確立や、収量が現段階では見込めないことが課題としてあげられます。また、高度な知識が必要となるため、生徒・教員ともにより深い知識の修得を目指して、今後も研鑽を積んでいきます。

    (2)野菜製菓分野

    味や見た目、作りやすさなどを考慮しつつ、特定原材料を減らしたレシピの開発は、一つ一つの素材に対する知識が必要となり、より専門的な知識をつけることが課題です。また、販売できる場所が現在は本校で行っている販売会のみのため、今後の販路についてどのように地元企業と連携し販売を行っていくかを模索します。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    (1)有機野菜分野

    後志総合振興局より依頼され、本事業の活動を見学するため本校を会場に地域の農家の研修会が実施されました。

    (2)野菜製菓分野

    企業の講演や本事業に必要な事前学習をとおし、生徒の意識や知識が向上しました。また、寄付金にて購入した新規機材を活用し、今まで以上に品質劣化しにくく、安全性の高いジャムやペーストなどを製造し、使用することができるようになりました。

    今後の展開

    (1)有機野菜分野

    2025年度は2024年度の反省も踏まえ、より研究の幅を広げていこうと考えています。具体的には、企業・研究機関との連携の強化や、栽培技術の向上などを実施し、地域への普及活動も行います。また、それらを通して生徒の興味関心を高め、技術の向上を図ります。

    (2)野菜製菓分野

    開発したレシピを活用し、生徒や協力企業、村民の方々に試食・講評をしていただき改良後、本校販売会にて販売を目指していきます。また、協力企業より原価計算や経営、販路等についての講演の実施し、より活動の幅を広げるとともに、生徒の興味関心を高め技術向上を図ります。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    本事業をうけ、学校ではなかなか予算がつかない機器などを購入することができました。生徒に対し、より新しい知識や技術を教える機会が出来ることはとても教育効果の高いことだと実感しています。また、両分野で新たな研究を行うことで、地元企業や団体、大学などと連携する機会も増え、生徒がさまざまな人や考えに触れることで、知識の深化をはかることができたと感じ、貴社には感謝しています。

  • 積丹町

    2023年度選定事業

    ウニ殻を活用した藻場造成や昆布餌料の製造など有効利用を検討

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    積丹町

    事業費
    1,354万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    ウニ殻を活用した藻場造成や昆布餌料の
    製造など有効利用を検討

    積丹町がこれまで取り組んできたウニ殻活用を起点とする資源循環モデルの実証を一歩進め、町内の事業者を主体とする事業化に向けた取組として、下記の事業を実施します。

    1. ウニ殻肥料製造・藻場造成事業化
    2. ホソメコンブ養殖事業化
    3. ウニ殻・コンブ飼料製造事業化
    4. 養殖ロープへの副産物ダルスの食資源化
    5. 取組の広報・PR

    各事業内容及び事業主体

    1. 漁協が収集したウニ殻をコンクリート堆肥盤に広げ、切り返しながら乾燥し原料化を図る。乾燥ウニ殻を生ゴムに混ぜて固めた肥料を海中投入し藻場の造成を行う。
      【事業主体:株式会社流山】
    2. ウニ殻肥料液に浸けたホソメコンブ種苗の養殖ロープを漁港内に設置しコンブの養殖を行う。
      【事業主体:美国・美しい海づくり協議会】
    3. 町内で飼育する羊の飼料として、余剰となるウニ殻やコンブを活用した飼料の製造。特にコンブは羊のゲップのメタン量削減や肉質の改善が期待されており、肉質分析を実施する。
      【事業主体:株式会社流山】

    4. 養殖ロープに付着する副産物ダルスを収穫、乾燥・原料化後に佃煮等の食品への活用を図る。
      【事業主体:株式会社積丹スピリット】
    5. ウニ殻やコンブの循環サイクル、コンブの再資源化による地域経済波及等に関する成果報告会を実施するとともに、媒体を通した広報・PRを通じて、地元観光業等に関わる事業者の意識喚起、町が推進するブルーカーボンクレジット化を促進する。
      【事業主体:積丹町】

    現在の進捗状況

    • 本事業は町内経済産業団体で構成する「積丹町地域活性化協議会」が事業主体です。当協議会総会において予算配分額を決定、民間主導による事業化を見据え、民間事業者が担当セクションごとの取組主体となり各事業を推進中です。
    • 藻場造成活動(ウニ増殖およびブルーカーボン事業)におけるウニ除去およびウニ殻肥料海中設置に係る潜水作業用ドライスーツ(2着)及びレギュレーターオーバーホールを購入済みです。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 効率的かつ安定的なウニ殻の収集方法と保管場所の確保
    • 人員の確保及び施設整備(ハード系事業)財源

    事業を実施した効果、住民などの反応

    これまで使用していたドライスーツの老朽化による水漏れや耐寒性の低下、さらに、バルブの不具合等により藻場造成活動従事者(地元漁業者)の作業負担が非常に大きく、身体的にも危険な状態になっていましたが、新規にドライスーツを購入したことでこの問題が大幅に改善され活動が安全かつ円滑に行えるようになりました。また、9月に実施したウニの移殖作業や増殖事業にも活用されました。

    これまでの事業成果

    1. 海の森づくり
      藻場を食べ尽くすウニを除去し海藻の畑を作り、胞子を出すコンブを移植。更にウニ殻を用いた施肥材を設置します。2009年度から活動を実施し、2023年度では4.1haの磯焼け海域で1.45haのコンブ群落が再生出来ました。
    2. ウニの安定供給
      2015年度から「海中篭肥育」や「陸上畜養」による飼育技術の開発により、出漁が不可能な日でもウニを安定供給できる技術を確立しました。
    3. ウニ殻の再利用(積丹方式)
      2015年度からウニ剥き身後の殻の有効活用について試験を開始し、殻を粉砕し天然ゴムで固化した「ウニ殻肥料」によりコンブ藻場の形成を実証しました。造成された藻場では、ウニ剥き身生産量の増加(磯焼け藻場に対して1.55倍)、販売額の増加(約3,550万円相当)、さらにCO2吸収量をブルーカーボンクレジットとして取引(6.4t-CO2)が行われました。(数値は何れも2023年度の実績)
    4. プロモーション活動等
      小学生を対象とした体験学習、児童や都市部の一般市民を対象としたセミナーにより、漁業と環境保全の重要性を啓蒙している他、プロモーション動画の作成等の理解促進活動を実施しています。また、藻場造成活動(積丹方式)が多くのコンテストで受賞したこともあり、全国の行政、団体等から情報提供依頼が届いています。

    今後の展開

    藻場で吸収する二酸化炭素「ブルーカーボン」による気象変動緩和策が注目されています。積丹町では2023年度から、この吸収量を「ブルーカーボンクレジット」として取引を開始しており、漁業者の藻場再生活動への新たな資金確保によるブルーカーボン事業の拡大に繋げていくとともに、企業側へもCO2排出量削減目標等、環境へ配慮したPR効果も期待しています。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    積丹町の海で開発した技術や経験などを広く情報公開することにより、全国の磯焼けに苦悩している漁村の環境保全対策に繋がり、海の豊かさが守られる(SDGs14)ことを望んでいます。

