about

ふるさと応援H(英知)
プログラムとは?

昨今、地球環境の危機が叫ばれ、食料問題やエネルギー分野をはじめとして、
人々の健やかな暮らしを左右する多くの社会課題に直面しています。

こうした中、200%を遥かに超える食料自給率の高さや、
国内随一の再生可能エネルギーの豊富さを例に挙げるまでもなく、
この大地が内に秘める多様な潜在力に目を凝らす時、日本のみならず世界が抱える社会課題に向き合い、
その持続的発展に向けて、北海道の果たす役割は、今後さらに大きくなっていくに違いありません。

エア・ウォーター北海道は、北海道の有する、その限りない潜在力と可能性を念頭に、
この“北海道”を基礎的自治体として支えている「市町村」の担う大切な役割に着目し、
道内全179市町村を対象に、
寄付支援制度「ふるさと応援H(英知)プログラム」を創設することとしました。

requirements

公募要項

2024年度

応募対象者

北海道内の179市町村

寄付の対象となる事業について

下記に記載する2つの条件を満たす事業とします。

  1. 当社グループの成長軸である「地球環境」と「ウェルネス」の観点を含め、様々な社会課題の解決に貢献する事業
  2. 原則2025年度に実施する事業とし、2025年度以前より継続している事業も対象とします。
    (2024年度に終了する事業は対象外)
  3. 総事業費にかかわらず、事業に対する本プログラムによる寄付金の効果が明確な事業

寄付金を交付する事業の選定について

応募期間内に募集があった事業の中から「ふるさと応援Hプログラム推進委員会」によって採択いたします。

ご応募について

2024/9/30、2024年度の応募を締め切りました。

企業版ふるさと納税

寄付の対象とする事業が内閣府による「地域再生計画」の認定を受けている場合、寄付の実施に当たり「企業版ふるさと納税制度」を利用することがあります。
※詳しくは下記の「公募要項」をご覧ください。

審査基準

交付する事業の審査は、次の視点を考慮しながら「寄付することが適当」と認められたものを総合的に判断します。

審査項目 審査の基準
① 持続性 一過性の活動ではなく、継続的な取り組みになることが期待される。
また、寄付実施後、自立的に持続する仕組みの確保、工夫がされている。
② 波及性 他の地域や組織がこの取り組みを参考にすることで、
同様な取り組みが面的に広がっていくことが期待される。
③ 創造性 課題に対する新たな視点で、オリジナリティある取り組みを展開している。
④ 協働性 様々な地域の主体と連携し、多くの住民の参画を得ながら取り組んでいる。
⑤ 地域への貢献 地域資源の活用など地域の特性を活かした事業で、
住民の満足度、地域活性化に資する取り組みである。
⑥ 将来性 次世代が活躍でき将来を見据えている。
北海道の未来に繋がり、新たな可能性を秘めている取り組みである。
⑦ 主体性 運営者が主体的に関与し熱意がある。
本プログラムを活用して新たなことに挑戦する。

公募要項等のダウンロード

2024年度「ふるさと応援H(英知)プログラム」の公募要項を公開しました。

schedule

スケジュール

2024年度

  • 2024
    6/3

    公募要項の公表

  • 2024
    9/2〜9/30
    13:00

    応募申請書の受付締切

    締切日までに応募申請フォームより直接入力してください。

  • 2024
    10月下旬

    一次審査

    「ふるさと応援Hプログラムサポート会議」にて一次審査を行います。

  • 2024
    11月上旬

    プログラム推進委員会

    プログラム推進委員会の審査により、最終的に交付する事業を決定いたします。

  • 2024
    12月下旬※1

    選定結果の発表

    ホームページで公表いたします。

  • 2025
    3月末まで

    寄付金の交付

    年度内に寄付金を交付いたします。

  • ※1 結果は2024年12月下旬までに公表を予定していますが、前後する可能性がありますので予めご了承ください。結果はホームページにて公表させていただきます。また、各市町村の事情に関わらず、電話やメールで合否の問い合わせをすることはご遠慮ください。
  • ※ 受付期間を過ぎての受付はしておりませんので、予めご了承願います。

member

選定委員

推進委員

  • 写真:磯田 憲一

    一般財団法人 HAL財団理事長

    磯田 憲一

    isoda kenichi

    北海道旭川市出身。
    明治大学法学部卒業後、北海道庁入庁。
    上川支庁長、総合企画部長を経て北海道副知事に就任し、2003年に退任。現在、一般財団法人HAL財団理事長、公益財団法人北海道文化財団理事長、東川町・北工学園理事長、君の椅子プロジェクト代表等を務める。

  • 写真:秋山 孝二

    公益財団法人 秋山記念生命科学財団理事長

    秋山 孝二

    akiyama koji

    北海道札幌市出身。
    千葉大学教育学部卒業後、中学理科教諭を経て株式会社秋山愛生館に入社。その後、株式会社スズケン代表取締役副社長等を歴任し、1996年に公益財団法人秋山記念生命科学振興財団理事長に就任する。

  • 写真:三島 敬子

    NPO法人Fit北海道会議理事長

    三島 敬子

    mishima keiko

    北海道大樹町出身。
    日本女子体育短期大学卒業後、株式会社セントラルプロモーション北海道代表取締役等を歴任。
    現在は、NPO法人Fit北海道会議の理事長、一般社団法人おおば比呂司アートコレクション代表を務める。食と観光のブランドの開発や指導など、地域活性化に尽力している。

  • 写真:篠原 結城子

    公益財団法人 北海道文化財団事務局長

    篠原 結城子

    shinohara yukiko

    北海道札幌市出身。
    藤女子短期大学卒業後、北海道庁入庁。
    環境生活部文化局局長や人事委員会事務局長次長を歴任する。2021年より公益財団法人北海道文化財団事務局長として、道内の文化や芸術の振興等の事業を推進する。

サポート委員

  • 写真:井田 芙美子

    株式会社いただきますカンパニー代表取締役

    井田 芙美子

    ida fumiko

    北海道札幌市出身。1980年生まれ。
    帯広畜産大学卒業後、足寄少年自然の家、然別湖ネイチャーセンター、十勝観光連盟を経て2012年3月に日本初の畑ガイド場を開始。女性起業家ネットワーク十勝〇〇婦人部代表、留学支援事業「北海道みらいチャレンジ」パートナーズリーダー、HBC「今日ドキッ」コメンテーターなど幅広く活動中。

  • 写真:中西 拓郎

    一般社団法人ドット道東代表理事・プロデューサー

    中西 拓郎

    nakanishi takuro

    北海道北見市出身。1988年生まれ。
    一般社団法人ドット道東代表理事。2012年北見市にUターンし、フリーランスとしてローカルメディア運営・編集・プロデュースなど幅広く道東を繋ぐ仕事を手掛ける。2019年5月、北海道の東側・道東地域を拠点に活動するソーシャルベンチャーとして社団法人を設立、現職。