  • 上士幌町

    2023年度選定事業

    上士幌町における自動運転バスの社会実装

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    上士幌町

    事業費
    10,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    上士幌町における自動運転バスの社会実装

    現在の運行ルートはコンパクトシティの中心地である市街地エリアが中心となっているが、より多くの住民の移動ニーズに対応するため、網の目の運行ルートになるよう全体のマッピングを2024年度は進めています。

    上士幌町には市街地から約25km離れた距離に人口約90名の糠平地区があり、温泉街となっていることから観光客やビジネスパーソンも訪れます。現在は、民間の路線バスが帯広市から糠平地区まで運行しているほか、上士幌町市街地から糠平地区間の運行もしているが本区間は利用者が少ないため運行費の1/2を町が負担しています。今後、さらに利用者が減少し運行費の負担が増えることや運転手の確保が難しくなることで上士幌町市街地から糠平地区間の路線が維持できなくなる懸念があるため、代替手段として自動運転技術の導入やデマンド化を検討しており、住民と観光客の両者の移動手段の確保を目指します。

    2025年度以降、糠平地区への中長距離移動に適した50〜60km/hで自動走行可能な車両の購入及び運行計画を具体化していきます。

    現在の進捗状況

    自動運転バスの実装化に向けて、自動運行レベル4の申請を進めており、2024年度中には市街地を走る定期運行路線の一部でレベル4での運行が可能になる予定です。

    上士幌町市街地~糠平地区への自動運転バス導入については、山間部における自動走行・遠隔監視に関する通信環境の検証をしており、現在検証結果の取りまとめを進めています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    自動運転技術の導入は、コストの負担が大きいことに加え、自動運転のセッティング、自動運転走行に関する申請が複数あり、運行開始までのスケジュールが予定通りにいかないケースがあります。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 上士幌町では自動運転バスの導入について、段階的に実証することで町民の社会受容性を少しずつ醸成してきました。
    • 自動運転バスの定期運行については、これまで運行している公共交通を補完する形で運行しており、1日約10名程度が利用しています。

    今後の展開

    • 定期運行中の自動運転バスについて、運行ルートの拡張やダイヤの見直しを行い、町民利用促進を図ります。
    • 自動運転レベル4の実現のため、環境整備及び各種申請を進めるとともに、糠平地区など市街地以外で抱える交通課題解決に向けた自動運転技術導入についても進めていく方針です。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    北海道の多くの市町村で交通機関の担い手不足や利用者数の減少などによって交通機関が維持できないという課題に対し、持続可能な公共交通網の構築に向けて取り組んでいると思いますが、上士幌町では自動運転技術の導入を進めています。他市町村にて自動運転技術の導入が進むことは、その地域の交通課題解決につながるとともに、複数の自治体で共通のシステムを利用することで運行に係る経費が抑えられる可能性があることから、他市町村での実施が進むことを望んでいます。

  • 滝上町

    2023年度選定事業

    木質バイオマスの電気と熱を利用した陸上養殖とエゾシカ加工施設運営

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    滝上町

    事業費
    34,300万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    木質バイオマスの電気と熱を利用した
    陸上養殖とエゾシカ加工施設運営

    閉校校舎の省エネ改修によるリノベーションを図り、建物の荒廃を防ぐとともに、木質バイオマスを資源とするCHP熱電併給施設と太陽光発電を組み合わせ再生可能エネルギーの活用を中心に据えました。再生可能エネルギーを活用した発電と熱源を用いたサクラマスの陸上養殖とエゾシカの加工施設として校舎をリノベーションし、新たな産業を育て、雇用機会を創出します。

    新たな産業として陸上養殖とエゾシカを活用した新産業の創造に向けた検討を図ります。まず、町内の渚滑川流域に生息するヤマメを降海型のサクラマスとしての大型化を目指す陸上養殖を行い、ブランド化による特産品としての高付加価値化、渚滑川を活用した水資源の活用など、地域の持続可能な産業を目指します。また、エゾシカは農作物や森林に被害を与え、駆除対象となり年間約1,400頭が駆除されているが、駆除した個体のほとんどを廃棄しています。このため、SDGsの観点からエゾシカ肉を食用やペット向け商品の開発を進め、地域の持続可能な産業としての発展を目指します。

    2024年度は、これらの施設整備、再生可能エネルギーの導入、新たな産業おこしのための実現可能な事業化を目指すための基本構想、市場調査、基本計画を策定する年度とします。

    2024年度 基本構想、計画、市場調査
    ※CHP電熱供給施設及び太陽光システムは環境省地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用します。

    現在の進捗状況

    目的にある本調査事業実施のため専門的知見を有するコンサルタント(東京理科大学インベストメント・マネジメント)に事業委託し、滝上町の各種資源調査等を実施するとともに、閉校校舎等を含む本町の施設・人材などの現地調査と陸上養殖やジビエ施設等国内先進事例のヒアリング調査を行っています。まずは担い手として期待ができるハンター(エゾシカ加工施設)との協業により加工業としての可能性を探っています。

    廃校の活用検討調査
    鹿処理場のクリーンセンター視察

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    本町が抱える遊休施設と未利用資源の活用を掛け合わせ事業化の道筋をつけるためには様々な専門的知見や経験・知識がさらに必要であると感じています。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    エゾシカ加工施設について担い手であるハンターが積極的に関わっていただいているほか、陸上養殖に関しても興味関心をしめす人材がいます。また、町議会においても廃校施設の利活用の議論が深まるなど、遊休の公共施設の活用について町全体の課題として見直されつつあります。

    今後の展開

    目的のとおり本町の資源活用や課題解決を図るための陸上養殖、エゾシカ加工施設等の施設構築にむけた基本計画を策定するため、2カ年で調査研究を深めます。

  • 浦幌町

    2023年度選定事業

    うらほろキッズマラソンを核とした地域住民の健康づくり

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    浦幌町

    事業費
    1,821万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    うらほろキッズマラソンを核とした地域住民の健康づくり

    うらほろマラソン「キッズチャレンジ」を発展させて、子どもたちと地域の「ウェルネス」に貢献します。参加する子どものサポートの質を向上しつつ、参加人数・参加地域の拡大を図ります。

    1. キッズチャレンジの充実・発展
      • トレーニングを重ねるとその努力が形になって見えるツールとしての「チャレンジパスポート」を制作し子供たちが活用できるようにするとともに、町内イベントの実施、町内各拠点におけるサポート及び公式LINEによるサポート等を実施する。
      • 連携している地域における子供を応援する取組について交流やフォローを行う。
      • アスリートとの連携により、「走り方教室」やオンラインイベントを開催し、専門的な指導を受けられる機会を設ける。
      • 走ることで参加する他に、大会運営を支える「こどもサポーター」を導入し、スポーツを支える立場からの関わりも創出する。
    2. 歩行アプリの導入による保護者・地域住民の取組
      • キッズチャレンジに参加する子どもに伴走する保護者・地域の方々も楽しめるよう歩行アプリを導入する。
      • 歩いたり走ったりしてアプリで貯めたポイントを大会当日の「ゴールピクニック」で使用できる飲食券などと交換できるようにし、健康づくりへの関心を高めてもらう仕掛けとしても試行する。

    現在の進捗状況

    2024年度の事業は7月31日で実施完了。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    1. 親子でチャレンジを継続する仕掛けが必要
      子どもに伴走する保護者の継続を促す仕掛けが難しく、1ヶ月のうち後半に行くにつれてアクティブユーザーの減少が見られた。
    2. 1ヶ月の期間だけでなく、年間通した取り組みにする
      参加した子どもやその保護者からは終わったあとも運動習慣を促進する仕掛けがほしいという意見も多数寄せられている。
    3. 他地域展開の際にコーディネートする団体が少ない
      他地域では事前からコーディネート団体と連携し、主体的に取り組む協働パートナーの関係を結ぶ必要性がある。
    4. 参加者の97%を十勝管内在住者が占めており、本イベントを社会的に展開するなら他地域イベント等との連携が必要
      十勝管内の参加者で97%を占め、3%は札幌や釧路等の十勝管外から参加いただいた。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    うらほろマラソンには、総勢約3,000名の方にお越しいただき大盛況で終えました。子どものマラソンは548名(前年比134%UP)、0-79歳の老若男女が参加した5kmウォーク/リレーマラソンは381名(前年比340%)と多世代が参加するイベントとなりました。

    1. 浦幌町の小学生、約50%が参加
      浦幌町の小学生162名中77名が任意で参加した。学校だけではできない運動習慣の促進に貢献していると高評価をいただく。
    2. アプリを活用して子どもとコミュニケーションするきっかけに
      482名がアプリをインストール。親子での挑戦や地域の方々も一緒に取り組めたという声をいただく。
    3. 専門的な知識も取り入れた取り組み
      アスリートによる走り方教室を実施したことにより、今後も継続してほしいと希望をいただく。
    4. マラソンを入り口にした教育的要素
      「保護者以外の地域の大人と走ること」や「マラソン当日の職業体験」など家や学校以外の社会を知るきっかけとして満足度が高かった。
    5. 歩行アプリによる仕掛けを継続・日常化を求める声
      日常から意識して取り組める仕組みづくりの希望をいただく。
    6. 町内関係企業との連携の可能性
      町内関係企業より日常の運動習慣の促進や健康づくりの機会を協働・連携し行っていく可能性を示唆いただく。

    今後の展開

    うらほろマラソンキッズチャレンジは継続していく予定です(次回は2025年6月22日開催で検討中)。うらほろマラソンのようなイベントベース(約1ヶ月間)での運動習慣の促進ではなく、日常から町民の健康づくりを目指します。今回の親子での取り組みや歩行アプリの活用は、子ども・保護者・高齢者世代の運動習慣の促進に寄与することを実感しました。町のコミュニティとなり得る郵便局やスポーツセンター、公民館等を活用し日常の活動に落とし込む仕掛けを作ります。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    本イベント参加者の満足度は高いため、十勝エリア以外ですでにマラソンイベントを行なっているエリア等で既存の大会・イベントに付け足す形でキッズチャレンジを実施してほしいです。北海道は、全国と比較しても子どもたちの体力テストの結果が良くないというデータも出ているため、この取り組みが、北海道のウエルネス課題を解決する一手になることを願います。

  • 更別村

    2023年度選定事業

    高齢者などの訪問見守りや福祉介護などへの橋渡し事業(コミュニティナース事業)

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    更別村

    事業費
    3,300万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    高齢者などの訪問見守りや
    福祉介護などへの橋渡し事業(コミュニティナース事業)

    本村が掲げるスーパービレッジ構想を進めている中で、希薄になった人と人のつながりを紡ぎ直すために「デジタルを駆使したサービス」と「マンパワーによるサービス」のハイブリッド型で推進している。そのマンパワーによるサービスとして株式会社CNCが提供している「コミュニティナーシング(※1)」を活用する。本村においてコミュニティナース(以下:コミナス)は、2023年度より実施している1人暮らし高齢者と高齢者夫婦世帯の訪問見守りにより医療や介護・福祉などにつなぐといった役割のほか、地域住民にコミュニティナーシングの理解を深めていただき、「村民コミナス」を増やすことで、住民の生きがいをみんなで作り上げ実現させる事業などを実施している。

    また、住民との接点を記録し各個人の情報を集約させた「コミナスカルテ」を作成し、コミナスとのふれあいの経過だけではなく、その方の人生の歩みやバックグラウンド、嗜好性や特技なども記載することとしており、その一部について保健師や医師・看護師の連携を目指している。本村の診療所では家庭医療(総合診療)を実践し、病気とともにその人の状況を診察する診療であることからその親和性が高く、本村の医療にとってもなくてはならない事業のひとつにしていきたい。

    訪問時のヒアリングの様子

    (*1)コミュニティナーシング:住民の生活の動線に入り込み、元気なうちから身近な存在になることで、心と身体の健康と安心を実現するための方法であり、例えば地域での役割をともに探し出し、その役割を与えることで他社との関係性を築き、地域における生きがいを創出することにつなげるものである。

    現在の進捗状況

    • 2024年度は、「成人・高齢者等訪問事業」として高齢者以外の住民の訪問も加えた形で実施しており、111名の対象者のうち9/20現在で46名へ1回目の訪問を完了。これにより、保健師が把握できなかった住民の実際の生活状況について把握することが可能となり、さらに「コミナスカルテ」を保健福祉課と部分的な共同利用を開始したことにより、住民の健康状態が共有できたことは非常に大きい。また、これにより住民の健康改善の提案や進捗の確認が相互に行われるようになり、住民の健康・福祉の向上に寄与できた。
    • 「村民コミナス」も2023度末の40名から9/20現在で66名に増加しており、住民への浸透が進んできている。これはJICA帯広との連携による共同イベントや村診療所医師との共催イベントの開催等によるところが大きい。11月には日本郵便㈱と㈱CNCと更別村の3者連携協定の締結も予定しており、郵便局での「まちの保健室」事業による村民コミナスの増加や村内のコミュニティナーシングの普及が期待される。
    • コミュニティナースにはデジタル推進員としての一面もあり、スマホ教室やeスポーツ体験会、国内外をオンラインでつなぎ疑似旅行を体験できるオンラインツアーの実施などのイベントのほか、日頃から滞在している福祉の里温泉ロビーでのスマホ等の相談に応じることで、デジタルデバイド対策にも貢献している。その中でもeスポーツ体験会やオンラインツアーの実施は好評で、高齢者の外出機会の創出に一役買っている。
    スマホ教室でライン友達に
    カフェイベントでのeスポーツ体験

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    当初はコミナスの事業への理解が、行政としても進んでおらず福祉部門との連携が難しかったが、学習会の開催やイベントへの参加等により徐々に理解が進んだことで定例の打ち合わせを実施するまで連携を深めている。