  • 写真:中尾 敦

    公益財団法人はまなす財団事務局長

    中尾 敦

    nakao atsushi

    北海道帯広市出身。
    青山学院大学国際政治経済学部卒業後、北海道庁入庁。
    株式会社リクルート、北海道開発局、木古内町への出向後、鉄道課長、航空課長、広報課長、観光局担当局長を歴任し、2023年に道庁を53歳で早期退職。現在は、公益財団法人はまなす財団で全道の地域づくり活動支援に従事している。

  • 写真:伊東 和紀

    一般財団法人 HAL財団

    伊東 和紀

    ito kazuki

    北海道平取町出身。
    1974年北海道庁入庁。後志支庁長、人事委員会事務局長、危機管理監を歴任する。退任後は株式会社HBA常務取締役に就任。2020年より一般財団法人HAL財団にて、北海道の地域活性化に尽力している。

result

選定結果

2024年度選定事業は
12月下旬に発表予定です。

これまでの選定結果

2023年度選定事業

2023年度実績

応募
自治体
応募
事業数
寄付
件数
寄付
総額
46
市町村
52
事業
18
事業
11,335
万円

サポート委員の総評

株式会社いただきますカンパニー
代表取締役

井田 芙美子

基礎研究や教育事業、機械・備品購入など、多様な目的にご活用いただき、北海道の地球環境、ウェルネスの改善に貢献する事業が実施されたことを嬉しく思っております。個人的には、通常の補助事業では申請しにくいが重要なもの、意欲ある担い手を応援するものが、長い目で見て持続的な発展、継続につながると考えています。この寄付が、若者たちが希望を持って住み続けられる地域を育てるきっかけになれば幸いです。

般社団法人ドット道東
代表理事・プロデューサー

中西 拓郎

年度途中であるため、まだ成果が見えづらい事業もありましたが、多くの自治体が予算を有効にご活用いただいている様子がうかがえました。末席にて本事業に関与させていただき、光栄です。個人的な思いとしましては、「Hプログラム」があることで普段は掬い上げられない事業やチャレンジにスポットがあたり、北海道を魅力的にしていく人が1人でも増えていく未来を期待しています。

公益財団法人はまなす財団
事務局長

中尾 敦

地域の創意(叡智)により、多様な地域づくりが着実に進んでいるとの印象。特に若年層を積極的に巻き込んだ取組が多く見られたことは評価したい。一方で、今後の展開や持続性に関しては説得力に欠ける報告も散見された。今回の事業を通じて得られた成果や課題を関係者で分析、共有し、各プレイヤーの強みを活かした明確な役割分担の下、次年度以降の設計図を描いていかれることを期待する。 

一般社団法人HAL財団

伊東 和紀

この制度を通して、地域が抱える課題が明らかになり、企業がこれに向き合う中で、地域と企業との間にこれまでにない結びつきが得られたように思います。今後も継続される制度であり、地域の課題の解決と併せて、企業の社会的責任の新たな形が根付いていくことを期待したいと思います。

選定事業の実績報告
(2024年9月末現在の進捗状況)

  • 東川町

    2023年度選定事業

    資源米由来のごみ袋「ライスレジン」の製作 

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    東川町

    事業費
    754万円
    寄付額
    754万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

    資源米由来の
    ごみ袋「ライスレジン」の製作 

    東川町では「脱炭素化の実現」や「水稲作付面積の維持確保」と「農業所得の向上等」を目的に町内で生産された資源米(ライスレジン)を活用した新しい町指定のごみ袋を製作し導入するものです。

    事業スケジュール

    • 2023年11月 
      ごみ袋のデザイン制作
    • 2023年12月~2023年3月 
      ごみ袋の制作・納品
    • 2024年4月以降 
      ライスレジンごみ袋に順次切り替え

    現在の進捗状況

    東川町では「脱炭素化の実現」や「水稲作付面積の維持確保」と「農業所得の向上等」を目的に町内で生産された資源米(ライスレジン)を活用した新しい町指定のごみ袋を製作し、4月以降、従来品の在庫が無くなり次第、順次、新しいごみ袋に切り替えています。また、2024年4月17日~5月31日までは複合交流施設せんとぴゅあⅡで、2024年9月7日には「カーボンニュートラルフェスタ」の開催にあわせ複合交流施設せんとぴゅあⅠでそれぞれ展示を実施し、ライスレジンを活用した取り組みの普及推進に努めました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    ごみ袋の製造原価を従来品と同価格程度することが課題となっていましたが、ごみ袋の規格を5種類(10ℓ、20ℓ、25ℓ、30ℓ、40ℓ)から3種類(10ℓ、20ℓ、40ℓ)に整理し、1年相当分の一括発注により、製造原価が従来品と同価格程度に実現することができました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    環境配慮と農業振興の2つの地域貢献の視点、製造原価が同程度ということもあり導入には概ね住民理解が得られています。一方で、ごみの種類は全て文字色で区分する方式に切り替えたことにより、一部、間違えやすいという意見もいただいており、今後、ごみ袋の文字色の調整が必要であると考えています。

    今後の展開

    今後もライスレジンの原料となる資源米の生産振興の維持、ライスレジン商品の導入検討、上川・ひがしかわライスレジン連携協力推進会議を中心に広域的な普及推進、導入支援の取組。以上を継続して実施していく予定です。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    東川町の取組に関心があれば、他の自治体でも実施していただきたいと考えます。理由としては脱炭素化は全世界的には緊急的に解決しなければならない取り組みであること。これらの実現には事業者、自治体、住民の相互理解のもとに行われなければならないこと。また、米の生産維持による農業経済活動の維持にもつながるものと考えているからであります。

  • 東神楽町

    2023年度選定事業

    食用高タンパク植物「ウォルフィア」を町の新しい特産品として展開

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    東神楽町

    事業費
    6,796万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    食用高タンパク植物「ウォルフィア」を
    町の新しい特産品として展開

    本事業は、世界最小の花が咲く、食用高タンパク植物ウォルフィア(ウキクサの一種)の試験栽培を実施し、生産技術の確立を目的としている。将来、「ウォルフィア」を東神楽町の新規特産品として展開し、町内全体の経済活性化、東神楽町の知名度と魅力の向上を目指します。

    ウォルフィアは乾燥重量で40%の完全タンパク質を含む植物で、短期間で大量に繁殖する。必要な農地面積および水使用量は、大豆と比較して、それぞれ63分の1、230分の1、に削減可能である。年中、2日に1回収穫が可能で、単位面積あたりの年間タンパク質収量は大豆の18倍である。

    本事業ではウォルフィアの生産により、タンパク質生産の環境負荷の低減と食料安全を守り、安定的な生産確保を目指す。さらに、最新の研究によるとウォルフィアは光合成によって大量の二酸化炭素(CO2)を吸収することが示されている。ウォルフィアは大豆の5倍、二酸化炭素の吸収が可能である。

    現在の進捗状況

    現在、以下の3つの研究開発計画を同時に進めており、Floatmeal(フロートミール)株式会社と提携。同社は、ウォルフィアの持続可能で安定した生産技術を開発することで、食料安全保障を確保するとともに気候変動の抑制に挑む、北海道大学の学生が2024年5月に設立した北大発スタートアップ企業である。