    過去2年間で高齢者をメインで事業を行ってきたこともあり、高齢者への事業の理解度、普及はとても順調にきているが、高齢者以外への普及活動にとても難しさを感じた上半期であった。住民が「自分はまだコミュニティナースにお世話になる年齢ではないから、自分には必要がない」など住民に対し関心、興味を持ってもらうきっかけを作ることに課題を感じていることから、村内事業者や地元の更別農業高校での授業等の一環でワークショップを実施するなど、より多くの世代を巻き込んだイベントの開催等により多くの住民のきっかけづくりをしていきたい。

    保健師との打ち合わせ
    更別農業高校とのワークショップ

    事業を実施した効果、住民などの反応

    住民からは、「自分のことを気にかけてくれる人がいることの安心感がある」「1人では行動できず、何から行動したら良いかわからなかったが、コミュニティナースに相談できたことで一緒に行動できるきっかけになり安心することができた」といった声を聴くことができ、存在価値が高まっていると感じている。これは、温泉施設のロビーに常駐しており、日々住民の動線にいることが要因である。

    その他、コミナスの活動として、コーヒーを淹れることが好きな住民の思いを形にしたカフェイベントを定期的に行ったり、パークゴルフ大会や麻雀大会など住民のやりたいことを支援し、住民自ら生きがいを持てるような環境の構築を行っている。パークゴルフ大会に参加したある高齢者はそのイベントで知人に会えることがうれしく、それまで苦痛だったリハビリを懸命に取り組み、リハビリの先生と一緒にイベントに参加することや、定期的に参加する住民同士が日頃の微妙な変化に気づけるようになったなどの効果につながっている。

    また、大会には地元の企業が協賛してくれるなど地域に愛されるイベントへ成長する芽が出てきている。

    カフェではいろんなお話に花が咲く
    パークゴルフで友達と久しぶりに再会

    今後の展開

    2024年度下半期は、既存の高齢者との関わり継続していくほか、65歳以下の住民にもコミナスの活動を知ってもらうことをしていきたい。また、11月以降は協定締結により村内郵便局2ヶ所で「まちの保健室」事業を実施する予定でひとりでも多くの住民との繋がりをつくっていきたい。

    ただ、現状「個人情報の取扱い」や「契約」により、村の保健師などの限られた人しかコミナスカルテの閲覧ができないことや、コミナスカルテへの入力はコミナスしか行えないこともあり、十分に活用できていない。2025年度は、村社会福祉協議会や村診療所など新たな連携先を増やし、双方向の運用をすることでより精度の高いものを目指します。将来的には、村民コミナスも交えてコミナスカルテが情報の集約点となり、村の関係者がひとつになり、健康寿命の延伸はもちろん、孤独孤立の解消やフレイル対策にも役立つような形を目指していきたい。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    ぜひ実施してほしい。人生100年時代と言われ始めたこの社会で、公的サービスや福祉、医療業界の力だけではカバーできない人が今後かなりの数が増えると予想される。そのため、これからは地域の力、地域住民の力が必要とされてくる。地域と繋がり、社会と繋がりを作れるコミュニティナースが他地域でも増えることで、心地の良い予兆検知をし合える地域が増え、健康寿命の延伸が期待できる。そのため他の市町村に限らず、民間企業などとも一緒に実施できればと思っている。コミュニティナースは様々ものとコラボができる。例えば宅急便や、バスの運転手など生活の同線にあるものとは相性がとても良い。そのため行政のみならず、多くの民間企業とも一緒に行っていくことができると考えている。

  • 名寄市

    2023年度選定事業

    スポーツ(運動)と食を通じた市民の健康づくりとジュニアスポーツ選手の身体づくり

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    名寄市

    事業費
    1,761万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    スポーツ(運動)と
    食を通じた市民の健康づくりと
    ジュニアスポーツ選手の身体づくり

    1. 実施主体
      Nスポーツコミッション
    2. 提携先
      名寄市立大学コミュニティケア教育研究センター
    3. 実施事業概略
      産官学連携組織のNスポーツコミッション(スポーツ関連事業)と名寄市立大学コミニティケア教育研究センター(栄養学科を有している大学)共同で、それぞれの知見や機能を生かして活用して「スポーツ・運動」「食」をつうじた市民の健康づくり、及びジュニアスポーツ選手の身体づくり等に資する事業を実施する。
      また、将来的には、自然豊かな環境で育った栄養豊富な食材を活用した「健康づくり」「身体づくり」等をテーマにした、商品販売(お弁当等)を行い、地域資源・経済循環型で健康づくりに関するエコシステムを形成しながら、地域一体が健康づくりの拠点となるように各種事業を実施する。
    4. 実施事業
      2023年度より、Nスポーツコミッションと名寄市立大学コミュニティケア教育研究センターで実施している体組成成分分析装置(Inbody470)や骨密度測定装置を使用して実施している市民の健康データの蓄積・分析事業に加えて、栄養・運動指導及び食事提供等を実施することで、質の高い健康サポートを実現していく。
      また、企業向けの健康づくりサポートに取組むことで、企業の活力向上・組織の活性化を図り、生産性の向上を図り地域活性化につなげるとともに、下記(1)(2)によって蓄積した運動・健康データを分析して、名寄市の地域性に合った健康づくりに関する研究を行うとともに、健康データの蓄積・分析業務に携わっている学生のキャリア形成(志願者増加)、学生自身の体力向上・健康増進・学習意欲を向上を狙うほか、栄養・健康系企業へ優秀な人材輩出、教職員の研究推進につなげていく。
      (1)市民向け健康サポート事業(市民健康づくり事業、ヘルシー弁当レシピ開発、大学生健康サポート事業、ジュニア選手育成事業)
      (2)企業向け健康経営サポート事業(Inbody測定等及び運動・栄養指導料、スポーツエールカンパニー認定取得サポート働く女性の健康サポート)
      (3)健康づくりに関する機器整備事業(運動機器整備、調理機器整備)
      (4)健康づくりに関する調査・研究事業(調査研究員人件費、調査研究費、講演会等開催費)

    現在の進捗状況

    市民の健康サポート事業では、地元大学生考案によるヘルシー弁当のレシピ開発がほぼ完成に近づき、アドバイザーや弁当製造元との試食会を重ねながら、ウィンタースポーツの大会や合宿で訪れる選手等に販売できるよう準備が進められています。また、個人・企業向けに、体重・体脂肪・体成分など詳細な評価ができる測定機器を使った測定会に併せて、評価に基づく栄養・運動指導を行い、市民の健康づくりの意識向上に取り組んでいます。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    事業そのものは順調に進んでいますが、物価高騰でヘルシー弁当のレシピ開発に関連して、販売する弁当の材料費高騰や、調理機器の購入費用の高騰が問題となっています。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    健康レシピ開発にあたっては、大手食品メーカーのサポートを受けることとなり、栄養学科を有する地元名寄市立大学にとって大きなPR効果をもたらすとともに、レシピ開発に取り組む学生にとっても実践的な学びにつながっています。また、企業向けの体成分等測定会では、測定後、測定結果の話題で職場内の会話が盛り上がり、みんなで健康づくりに取り組もうという雰囲気が生まれるなど、健康づくりの視点から企業の活性化にもつながっています。