    各事業の進捗状況

    1. 栽培方法に関する研究

      「ウォルフィア」の自社大量生産技術の確立と、将来的に契約農家への展開に必要な栽培プラットフォームの構築を進めている。

      2024年6月10日、同社は、株式会社三友環境総合研究所と「ウォルフィア」の生産および加工に関するパートナーシップを締結し、安平町に試験栽培の拠点を確保。2024年9月末時点で、安平町の拠点において、研究に必要な設備を購入し、ビニールハウス内に「ウォルフィア」栽培用ポンドの設置を完了させ、栽培実験を開始している。

    2. 炭素固定と環境修復に関する研究

      「ウォルフィア」などのウキクサは、水中のミネラルを吸収する優れた水生植物である。食用ウォルフィアは、食経験のない日本市場に浸透するまで数年の時間を要することが予想されるため、大量生産技術を応用し、町内養殖施設(杜のサーモンプラント・東神楽)の排水に含まれるアンモニアの除去やニジマスの餌としての活用が可能かどうかを実証実験している。

      また、ウキクサによる炭素固定の測定と吸収量の最大化を目指した取り組みも進めている。

    3. 地域との連携

      2024年8月4日に東神楽町で開催された花まつりのゼロカーボンブースにて「ウキクサ」をテーマにした体験型ワークショップを実施した。このワークショップでは、顕微鏡を使って「ウォルフィア」や「レムナ」という様々な種類のウキクサを観察するなど、子供たちが実際にウキクサを身近に感じ、その面白さを体験する機会を提供した。

      当日は、大人や子供を含め60名以上の参加者がブースに訪れ、ウキクサの観察を楽しみながら、その生態や役割について学んだ。参加した子供たちは、楽しみながらウキクサへの理解を深めることができ、東神楽町の自然や環境に対する関心を育む機会となった。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 当初のプロジェクト計画は、3年間のスケジュールとして見込んで策定されていた。そのため、延長がなければプロジェクトの全ての目標を完全に達成できるかどうかは不透明である。プロジェクトの延長に関する具体的な方向性が当初から明確に定義できていなかった。
    • 人手不足もあり、より効率的に事業を推進するためには、追加の人員確保が必要。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 花まつりでは、大ステージでMCの方からプロジェクトについて紹介され、町民の皆様に広く知っていただく機会となった。また、ブースには約60名が訪れ、そのうち約70%が子供連れだった。参加者たちは、顕微鏡で世界最小の植物「ウォルフィア」を初めて観察する体験に興味を持ち、楽しんでくれた。特に、子供たちはウキクサの魅力に強い関心を示し、非常に好評だった。
    • 杜のサーモンプラント・東神楽で実施した排水の浄化に関する実証実験については、北海道新聞にも取り上げられた。

    今後の展開

    • ウォルフィアの大量栽培方法に関する実証実験を進めると同時に、東神楽町の特産品化に向けた取り組みも並行して行う。既に高齢者向け食品の開発計画があり、今後は町民の皆様からの意見を収集し、協力を得ながら進める予定である。また、杜のサーモンプラント・東神楽で実施しているウキクサを活用した排水処理とニジマスの飼料実証実験が完了した後は、ウキクサを飼料とする「花のサーモン」というブランド化も視野に入れている。
    • プロジェクトを地域全体で支える取り組みとして、近隣の小学校で出前授業を実施するなど、町民と一体となって東神楽町の経済活性化に貢献していきたい。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    • 東神楽町でウォルフィアの栽培を新たな産業として発展させ、栽培プラットフォームを構築することで、東神楽町のみならず、道内他自治体や日本全体、さらには世界各地でのウォルフィア栽培へ展開・応用できるモデルケースを目指している。本事業では、ウォルフィアを栽培した経験がない人でもさまざまな地域で栽培が可能となり、さらに生産者の労働負担を大幅に軽減できる汎用性の高い栽培方法の確立を目指している。これにより、世界中のどこでも、その国の資源量(土地や水)に左右されることなく、栄養価の高い食料を安定的に生産できる技術を広めていきたいと考えている。
    • 食以外の分野でも、ウキクサを活用することで、屋内養殖やバイオガス生成などにおけるCO2排出量を大幅に削減できる可能性がある。この技術と方法は、他の市町村でも適用可能であり、地域の環境負荷軽減にも大きく貢献できると期待している。
  • 幌加内町

    2023年度選定事業

    幌加内高等学校とベンチャー企業によるそば殻などの未利用資源を活用し、新たな価値の製品を開発

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    幌加内町

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    幌加内高等学校とベンチャー企業による
    そば殻などの未利用資源を活用し、
    新たな価値の製品を開発

    本事業は、幌加内そばの製粉の際に排出される、そば殻、甘皮(3番粉)などの未利用資源を活用し、地域内に価値を還元させ、且つ首都圏での販売など幌加内町認知向上を狙った新たな循環モデルを構築することを目指します。

    協業先であるfabula㈱は「ゴミから感動をつくる」ことをビジョンに掲げ、新素材をつくる東京大学発ベンチャー企業です。食品廃棄物からコンクリートより強い素材をつくる独自技術を所有しており、そばの未利用資源から建材や家具など生活に纏わる製品の開発が可能です。北海道幌加内高等学校(農業科)の学生と共に、同社の技術「そばの町幌加内」を象徴とする新たなプロダクトを製造開発します。

    例として、そば殻からコースターや建築タイルを製造し町内のそば屋や施設で使用していただくことを想定しており、その後町外へも流通・展開させていきます。幌加内高等学校を卒業した「幌加内町ソバ循環プロジェクト プロデューサー 石川朋佳」と提携しています。

    現在の進捗状況

    幌加内高等学校(農業科)にて、年間をとおしての共同開発プロジェクトチーム(T×Hプロジェクト)を発足させ連携をしました。幌加内町内のそば事業者、役場職員、農業技術センター職員・観光協会職員が幌加内高校生と共に、幌加内町内の課題に向き合い、商品開発を行っております。生徒に課題を提示しながらプロジェクトを推進中です。

    現在の進捗状況は主に下記が完了しております。

    1. 幌加内高等学校(農業科)の授業の中での外部講師斡旋(デザイナー・小樽商科大学など)。
    2. 地域課題を見つめるアイデアソン(全2回)の開催(主催:富士通Japan株式会社)。
    3. そばの未利用資源(幌加内高校生が授業で打ったそば)の課題を踏まえ、食品廃棄物から新素材をつくる独自技術を持つ東大発ベンチャー企業(fabula㈱)実験1回目終了。
    4. 幌高商店会(幌加内高等学校内の販売会)にて、新素材展示。
    5. T×Hプロジェクト、月1回定例MTGによる高校生教育伴走。
    アイデアソンの様子
    商店会展示

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    石川プロデューサーからは、外部企業との認識のすり合わせ、高校生との協力体制の構築など、本プロジェクトに関わる方の立場やそれぞれの目的を尊重して進めていくことは非常に困難だったと聞いています。本プログラムを進めていただいたことの成果として、幌加内町に関わる人を増やすことができたことは大きかったと思います。我々は、これからこの活動をどのように継続させ、どのように町内に価値を循環させていくかを考えていくことが今後の課題であると感じています。