    今後の展開

    引き続き、地元大学との連携を図るとともに、これまでスポーツ振興や健康づくり事業に直接的に関わりのなかった企業・団体と、まちづくりの視点から、スポーツ・運動の振興に取り組みたいです。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    高齢者向けのスポーツ・運動の振興、健康づくり推進ではなく、子育て・働き盛り世代をターゲットにした事業を推進することで、その家族も含めた事業効果が得られ、地域の活性化につながります。

  • 占冠村

    2023年度選定事業

    カエデから採取できる樹液を村の特産品「メープルシロップ」にする事業

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    占冠村

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    カエデから採取できる樹液を
    村の特産品「メープルシロップ」にする事業

    メープルシロップの生産者の高齢化や設備の老朽化により生産量が減少しているため、事業拡大にためには生産体制の再構築が必要です。

    1. チューブを使用した採取網を構築
      樹液は、従来一本一本の木にドリルで穴をあけ、その樹の下にホースとタンクを繋げて採取し、タンクが満タンになると人がそのタンクを倉庫に移動させる工程となっていました。これを林内の20本程度のカエデをチューブで繋ぎ、樹液採取箇所を集約。作業効率化を図り、人手不足を解消することを想定しています。使用するチューブは北米で使用されている採取専用のシリコンチューブを輸入します。
    2. 煮詰め施設の刷新

      煮詰め窯は、数十年経過しているため老朽化し、昔ながらの製法となっているため手間がかかり、生産量も多くない非常に効率の悪い状態となっていました。また、その煮詰めする生産施設は使用していない車庫を改造したもので、新しい煮詰め窯が入らないためあわせて新設を検討しております。敷地内の空いている建屋を改築し、従来の煮詰め窯と樹液保管設備も移設し、そこに新たな煮詰め窯を新設し生産性を高めます。

    現在の進捗状況

    煮詰め窯については、北米で一般的に使用している機械の購入手続きを行っており2025年1月までに輸入予定です。
    建屋の改築に関しては、当初予定していた建屋が老朽化の為使用できないことから新たにログ倉庫建設に切り替え実施に向け調整しています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    当初予定していた改築予定建屋が柱等の老朽化から使用できないとの判断になり、新たにログ倉庫建設に変更となったことから、実施予定地の選考や周辺住民との調整などが必要になりました。一方で周辺住民への説明を行ったことで新たにメープルシロップ事業を村民や来村者に広める機会となりました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    まだ事業を実施していない為具体的な効果等は記載できないが、事業実施場所を新たに占冠地区とすることで同地区の活性化につながる等期待をいただいています。

    今後の展開

    建屋の改築及び採取、製造器具の更新を行うことでより効率的な製造を行い事業の収益性を高めます。また、煮詰め施設を整備することで見学等も積極的に受け入れ、村民や来村者に事業の素晴らしさを伝える活動を積極的に行なっていきたいです。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    ぜひ実施してほしいと考えています。楓を活用したシロップ製造事業は長いスパンで持続的に展開することができ、事業の実施により森林の整備も行うこととなる為、日本各地の里山を維持、管理しながら収益を上げていくことが可能です。通常の林業施業と組み合わせて行うことで、森林の持続可能性を高めていくことができる事業です。

  • 中頓別町

    2023年度選定事業

    地域の公共交通を維持して地域住民サービスを維持したい

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    中頓別町

    事業費
    11,170万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    地域の公共交通を維持して
    地域住民サービスを維持したい

    本町は、地域の拠点病院や大型の商業施設等がある都市部との距離が離れており、最も近い鉄道路線駅までは約40㎞、拠点病院までは約90㎞もの距離を有し、最寄りの高校は約20km離れた隣町にあります。

    一方で、町内を運行する公共交通は、路線バスが1路線と都市間バスが2路線、タクシーが1台という状況です。高齢化が進み、自家用車を持たない住民が増えていることや公共交通に頼らざるをえない高校生年代をはじめとして、路線や便数の維持も含めた公共交通手段の確保は住民の生活に直結する極めて大きな問題です。

    そんな中、全国的な課題である物流の2024年問題により、本地域における公共交通においてもドライバー不足が見込まれ、便数の減や路線の廃止、公共交通事業者に対する費用負担の増加が見込まれます。

    このことを踏まえ、隣接する自治体、地域住民及び地域の交通事業者と協議を行い、民間事業者により運行していた路線バスを2023年10月から町営のデマンドバス及び高校通学用スクールバスとして運行し、地域の交通手段を維持・確保していくこととしました。2022年度に車両購入及び車庫の整備をし、2023年8月から2ヶ月間の実証運行、2023年10月から本格運行を開始しました。2024年度以降についても既存のスクールバス、高校通学用スクールバス、デマンドバスを合わせた体制で運行を継続します。

    運行に係る経費については、国庫補助金や運賃収入を確保するとともに、経費削減に努めて将来にわたって持続させていきます。

    現在の進捗状況

    2023年9月末をもって町内を走る路線バスが廃止されたことに伴い、2023年8月からデマンドバスの実証実験、10月から本格運行を開始し、地域内の交通手段の維持に向けて取り組みを進めてきました。デマンドバスは、前日までの予約制による運行であり、予約不要の路線バスに比べると不便な点もありますが、少しでも利用しやすくなるよう2024年度からはオンライン予約システムを導入しております。また、2023年度の実績では、従前の路線バスへの赤字補填に比べると経費を低減することができております。

    従前は、隣町の高校への通学には路線バスが利用されておりました。路線バスが廃止されたことにより、新たに一般混乗可能の高校スクールバスを運行しております。これによって、授業や部活動などのスケジュールを反映し、ある程度柔軟に運行することが可能となり、通学生にとって利便性が高まりました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    課題としては、予約制であることから、突発的なニーズをデマンドバスでは拾えないこと、周知が届いていない来訪者などが利用する際に乗車できない可能性があることが挙げられます。このことについては、音威子府駅での飛び乗り対応などを継続協議していきます。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    中頓別町では多くの方が自家用車を保有しており、公共交通への依存は少ない地域であります。そのため、当初は予約制への移行することで、利用へのハードルが高まり利用件数が減少することを想定しておりましたが、2023年度の実績では目標値を上回る利用がありました。これは、実績の数としては少なくても、交通手段が無くなることで困る方が確実にいることを示していると考えられます。あらためて地域に必要な交通手段であることを認識しました。

    一方で、これまではその日思いついた時に路線バスを利用して近隣町村に移動することができておりましたが、予約制となったことで事前スケジュールを組まなければならなくなり、一部の方からは、これまでのライフスタイルとのギャップによる不満の声が出ております。

    今後の展開

    新たな公共交通が地域の個人の生活に馴染むまでには時間を要するため、まずは、現在のデマンドバスや高校スクールバスを継続的に運行してまいります。

    デマンドバスや高校スクールバスの一般混乗、都市バス、ハイヤー・介護タクシー、なかとんべつライドシェア事業など、町内にも複数の交通モードが現存しておりますが、それぞれのモード間でこぼれ落ちているニーズがあります。新たな交通手段を増やすことは困難ですが、それぞれの運用を見直すことでカバー領域を広げ、地域で暮らす方の交通権を守ることができるよう公共交通の取り組みを進めていきます。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    過疎地域の自家用車保有率は高いですが、その中でも公共交通に頼らなければならない方もおられます。当町はデマンドバス・高校スクールバスというカタチですが、地域住民に添った公共交通のカタチを実施してほしいと思います。

  • 富良野市

    2023年度選定事業

    枝草ごみをバイオ炭化し新たな資源(土壌改良剤など)として有効に活用する事業

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    富良野市

    事業費
    927万円
    寄付額
    649万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    枝草ごみをバイオ炭化し
    新たな資源(土壌改良剤など)として
    有効に活用する事業

    市では、1985年から埋立処分場の課題解決の切り札として一般廃棄物のリサイクル事業に取り組み、2002年度からは「燃やさない・埋めない」を基本理念に、搬入量ベースで約90%前後のリサイクル率を維持しています。一方、剪定枝や刈り取った雑草等が対象となる枝草ごみは多くを堆肥化処理し、近隣の農家へ無償で引渡しをしているが、小枝や種子の混入により利用者が年々減少している状況があり、事業の継続性が危ぶまれています。

    そこで、枝草ごみの課題解決やリサイクル率の維持、ゼロカーボンを複合させた取り組みとして、枝草ごみを活用したバイオ炭製造を行い、運転手順の確立を進めながら品質分析や土壌改良材、融雪剤としての農場散布による効果実証試験にて製品改良を進め、炭化の有効性を高めます。

    1. 回収した家庭から排出される枝草類を「バイオ炭化窯」にて炭化。
    2. 既存の生ごみから製造している有機たい肥とあわせてバイオ炭肥料の生成のほか、春先の融雪剤の代替として利用有効性を検証する。(また一部は、炭化窯の燃料としても利用。)
    3. 農地へバイオ炭を散布し、その効果を検証する。(市内農業者の圃場にて実施)
    4. 本市の土壌特性、栽培品目に適したバイオ炭とするため分析結果を踏まえて改良していく。

    現在の進捗状況

    2024年6月にバイオ炭装置を設置して当初は様々な条件で稼働を行い、炭化対象物(草類)の水分量による影響や炭化時に必要な熱量調査を行った結果、炭化のポイントは炭化対象物の水分量が重要であると判明しました。以降は草類1に対して熱源となる木類2の比率で炭化作業を進め、重量及び容積の削減効果は70〜80%程度となっています。

    また、炭化物の燃料利用を調査したが灰分が高い(34%)ため、燃料利用の際は品種選定が重要と考えています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 当初は草類の乾燥に苦労したが、現在はバイオマス防湿シートと天日乾燥で対応しています。
    • 実証装置の草類投入量は1回あたり50㎏前後の少量であることから、草類全量(年間約400t)を炭化する場合には新たな装置や処理フローを構築する必要があります。
    • 炭化物は容易に細かくなり、想定以上の減容が見込めることから、様々な用途に利用可能と考えられます。
    • 炭化装置の準備・取出作業が人力によるため、夏場の作業が大変でした。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    実証事業のため広く周知は行っていないが、単一原料ではない炭化は珍しいようで別件で来られた視察者からの反応が高いことが印象的でした。
    また、バイオ炭を通じてゼロカーボン関連に携わる関係者との交流が拡大しました。

    今後の展開

    実証から本格事業に移行するためには、新たな炭化システムの構築が必要であることから、今回得られた知見等を活用して、更なる研究検証を進める予定です。
    また、生産したバイオ炭を農地施用のみではなく、Jクレジットへ活用するなども検討します。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    他の市町村でも実施して欲しいですが、多様な原料を使用しての炭化は改善の余地が大きいと考えるため猶予が必要だと考えます。

  • 標津町

    2023年度選定事業

    和紙の原料「ノリウツギ」の事業化に向けた地域住民への浸透と地域経済の活性化

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    標津町

    事業費
    560万円
    寄付額
    560万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

    和紙の原料「ノリウツギ」の
    事業化に向けた地域住民への浸透と
    地域経済の活性化

    標津町で生産される「ノリウツギ」という樹木からとれる原料は、国宝や重要文化財の修復に使われる和紙の原料の一つであり、持続可能な生産は日本の文化財修理や和紙文化を支えることにつながります。その普及啓発や地域の新たな文化継承として、地域の宝の一つである鮭と和紙を組み合わせた“鮭ちょうちん”プロジェクトの企画制作とその企画展を開催しました。

    1. 地元関係者と共に企画展の内容を協議し、鮭ちょうちんの基本型のデザイン設計を標津町内に所在する地元映像制作会社に発注。
    2. “鮭ちょうちん”を町民と共に製作し、新たな地域の特産品とすることを目指す。基本的なデザインのほか、製作する町民が各々独自のペイントをすることで、多様性のある作品へと作り上げる。
    3. 鮭、ノリウツギ、宇陀紙、文化財の修復といった様々な標津町に関わるキーワードを一つに繋げる企画展を町のシンボルの一つであるサーモン科学館で開催する。
    4. 宇陀紙を製作する奈良県吉野町で、標津町産「ノリウツギ」を原料に作られる手漉き和紙を使い“鮭ちょうちん”を地域住民とともに製作と展示を行う。
    5. 今回製作したちょうちんは、町の様々なイベントの場において展示し、ノリウツギプロジェクトのシンボルや町の新たな文化となるような取り組みに繋げていく。

    現在の進捗状況

    鮭ちょうちんの制作を行い、2024年7月13日から11月末日まで標津サーモン科学館で企画展を開催しております。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    事前に鮭よりも型が複雑でない“いくらちょうちん”を、町民の方々に制作して頂いた際、その製造工程が複雑であったため、幼児や小学校低学年の子どもたちが参加できる作業をいかに作るかに苦労しました。結果、マーブリングという和紙に色を付ける手法をこども園児らに行ってもらい、全ての世代の町民に参加していただける手法を確立することができました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    いくらちょうちんの制作にイベントとして町民の方々に実際に関わって頂いたことや、新聞や町広報などのPR活動により、様々な世代の町民の本プロジェクトへの理解を深めることができました。実際にサーモン科学館で開催した企画展には、町内外から多くの来客があり、企画イベントとしても成功したと考えています。

    さらには、今回の企画展を開催した結果、町の夏祭り実行委員会から、祭りで使う弓張りちょうちんを、和紙を使ったものにしたいとの依頼が来るなど、本プロジェクトを起因とした新たな流れが町民の間にも生まれてきていると大いに実感しているところです。

    本事業を通じて、町内外の人々に標津町のノリウツギが文化財修理に欠かすことのできない和紙原料の一つとなっていること、こうした活動が文化財保存に寄与していることなど、普及啓発につながったと考えております。