    富士通Japanの担当者からは「高校生の多忙さを感じた。そば局やプロジェクト学習、農業体験実習、寮生活と通常の高校生とは違う生活スタイルで学校生活を送られているので、アイデアソンの日程調整や、プロジェクト進捗会の調整などに苦慮することがあった」とのコメントをいただいております。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    石川プロデューサーが町内の資源や人、お金を循環させることを目指した活動は、町民から多くの応援をいただいております。また、「幌加内高校卒業生が、幌加内町のそばに関係する事業で起業したこと」は町内では初めてのことであり、その起業した人が「全国高校生そば打ち選手権大会の優勝者」という経歴も活動を円滑にしているようです。最近では北海道新聞などのメディアで「高校生との取り組み」が取り上げられたことで「幌加内町」という町名の知名度向上にも貢献いただいております。

    アイデアソン参加町内事業者は、「ワークショップに2回参加し、大人も頑張らないといけないと改めて感じた」と話をしていました。「『そばはこういったもの』という当たり前のものが高校生の柔軟な発想によって、多面的に考えることができた。高校生から出たアイデアソンを大人が『できるよ!』と見せてあげたい」と感じていたそうです。ワークショップを通じて高校とも接点ができたので、これからも幌加内町の未来を一緒に考えていきたいとのことでした。

    今後の展開

    本事業は2024年度が初年度。2025年度は、幌加内高校生からのアイデア「町の循環を体現した“HOROSOBA HOUSE”仮 Ver.1」の拠点づくりを目指します。「地域内循環」、「高校生教育」がキーワードとしてあがっています。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    実施していただきたいと思います。「未利用資源の活用」は、地域の課題解決にとどまらず、国や世界的な目標であるゼロカーボン、SDGsに繋がる地球環境に配慮した取組です。本町は「そば」の活用を検討しておりますが、各自治体それぞれの特産品の未利用資材を活用した取組が可能であると思いますので、取組が広がっていくことを期待します。

    また、近年高校生の活躍を目にする機会が増えたように感じます。高校生と地域が一体となり課題解決に取り組むことは、学生の教養を育み、地域の活性化が進み、双方にとって有益な取組であると感じています。また、北海道は生産力に長けており、農作物をはじめとする原料供給の場である一方、加工力は本州より低いとされています。そこで、廃棄されるものを価値に変えることで収入の向上が見込まれ、より広い視点での持続的な町づくりができることを期待します。食の一大生産地、北海道の地方だからこそできる循環モデルは、いずれ地域が潤うことにより、日本が潤うことにもつながると考えます。

  • 苫小牧市

    2023年度選定事業

    プラチナ触媒を活用した長期保存や微生物の抑制制御技術の確立などのフードロス削減

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    苫小牧市

    事業費
    700万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    プラチナ触媒を活用した長期保存や微生物の
    抑制制御技術の確立などのフードロス削減

    苫小牧市は、市内に北海道最大の港湾物流拠点「苫小牧港」を持ち、かつ、近隣に「新千歳空港」を持つダブルポートを最大限活かすまちづくりをめざしている。これらの交通アクセスのよさが産業の集積地となり流通・保管へのニーズが高まったため、これらを軸とした「新産業の事業展開」を都市再生コンセプトプランにその旨記載した。それが「食」の新たな国際物流拠点となるための道内最大級のクールロジスティクス(冷凍冷蔵庫)であり、2020年に稼働させている。

    ダブルポートを最大限活用し、地球環境の保全に寄与するフードロスの削減・食の安定供給と多世代の学び・交流を実現するため、下記①-③を北海道大学と連携して実施する。

    1. 食の保管時のおいしさ維持
      おいしい食を安定して輸出入するためには、様々な供給リスクに対応可能な、おいしいままの食のストックが不可欠である。現状では、保管中の鮮度低下や、酸化等による食味やにおいの変化が生じてしまう。保管中の風味維持のため、プラチナ触媒等を活用した長期保存と、輸送時の品質維持も推進する。
    2. 食の保管における微生物制御
      「安心して」食べられる食のためには、長期保管時の安全性を確保する必要がある。加工食品などでは加圧加熱殺菌(レトルト処理)による長期保管が可能な食品もあるが、生の麦、米などでは加熱殺菌処理ができず食中毒が発生する事例があり、その原因となる微生物の殺菌・制御方法を開発する。
    3. 日本人の価値観の刷新 <熟成食・熟食>と新たな“価知”のバリューチェーンの構築
      保管した食の風味や安全性が向上しても、私たち日本人が保管された食を選ぶことをしなければ、ストックすることが安定供給にはつながらない。熟成肉のように、時間がたつことで価値が上がるようなフードサイエンスや、それを選択する日本人の価値観を刷新し、新たなバリューチェーンを構築する。そのための多世代交流の場を構築する。

    現在の進捗状況

    苫小牧工業高等専門学校・北海道大学を中心にプラチナ触媒の効果を検証する実験を遂行中。第1回目のハスカップ実験が終了し、結果を整理している段階。食以外の花卉類などの分野も視野に入れながら、2回目以降の実験内容を検討中。また年度内には、プラチナ触媒を切り口にしたイベントを予定しており、企画についても検討中。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    実験内容について学術的知識が求められることから、その効果を、広く市民に周知する方法や、本事業を苫小牧駅前再生にいかに展開させていくかが課題。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    物流や花卉関連の企業が本事業に大変興味を示しており、社会実装に向けて、積極的な協力体制のもと、2025年度以降の継続した取り組みを希望している。

    今後の展開

    プラチナ触媒を活用した実験については引き続き実施し、プラチナ触媒のさまざまな可能性や社会実装への可能性を探る。一方で、本事業を市民や地元企業に広くプロモーションし、新たな食文化や物流、人材育成等幅広い分野に波及していくことで、本市が目指す駅周辺ビジョンの実現に繋げていきたい。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    ぜひ実施してほしい。物流において、本市だけでなく輸送先の地域でも実施できたらさらによい効果を生むと考えており、今後は本市以外の地域とも連携しながら進めていきたい。

  • 真狩村

    2023年度選定事業

    真狩高等学校による有機農業の推進と有機食品の開発・商品化

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    2023年度選定事業

    真狩村

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    真狩高等学校による有機農業の推進と
    有機食品の開発・商品化

    (1)有機農業分野

    1. テーマ
      リジェネラティブ農業、炭素循環農法による有機農業の復権と推進(有用微生物の働きによる養分供給機能の解明)
    2. 連携先
      東京農業大学、雪印種苗株式会社、北農会、北海道農政部、JAようてい
    3. 資材提供先
      北海道ミネラルウォーター株式会社(コーヒーかす)、株式会社北海道名販(キノコの廃菌床)、株式会社ルピシアグルマン(ビールかす、野菜残渣等)、クレードル興農株式会社(野菜残渣等)、ようてい森林組合(バーク)、有限会社大野ファーム・宗像農場(もみ殻)
    4. 仮説
      土壌中の微生物が活性化され、微生物循環が始まると、無肥料、無農薬栽培が可能となる(従来の有機農業では、有機質資材を投入して栽培)
    5. 実施内容
      マメ科緑肥作物(アバパール)を活用した「北海道版リジェネラティブ農業」、もみ殻やバーク、キノコの廃菌床を活用(アップサイクル)した「炭素循環農法」の土壌中の微生物活性に着目し、従来の慣行農法や有機農法と土壌の化学性、生物性の変化と作物生育の関係について比較検討する