    今後の展開

    鮭ちょうちんを町の文化祭に展示するなど、鮭ちょうちんを標津町の新たな文化に根付かせるため、随時町内で催されるイベントや活動に利用していくとともに、文化財の保存や和紙文化の継承に寄与していきたいと考えます。

  • 札幌市

    2023年度選定事業

    健康増進に関する市民の意識変容の促進に向けた産官学連携の新たな取り組みを創出する

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    札幌市

    事業費
    1,500万円
    寄付額
    500万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    健康増進に関する市民の意識変容の促進に向けた
    産官学連携の新たな取り組みを創出する

    健康増進に関する市民の意識変容・行動変容の促進に向けて、産官学連携の新たな取組の創発と実践、成功事例を蓄積するとともに、「チ・カ・ホ」を最先端の様々な取組のショーケース機能として最大限活用し、「ウェルネス」を札幌市の新たな魅力として市内外に発信するため、NoMaps実行委員会等と連携し、以下の取組を行います。

    1. 共創プラットフォームの企画・運営
      幅広い「ウェルネス」分野の中で、「無関心層への働きかけ」という地域課題に合わせて深堀りし、多様なライフスタイルの市民を巻き込むため、対象に合わせて訴求するコンテンツを組み上げていく仕組みを作ります。「札幌市ウェルネス推進会議」のリーディングケースとして、「都心」や「働く世代」をテーマとした分科会を作り、専門性のある主体が協働する場を設置するとともに、札幌市のリソース、様々な関係者の知見、多様なアプローチ(ナッジ、ゲーミフィケーションなど)を蓄積し、効果的に結びつける人材を配置することで、行政や個々の企業では辿り着けない「共創による価値創出」を目指します。
    2. NoMaps WELLNESSの開催
      「共創プラットフォーム」における象徴的な露出の場であり、「ウェルネス」に関する最新情報の市民に向けた発信の場として、NoMaps WELLNESSを「チ・カ・ホ」にてNoMaps2024内のエリアコンテンツで開催します。
      NoMaps WELLNESSでは、「札幌市ウェルネス推進会議」参画企業を軸としつつ、他の多様な企業・団体なども交え、健康増進にかかる様々なサービス・プロダクトの紹介およびその体験ブースを展開します。また、広場エリアにて医療関係者及びサービス提供者らをゲストとしたステージコンテンツを展開し、「ウェルネス」に関する取組のショーケースとして、市民のみならず期間中に札幌を訪れている多様な方々に新たな体験価値を含めた情報発信を行います。

    現在の進捗状況

    2024年9月13日から9月15日まで、NoMaps WELLNESS 2024「めんどくさいから、始めよう。」を開催し、企画ブースには25もの企業・大学等が参画したほか、ラジオ体操指導士などを講師とした「ウゴク」イベント9件(一部雨天中止)や、関連ステージセッション10件を実施しました。出展者同士によるフレンドシップツアーや、ウェルネス関係企業によるリレーションシップツアーなど、一般市民向け以外にも、健康関連の取組を行う関係者同士の交流促進に取り組みました。

    メディア向けツアーも実施したことにより、イベント全体で6社以上の取材があり、オープニングセレモニーを中心に報道され、認知度向上につながりました。

    来場者数は全体で16,477人となり、多くの市民や来訪者に情報を届けられたことに加え、出展した企業・団体・大学の満足度も高く、次年度以降に向けて、改善しながら拡充して実施する方向性で検討しています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    オフィスワーカーに働きかけるにあたり、会場に来場する/企画に参加するといった行動を起こすほどのインパクトを与えるためには、新技術やサービスなど、更なるリソースの集積に加え、戦略的な広報が必要であり、今回の経験を踏まえた改善が必要と考えています。

    今回は実績がなく、参画企業を集めることに苦戦したため、出展効果など、企業に対する具体的なメリットを整理しながら、民間企業の投資に見合う枠組みにしていく必要があります。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    主催者である札幌市としては、幅広い多くの市民に、健康行動のきっかけづくりとしてアプローチできる有効な手段の一つになったことに加え、企業や大学などの関係主体とのネットワークの構築、健康タイプ診断などの新たな取組の試行実施の場として有効と捉えています。

    出展者である企業・大学にとっても、自社製品・サービスに対するマーケット調査や顧客獲得に加え、市民に相対する経験として人材育成などの効果がありました。

    今後の展開

    今年度の経験や課題を生かしながら、「NoMaps WELLNESS」を継続して共催し、より効果的な取組として育てていきます。事業を実施する中で、16,000人超の市民や十数社の企業が集まる注目のイベントを若手研究者や学生などの発信や交流の場に活用できれば、北海道・札幌のウェルネス分野の次世代を担う人材の育成につながると感じたため、次回はこの点を意識した企画を検討したいと考えています。

    また、この取組を通じて企業や大学とのネットワークも拡充したことから、「NoMaps WELLNESS」以外の取組の充実も図っていきます。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    道内唯一の政令指定都市として、道内の他の市町村とは異なる役割が求められますので、全国と比べても優位性の持てるプラットフォームとして充実させ、周辺自治体などの施策と連動することで、より波及効果の高い取組が展開できると考えます。

  • 留寿都村

    2023年度選定事業

    イエバエを活用した豚糞の有機肥料化とタンパク餌料化の実証事業(MUSCAシステム)

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    留寿都村

    事業費
    600万円
    寄付額
    420万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    イエバエを活用した豚糞の有機肥料化と
    タンパク餌料化の実証事業(MUSCAシステム)

    MUSCAシステムは、昆虫(イエバエ)を利活用し、家畜排泄物に代表される様々な有機廃棄物を、僅か一週間で有機肥料と昆虫タンパク餌料に再資源化(アップサイクル)する技術で、農林水産省が「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」として認定しています。今回、当村においてMUSCAシステム適用の可能性を調査し、検証試験を行うとともにその波及効果をより高めるための方策を検討します。

    1. MUSCAシステムによる当村内の豚糞の再資源化(肥料及び餌料化)試験
      当村内の2大養豚場の1つであるルスツ羊蹄ファーム㈱の豚糞処理にMUSCAシステムを適用し、最適な処理条件と併せ、肥料及び餌料が安定的に生成されることの検証と試験を行います。具体的な目標は、豚糞処理量の30%の有機肥料と3%の昆虫タンパク餌料(乾燥粉末ベース)が、一週間で安定的に生成されることとします。
    2. 生成される有機肥料及び昆虫タンパク餌料の安全性と品質に関する調査
      MUSCAシステムで生産される有機肥料は、ルスツエリアのみならず、道内における減化学肥料の取組を行っている農業者の協力を得て品質評価を行うとともに、養豚用の飼料作物(小麦他)の生産可能性も調査します。
    3. 寒冷・多雪地対応型MUSCAシステム(プラント)に関する検討
      寒冷・多雪地における実証プラントに求められる仕様とコストを、パイロットプラント(豚糞を日量1トン処理、宮崎県に立地予定)をベースに検討します。実証実験の結果、豚糞の処理と有機肥料の製造が可能ということになれば、将来的にはルスツ羊蹄ファーム所有農場内にプラントを建設して運用することも検討しています。
    4. 地域活性化と温暖化防止効果に関する基礎調査
      豚糞→【MUSCAシステム】→有機肥料→飼料生産 の循環構図を中心に、当村エリアの活性化につながる方策を検討します。具体例として、年間5千トン規模の有機肥料生産拠点の創出、豚肉・野菜加工品工場(セントラルキッチン)建設による観光業との連携、アスパラガスなど他農産品への波及、農産物残渣処理費用の節減、一般生活ごみ処理の迅速化などが考えられます。
      さらに、循環構図の確立に伴い温暖化防止効果の定量分析ができるのか(効果を試算できる機関があるのか)、Jクレジット創出につながるのかについて調査します。
    イエバエ処理による外観の変化
    検証で生産された飼料及び肥料