    (2)野菜製菓分野

    1. テーマ
      La mikkaブランドの確立(誰もが楽しめるやさしいお菓子の開発と商品化)
    2. 連携先
      株式会社ルピシアグルマン(商品開発・製造担当)
    3. 仮説
      ・食品添加物、アレルゲン等を考慮した菓子づくりやフェムケアフードとしての菓子づくりをとおして、生徒には食育を、消費者には食に対する意識の向上をめざすことできる
      ・有機(オーガニック)食品としての真狩ブランドが創造できる
      ・全国展開している企業と連携することで、全国販売が可能となり、真狩の知名度を向上することができる
    4. 実施内容
      (ア) 企業担当者からの「商品開発」に関する講義
      (イ) ニーズの調査・分析
      (ウ) アイディアの発想
      (エ) 商品企画
      (オ) 試作品製造・テスト

    現在の進捗状況

    (1)有機野菜分野

    現在、計画通り栽培し、生育調査を関係機関の協力のもと実施しています。

    (2)野菜製菓分野

    地域にある菓子店「お菓子のふじい」様に協力いただき商品開発について講話、商品開発をする上でのコンセプトの決め方や手法について学びました。現在は栽培した野菜を使用し、特定原材料に考慮した焼き菓子のレシピの試作を実施しています。また、日糧製パンに協力いただき、本校焼き菓子の商品化、全国販売に向けた試作の実施をしています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    (1)有機野菜分野

    農場において、試験栽培は計画的に実施できているが、栽培方法の確立や、収量が現段階では見込めないことが課題としてあげられます。また、高度な知識が必要となるため、生徒・教員ともにより深い知識の修得を目指して、今後も研鑽を積んでいきたいです。

    (2)野菜製菓分野

    味や見た目、作りやすさなどを考慮しつつ、特定原材料を減らしたレシピの開発は、一つ一つの素材に対する知識が必要となり、より専門的な知識をつけることが課題と感じます。また、販売できる場所が本校で行っている販売会のみとなってしまうため、今後の販路についてどのように地元企業と連携し販売を行っていくかを模索していきたい。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    (1)有機野菜分野

    管内の振興局より依頼され、本事業の活動を見学するため本校を会場に地域の農家の研修会が実施されました。

    (2)野菜製菓分野

    企業の講演や本事業に必要な事前学習をとおし、生徒の意識や知識が向上しました。また、寄付金にて購入した新規機材を活用し、今まで以上に品質劣化しにくく、安全性の高いジャムやペーストなどを製造し、使用することができるようになりました。

    今後の展開

    (1)有機野菜分野

    2025年度は2024年度の反省も踏まえ、より研究の幅を広げていこうと考えています。具体的には、企業・研究機関との連携の強化や、栽培技術の向上などを実施し、地域への普及活動も行います。また、それらを通して生徒の興味関心を高め、技術の向上を図ります。

    (2)野菜製菓分野

    開発したレシピを活用し、生徒や協力企業、村民の方々に試食・講評をしていただき改良後、本校販売会にて販売を目指していきます。また、協力企業より原価計算や経営、販路等についての講演の実施し、より活動の幅を広げるとともに、生徒の興味関心を高め技術向上を図ります。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    本事業をうけ、学校ではなかなか予算がつかない機器などを購入することができました。生徒に対し、より新しい知識や技術を教える機会が出来ることはとても教育効果の高いことだと実感しています。また、両分野で新たな研究を行うことで、地元企業や団体、大学などと連携する機会も増え、生徒がさまざまな人や考えに触れることで、知識の深化をはかることができたと感じ、貴社には感謝しています。

  • 積丹町

    2023年度選定事業

    ウニ殻を活用した藻場造成や昆布餌料の製造など有効利用を検討

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    2023年度選定事業

    積丹町

    事業費
    1,354万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    ウニ殻を活用した藻場造成や昆布餌料の
    製造など有効利用を検討

    積丹町がこれまで取り組んできたウニ殻活用を起点とする資源循環モデルの実証を一歩進め、町内の事業者を主体とする事業化に向けた取組として、下記の事業を実施する。

    1. ウニ殻肥料製造・藻場造成事業化
    2. ホソメコンブ養殖事業化
    3. ウニ殻・コンブ飼料製造事業化
    4. 養殖ロープへの副産物ダルスの食資源化
    5. 取組の広報・PR

    各事業内容及び事業主体

    1. 漁協が収集したウニ殻をコンクリート堆肥盤に広げ、切り返しながら乾燥し原料化を図る。乾燥ウニ殻を生ゴムに混ぜて固めた肥料を海中投入し藻場の造成を行う。
      【事業主体:株式会社流山】
    2. ウニ殻肥料液に浸けたホソメコンブ種苗の養殖ロープを漁港内に設置しコンブの養殖を行う。
      【事業主体:美国・美しい海づくり協議会】
    3. 町内で飼育する羊の飼料として、余剰となるウニ殻やコンブを活用した飼料の製造。特にコンブは羊のゲップのメタン量削減や肉質の改善が期待されており、肉質分析を実施する。
      【事業主体:株式会社流山】

    4. 養殖ロープに付着する副産物ダルスを収穫、乾燥・原料化後に佃煮等の食品への活用を図る。
      【事業主体:株式会社積丹スピリット】
    5. ウニ殻やコンブの循環サイクル、コンブの再資源化による地域経済波及等に関する成果報告会を実施するとともに、媒体を通した広報・PRを通じて、地元観光業等に関わる事業者の意識喚起、町が推進するブルーカーボンクレジット化を促進する。
      【事業主体:積丹町】

    現在の進捗状況

    • 本事業は町内経済産業団体で構成する「積丹町地域活性化協議会」が事業主体となっています。当協議会総会において予算配分額を決定。民主導による事業化を見据え、民間事業者が担当セクションごとの取組主体となり各事業を推進中です。
    • 藻場造成活動(ウニ増殖およびブルーカーボン事業)におけるウニ除去およびウニ殻肥料海中設置に係る潜水作業用ドライスーツ(2着)及びレギュレーターオーバーホールを購入済み。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 効率的かつ安定的なウニ殻の収集方法と保管場所の確保
    • 人員の確保及び施設整備(ハード系事業)財源

    事業を実施した効果、住民などの反応

    これまで使用していたドライスーツの老朽化による水漏れや耐寒性の低下、さらに、バルブの不具合等により藻場造成活動従事者(地元漁業者)の作業負担が非常に大きく、身体的にも危険な状態になっていたが、新規にドライスーツを購入したことによりこの問題が大幅に改善され活動が安全かつ円滑に行えるようになった。また、9月に実施したウニの移殖作業にも使用され増殖事業にも活用された。

    これまでの事業成果

    1. 海の森づくり
      藻場を食べ尽くすウニを除去し海藻の畑を作り、胞子を出すコンブを移植。更にウニ殻を用いた施肥材を設置します。2009年度から活動を実施し、2023年度では4.1haの磯焼け海域で1.45haのコンブ群落が再生出来ました。
    2. ウニの安定供給
      2015年度から「海中篭肥育」や「陸上畜養」による飼育技術の開発により、出漁が不可能な日でもウニを安定供給できる技術を確立しました。
    3. ウニ殻の再利用(積丹方式)
      2015年度からウニ剥き身後の殻の有効活用について試験を開始し、殻を粉砕し天然ゴムで固化した「ウニ殻肥料」によりコンブ藻場の形成が実証された。造成された藻場では、ウニ剥き身生産量の増加(磯焼け藻場に対して1.55倍)、販売額の増加(約3,550万円相当)、さらにCO2吸収量をブルーカーボンクレジットとして取引(6.4t-CO2)が行われました。(数値は何れも2023年度の実績)
    4. プロモーション活動等
      小学生を対象とした体験学習、児童や都市部の一般市民を対象としたセミナーにより、漁業と環境保全の重要性を啓蒙している他、プロモーション動画の作成等の理解促進活動を実施しています。また、藻場造成活動(積丹方式)が多くのコンテストで受賞したこともあり、全国の行政、団体等から情報提供依頼が届いています。

    今後の展開

    藻場で吸収する二酸化炭素「ブルーカーボン」による気象変動緩和策が注目されています。積丹町では2023年度から、この吸収量を「ブルーカーボンクレジット」として取引を開始しており、漁業者の藻場再生活動への新たな資金確保によるブルーカーボン事業の拡大に繋げていくとともに、企業側へもCO2排出量削減目標等、環境へ配慮したPR効果も期待しています。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    積丹町の海で開発した技術や経験などを広く情報公開することにより、全国の磯焼けに苦悩している漁村の環境保全対策に繋がり、海の豊かさが守られる(SDGs14)ことを望んでいます。

  • 上士幌町

    2023年度選定事業

    上士幌町における自動運転バスの社会実装

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    2023年度選定事業

    上士幌町

    事業費
    10,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    上士幌町における自動運転バスの社会実装

    現在の運行ルートはコンパクトシティの中心地である市街地エリアが中心となっているが、より多くの住民の移動ニーズに対応するため、網の目の運行ルートになるよう全体のマッピングを進めており、2024年度はこれを進めていきたい。

    上士幌町には市街地から約25km離れた糠平地区があり、そこには人口約90名が住んでいるほか、温泉街となっていることから観光客やビジネスパーソンも訪れる地区がある。現在そこまでの移動手段として、民間の路線バスが帯広市から糠平地区まで運行しているほか、上士幌町市街地から糠平地区間の運行もしているが本区間は利用者が少ないため運行費の1/2を町が負担している。今後、さらに利用者が減少し運行費の負担が増えることや運転手の確保が難しくなることで上士幌町市街地から糠平地区間の路線が維持できなくなる懸念があるため、代替手段として自動運転技術の導入やデマンド化を進める事を検討しており、住民と観光客の両者の移動手段を確保を目指します。

    2025年度以降、糠平地区への中長距離移動に適した50〜60km/hで自動走行可能な車両の購入及び運行計画を具体化していきます。

    現在の進捗状況

    自動運転バスの実装化に向けて、自動運行レベル4の申請を進めており、2024年度中には市街地を走る定期運行路線の一部でレベル4での運行が可能になる予定。

    上士幌町市街地~糠平地区への自動運転バス導入については、山間部における自動走行・遠隔監視に関する通信環境の検証をしており、現在検証結果の取りまとめを進めている。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    自動運転技術の導入には、コストの負担が大きい。また、自動運転のセッティングはもちろん、自動運転走行に関する申請が複数あり、運行開始までのスケジュールが予定通りにいかないケースがある。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 上士幌町では自動運転バスの導入について、段階的に実証することで町民の社会受容性を少しずつ醸成してきた。
    • 自動運転バスの定期運行については、これまで運行している公共交通を補完する形で運行しており、1日約10名程度が利用している。

    今後の展開

    • 定期運行を行っている自動運転バスについて、運行ルートの拡張やダイヤの見直しを行い、町民利用促進を図る。
    • 自動運転レベル4の実現に向けて、環境整備及び各種申請を進めるとともに、糠平地区など市街地以外で抱える交通課題解決に向けた自動運転技術導入についても進めていく方針である。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    北海道の多くの市町村で交通機関の担い手不足や利用者数の減少などによって交通機関が維持できないという課題に対して、持続可能な公共交通網の構築に向けて様々な取り組みを進めていると思うが、上士幌町では自動運転技術の導入を進めている。他市町村にて自動運転技術の導入が進むことは、その地域の交通課題解決につながるとともに、複数の自治体でシステム利用を行うことで、運行に係る経費が抑えられる可能性があることから、他市町村での実施が進むことを望んでいる

  • 滝上町

    2023年度選定事業

    木質バイオマスの電気と熱を利用した陸上養殖とエゾシカ加工施設運営

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    2023年度選定事業

    滝上町

    事業費
    34,300万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    木質バイオマスの電気と熱を利用した
    陸上養殖とエゾシカ加工施設運営

    閉校校舎の省エネ改修によるリノベーションを図り、建物の荒廃を防ぐとともに、木質バイオマスを中心とした再生可能エネルギーを中心に据え木質バイオマスを資源としたCHP熱電併給施設と太陽光発電を組み合わせる。再生可能エネルギーを活用した、発電と熱源によりサクラマスの陸上養殖とエゾシカの加工施設としてリノベーションし、新たな産業を育て、雇用機会を創出する。

    新たな産業として陸上養殖とエゾシカを活用した新産業の創造に向けた検討を図る。まず、町内の渚滑川流域に生息するヤマメを降海型のサクラマスとしての大型化を目指す陸上養殖を行い、ブランド化を図ることで特産品としての高付加価値化、渚滑川を活用した水資源の活用など、地域の持続可能な産業を目指す。また、年間約1,400頭を駆除しているエゾシカの利活用も重要視する。現状で、エゾシカは農作物や森林に被害を与え、駆除の対象となり、駆除する個体のほとんどを廃棄している。このため、SDGsの観点からもエゾシカ肉を食用やペット用としての商品開発を進め、地域の持続可能な産業としての発展を目指す。

    2024年度においては、これらの施設整備、再生可能エネルギーの導入、新たな産業おこしのための実現可能な事業化を目指すための基本構想、市場調査、基本計画を策定する年度としたい。

    2024年度 基本構想、計画、市場調査
    ※CHP電熱供給施設及び太陽光システムは環境省地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用する。

    現在の進捗状況

    目的にある本調査事業実施のため専門的知見を有するコンサルタント(東京理科大学インベストメント・マネジメント)に事業委託し、滝上町の各種資源調査等を実施するとともに、閉校校舎等を含む本町の施設・人材などの現地調査と国内先進事例の陸上養殖やジビエ施設等のヒアリング調査を行っている。まずは担い手として期待ができるハンター(エゾシカ加工施設)との協業により加工業としての可能性を探っています。