    現在の進捗状況

    1. 「MUSUCAシステムによる当村内の豚糞の資源化試験」については、ルスツ羊蹄ファームで発生する豚糞(肥育豚舎と繁殖豚舎より排出される2種類)に対して、MUSCAシステムによる処理の可否試験(500g小トレイ試験、7~8月3回、MUSCA宮崎ラボにて実施))を実施したところ、システムの適用が充分可能であることを確認しました。また、豚舎により物性の異なる豚糞の配合比率を検証することで、副資材の外部調達を必要としない自社農場完結型の経済合理的な処理の可能性を見出すことができました。
    2. 「生成される有機肥料及び昆虫タンパク餌料の安全性と品質に関する調査」については、北海道大学北方フィールド科学センター七飯淡水実験所と意見交換を行い、餌料サンプルを提供すれば各種サーモンの育成試験を実施できることを確認しました。
    3. 「地域活性化と温暖化防止効果に関する基礎調査」については、MUSCAシステムとJクレジットの可能性について、JAようていに対する説明会を実施しました。その結果、JAようていから、来年度以降のMUSCA肥料の圃場実験に関する協力や、JAの選果場等から排出される農業未利用資源の非公開データの提供、Jクレジットへの理解等を得ることができました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    養豚場内の排泄物処理設備の一部に不具合が発生し(マグナムポンプの不具合により、豚舎間の糞尿分離が不完全な状態となり)豚糞の正常な物性把握がやや遅れました。現行の処理設備はしばしば不具合が起きており、MUSCAシステムにおいても現場の過酷な環境に対応できる頑強なシステムが求められることを痛感しました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    当村の就業者の約3割を占める農林業者が組織するJAようていと複数回の面談および説明会をもち、MUSUCAシステムを説明してきました。堆肥化するには一般的に3~6ヵ月かかる作業が1週間と短期間で有機肥料化が可能である事、豚糞処理による異臭を抑制できる事、通常の堆肥化よりメタンの発生が大幅に節減される事に関心を持って頂きました。

    国は「みどりの食料システム戦略」において、MUSCAシステムを化学肥料の低減や温室効果ガスの低減対策に適したシステムと評価しています。

    今後の展開

    現時点での2024年度事業の進展状況から判断すると、「ルスツみどりの食料システム」の創出に向けたMUSCAシステムの実証プラント等が必要になります。そのため、2025年度はさらに踏み込んだ事業(2024年度事業の継続と深化)が必要と判断いたします。

  • 日高町

    2023年度選定事業

    身近な草花を見てみよう!調べてみよう!自然観察キットと図書の貸出事業

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    日高町

    事業費
    52万円
    寄付額
    52万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    身近な草花を見てみよう!調べてみよう!
    自然観察キットと図書の貸出事業

    1. 自然観察用の道具を持ち運びのできる箱に入れ、希望者・団体に貸出する事業(20セット)
      超観察ルーペ、ハンディ顕微鏡ZOOM、ハンディ顕微鏡DX、充電池を「ハコットトランク」に納める
    2. 顕微鏡の使い方をレクチャーする事業
    3. 図書館の周りの植物観察会の実施(年3回程度)
    4. 自然環境に関する図書の約100冊の購入・貸出。
      図書館での個人貸出のほか、学校の学級単位での団体貸出も想定しています。身近な自然や地球環境に興味を持ってもらえるような図書で、発行年が2018年以降の比較的新しいものを中心に選定します。

    現在の進捗状況

    図書館のまわりの植物観察会(みちくさかんさつ会)を実施しました。

    • 実施日と参加者数(2024年度)
      6月20日 2名、7月13日 4名、9月14日 5名、10月13日 6名
    • 内容
      図書館のまわりを歩いて植物を観察し、採取した植物を図書館内で顕微鏡やルーペで観察する。参加者は観察キットを4週間借りられる。
    • 展示
      購入済みの図書(約20万円分91冊)を図書館カウンター前で展示。観察キット体験コーナーを設置。布・印刷物・塩等を顕微鏡等で観察できる。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    課題

    • 参加者数を増やすことと、内容の充実のバランスが難しいです。顕微鏡の使い方を教えるためには少数の方が良いため、当面は参加者数を無理に増やさず、少人数で定期的に実施したいです。
    • 撮影する機材がなく、現在は担当者個人のスマートフォンを使用しています。担当者は講師の補助についているため、良いタイミングで撮影ができず、撮影のための人員と撮影機材が必要でした。(GoProのような手振れ補正機能付きで動画が撮影できるものが望ましい。)
    • 観察に時間がかかるため、本を紹介する時間を組み込むことが難しいと感じました。

    苦労した点

    • 物品の管理のため観察キットに図書館名をテプラで貼る作業が、細かなパーツがたくさんあるため時間がかかりました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 参加した小学生が、借りた観察キットを使って夏休みの自由研究をしたそうです。
    • 2024年9月の観察会ではツユクサの葉の気孔を顕微鏡で観察しました。
    • 参加した小学生・講師とも、簡易な顕微鏡で気孔のような肉眼では見えないものを観察できることに驚いていました。
    • ルーペの使い勝手が良く、当館の学芸員によると石器の剥離面等を観察するのにも使えるとのことでした。

    今後の展開

    • 冬期間は屋内で観察できるもの(新札等)や、可能であれば雪の結晶の観察会を実施したいです。
    • 学芸員と協力し、郷土資料館の収蔵物を観察するイベントにも観察キットが利用できそうです。
    • 学校と協力した顕微鏡体験イベントも今後実施したいです。
    • 2025年度は本と観察キットを関連付けた取り組みも実施します。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    • 実施してほしいと思います。物品を個人へ貸出できる仕組みを図書館は持っています。
    • 雑草に関する優れた図書が近年多数発行されているため、図書と関連付けた展開が可能です。
    • ハンディタイプの顕微鏡は設置の手間がかからず、気軽に身近なものを観察できます。
    • 子どもも大人も知的好奇心を刺激される観察キットをぜひみなさんに体験していただきたいです。

CONTACT

お問い合わせ

本件に関する問い合わせは、下記までご連絡ください。連絡はe-mailでのみ受付しております。

事務局:エア・ウォーター北海道株式会社 事業企画部内 地域応援室