    廃校の活用検討調査
    鹿処理場のクリーンセンター視察

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    本町が抱える遊休施設と未利用資源の活用を掛け合わせ事業化の道筋をつけるためには様々な専門的知見や経験・知識がさらに必要であると感じています。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    エゾシカ加工施設について担い手であるハンターが積極的に関わっていただいているほか、陸上養殖に関しても興味関心をしめす人材います。また、町議会においても廃校施設の利活用の議論が深まるなど、遊休の公共施設の活用について町全体の課題として見直されつつあります。

    今後の展開

    目的のとおり本町の資源や課題解決を図るための陸上養殖、エゾシカ加工施設等の施設構築にむけた基本計画を策定するため、2カ年で調査研究を深めていきたい。

  • 浦幌町

    2023年度選定事業

    うらほろキッズマラソンを核とした地域住民の健康づくり

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    2023年度選定事業

    浦幌町

    事業費
    1,821万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    うらほろキッズマラソンを核とした地域住民の健康づくり

    うらほろマラソン「キッズチャレンジ」を発展させて、子どもたちと地域の「ウェルネス」に貢献する。参加する子どものサポートの質を向上しつつ、参加人数・参加地域の拡大を図る。

    1. アプリ版「チャレンジパスポート」の開発
      トレーニングを重ねるとその努力が形になって見えるツールとしての「チャレンジパスポート」を紙だけでなく、様々な機能を備えるアプリを開発する。これにより、居住地域・対象年齢・体力や技能の程度など、より幅広い子どもたちに対応したサポートができるようにし、事前チャレンジの取組の質の向上につなげる。また、マラソン以外のチャレンジにも応用できる可能性を広げる。
    2. アスリートや専門家と連携した取組の質の向上
      ・アスリートと連携した「走り方教室」を拡充する。親子向け、小学生向け、中学生向け、地域のサポーター向けなど、対象にあわせて専門的な指導を受けられる機会をリアルに設け、日頃の取組の質の向上や参加する一人一人の健康づくりにつなげる。
      ・アスリート、スポーツ科学の専門家や企業と連携し、ストレッチ、体の使い方・走り方などのメソッド、栄養の取り方などを学べるAIドリルを開発しアプリに搭載する。
    3. 地域間連携
      連携している地域とオンラインセッションを行ったり、連携地域でのサポートを行う。マラソンを入り口に多様な人・地域と出会う機会をつくることや、子どもたちのチャレンジを核に多世代が健康になるコミュニティの拡がりに貢献する。

    現在の進捗状況

    2024年度の事業は7月31日で実施完了

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    1. 親子でチャレンジを継続する仕掛けが必要
      子どもに伴走する保護者の継続を促す仕掛けが難しく、1ヶ月のうち後半に行くにつれてアクティブユーザーの減少が見られた。
    2. 1ヶ月の期間だけでなく、年間通した取り組みにする
      参加した子どもやその保護者からは終わったあとも運動習慣を促進する仕掛けがほしいという意見も多数寄せられている。
    3. 他地域展開の際にコーディネートする団体が少ない
      他地域では事前からコーディネート団体と連携し、主体的に取り組む協働パートナーの関係を結ぶ必要性がある。
    4. 参加者の97%を十勝管内在住者が占めており、本イベントを社会的に展開するなら他地域イベント等との連携が必要
      十勝管内の参加者で97%を占め、3%は札幌や釧路等の十勝管外から参加いただいた。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    うらほろマラソンには、総勢約3,000名の方にお越しいただき大盛況で終えた。子どものマラソンは548名(前年比134%UP)、0-79歳の老若男女が参加した5kmウォーク/リレーマラソンは381名(前年比340%)と多世代が参加するイベントとなった。

    1. 浦幌町の小学生、約50%が参加
      浦幌町の小学生162名中77名が任意で参加した。学校だけではできない運動習慣の促進に貢献していると高評価をいただく。
    2. アプリを活用して子どもとコミュニケーションするきっかけに
      482名がアプリをインストール。親子での挑戦や地域の方々も一緒に取り組めたという声をいただく。
    3. 専門的な知識も取り入れた取り組み
      アスリートによる走り方教室を実施したことにより、今後も継続してほしいと希望をいただく。
    4. マラソンを入り口にした教育的要素
      「保護者以外の地域の大人と走ること」や「マラソン当日の職業体験」など家や学校以外の社会を知るきっかけとして満足度が高かった。
    5. 歩行アプリによる仕掛けを継続・日常化を求める声
      日常から意識して取り組める仕組みづくりの希望をいただく。
    6. 町内関係企業との連携の可能性
      町内関係企業より日常の運動習慣の促進や健康づくりの機会を協働・連携し行っていく可能性を示唆いただく。

    今後の展開

    うらほろマラソンキッズチャレンジは継続していく予定(2025年6月22日開催で検討中)。うらほろマラソンのようなイベントベース(約1ヶ月間)での運動習慣の促進ではなく、日常から町の健康づくりを行なっていく方向で検討。今回の親子での取り組みや歩行アプリの活用は、子ども・保護者・高齢者世代の運動習慣の促進に寄与することを実感。町のコミュニティとなり得る郵便局やスポーツセンター、公民館等を活用し日常の活動に落とし込む仕掛けを作っていく

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    うらほろマラソンキッズチャレンジを他市町村でも開催してほしい。参加者の満足度は高いため、十勝エリア以外ですでにマラソンイベントを行なっているエリア等で既存の大会・イベントに付け足す形でキッズチャレンジを実施してほしい。北海道は、全国と比較しても子どもたちの体力テストの結果が良くないというデータも出ているため、十勝エリアだけでなく他市町村でも実施し、北海道のウエルネス課題を解決する一手として行なってほしい。

  • 更別村

    2023年度選定事業

    高齢者などの訪問見守りや福祉介護などへの橋渡し事業(コミュニティナース事業)

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    2023年度選定事業

    更別村

    事業費
    3,300万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社

    高齢者などの訪問見守りや
    福祉介護などへの橋渡し事業(コミュニティナース事業)

    本村が掲げるスーパービレッジ構想を進めている中で、希薄になった人と人のつながりを紡ぎ直すために「デジタルを駆使したサービス」と「マンパワーによるサービス」のハイブリッド型で推進している。そのマンパワーによるサービスとして株式会社CNCが提供している「コミュニティナーシング(※1)」を活用する。本村においてコミュニティナース(以下:コミナス)は、2023年度より実施している1人暮らし高齢者と高齢者夫婦世帯の訪問見守りにより医療や介護・福祉などにつなぐといった役割のほか、地域住民にコミュニティナーシングの理解を深めていただき、「村民コミナス」を増やすことで、住民の生きがいをみんなで作り上げ実現させる事業などを実施している。

    また、住民との接点を記録し各個人の情報を集約させた「コミナスカルテ」を作成し、コミナスとのふれあいの経過だけではなく、その方の人生の歩みやバックグラウンド、嗜好性や特技なども記載することとしており、その一部について保健師や医師・看護師の連携を目指している。本村の診療所では家庭医療(総合診療)を実践し、病気とともにその人の状況を診察する診療であることからその親和性が高く、本村の医療にとってもなくてはならない事業のひとつにしていきたい。

    訪問時のヒアリングの様子

    (*1)コミュニティナーシング:住民の生活の動線に入り込み、元気なうちから身近な存在になることで、心と身体の健康と安心を実現するための方法であり、例えば地域での役割をともに探し出し、その役割を与えることで他社との関係性を築き、地域における生きがいを創出することにつなげるものである。

    現在の進捗状況

    • 2024年度は、「成人・高齢者等訪問事業」として高齢者以外の住民の訪問も加えた形で実施しており、111名の対象者のうち9/20現在で46名へ1回目の訪問を完了。これにより、保健師が把握できなかった住民の実際の生活状況について把握することが可能となり、さらに「コミナスカルテ」を保健福祉課と部分的な共同利用を開始したことにより、住民の健康状態が共有できたことは非常に大きい。また、これにより住民の健康改善の提案や進捗の確認が相互に行われるようになり、住民の健康・福祉の向上に寄与できた。
    • 「村民コミナス」も2023度末の40名から9/20現在で66名に増加しており、住民への浸透が進んできている。これはJICA帯広との連携による共同イベントや村診療所医師との共催イベントの開催等によるところが大きい。11月には日本郵便㈱と㈱CNCと更別村の3者連携協定の締結も予定しており、郵便局での「まちの保健室」事業による村民コミナスの増加や村内のコミュニティナーシングの普及が期待される。
    • コミュニティナースにはデジタル推進員としての一面もあり、スマホ教室やeスポーツ体験会、国内外をオンラインでつなぎ疑似旅行を体験できるオンラインツアーの実施などのイベントのほか、日頃から滞在している福祉の里温泉ロビーでのスマホ等の相談に応じることで、デジタルデバイド対策にも貢献している。その中でもeスポーツ体験会やオンラインツアーの実施は好評で、高齢者の外出機会の創出に一役買っている。
    スマホ教室でライン友達に
    カフェイベントでのeスポーツ体験

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    当初はコミナスの事業への理解が、行政としても進んでおらず福祉部門との連携が難しかったが、学習会の開催やイベントへの参加等により徐々に理解が進んだことで定例の打ち合わせを実施するまで連携を深めている。

    過去2年間で高齢者をメインで事業を行ってきたこともあり、高齢者への事業の理解度、普及はとても順調にきているが、高齢者以外への普及活動にとても難しさを感じた上半期であった。住民が「自分はまだコミュニティナースにお世話になる年齢ではないから、自分には必要がない」など住民に対し関心、興味を持ってもらうきっかけを作ることに課題を感じていることから、村内事業者や地元の更別農業高校での授業等の一環でワークショップを実施するなど、より多くの世代を巻き込んだイベントの開催等により多くの住民のきっかけづくりをしていきたい。

    保健師との打ち合わせ
    更別農業高校とのワークショップ

    事業を実施した効果、住民などの反応

    住民からは、「自分のことを気にかけてくれる人がいることの安心感がある」「1人では行動できず、何から行動したら良いかわからなかったが、コミュニティナースに相談できたことで一緒に行動できるきっかけになり安心することができた」といった声を聴くことができ、存在価値が高まっていると感じている。これは、温泉施設のロビーに常駐しており、日々住民の動線にいることが要因である。

    その他、コミナスの活動として、コーヒーを淹れることが好きな住民の思いを形にしたカフェイベントを定期的に行ったり、パークゴルフ大会や麻雀大会など住民のやりたいことを支援し、住民自ら生きがいを持てるような環境の構築を行っている。パークゴルフ大会に参加したある高齢者はそのイベントで知人に会えることがうれしく、それまで苦痛だったリハビリを懸命に取り組み、リハビリの先生と一緒にイベントに参加することや、定期的に参加する住民同士が日頃の微妙な変化に気づけるようになったなどの効果につながっている。

    また、大会には地元の企業が協賛してくれるなど地域に愛されるイベントへ成長する芽が出てきている。

    カフェではいろんなお話に花が咲く
    パークゴルフで友達と久しぶりに再会

    今後の展開

    2024年度下半期は、既存の高齢者との関わり継続していくほか、65歳以下の住民にもコミナスの活動を知ってもらうことをしていきたい。また、11月以降は協定締結により村内郵便局2ヶ所で「まちの保健室」事業を実施する予定でひとりでも多くの住民との繋がりをつくっていきたい。

    ただ、現状「個人情報の取扱い」や「契約」により、村の保健師などの限られた人しかコミナスカルテの閲覧ができないことや、コミナスカルテへの入力はコミナスしか行えないこともあり、十分に活用できていない。2025年度は、村社会福祉協議会や村診療所など新たな連携先を増やし、双方向の運用をすることでより精度の高いものを目指します。将来的には、村民コミナスも交えてコミナスカルテが情報の集約点となり、村の関係者がひとつになり、健康寿命の延伸はもちろん、孤独孤立の解消やフレイル対策にも役立つような形を目指していきたい。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    ぜひ実施してほしい。人生100年時代と言われ始めたこの社会で、公的サービスや福祉、医療業界の力だけではカバーできない人が今後かなりの数が増えると予想される。そのため、これからは地域の力、地域住民の力が必要とされてくる。地域と繋がり、社会と繋がりを作れるコミュニティナースが他地域でも増えることで、心地の良い予兆検知をし合える地域が増え、健康寿命の延伸が期待できる。そのため他の市町村に限らず、民間企業などとも一緒に実施できればと思っている。コミュニティナースは様々ものとコラボができる。例えば宅急便や、バスの運転手など生活の同線にあるものとは相性がとても良い。そのため行政のみならず、多くの民間企業とも一緒に行っていくことができると考えている。

  • 名寄市

    2023年度選定事業

    スポーツ(運動)と食を通じた市民の健康づくりとジュニアスポーツ選手の身体づくり

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    2023年度選定事業

    名寄市

    事業費
    1,761万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    スポーツ(運動)と
    食を通じた市民の健康づくりと
    ジュニアスポーツ選手の身体づくり

    1. 実施主体
      Nスポーツコミッション
    2. 提携先
      名寄市立大学コミュニティケア教育研究センター
    3. 実施事業概略
      産官学連携組織のNスポーツコミッション(スポーツ関連事業)と名寄市立大学コミニティケア教育研究センター(栄養学科を有している大学)共同で、それぞれの知見や機能を生かして活用して「スポーツ・運動」「食」をつうじた市民の健康づくり、及びジュニアスポーツ選手の身体づくり等に資する事業を実施する。
      また、将来的には、自然豊かな環境で育った栄養豊富な食材を活用した「健康づくり」「身体づくり」等をテーマにした、商品販売(お弁当等)を行い、地域資源・経済循環型で健康づくりに関するエコシステムを形成しながら、地域一体が健康づくりの拠点となるように各種事業を実施する。
    4. 実施事業
      2023年度より、Nスポーツコミッションと名寄市立大学コミュニティケア教育研究センターで実施している体組成成分分析装置(Inbody470)や骨密度測定装置を使用して実施している市民の健康データの蓄積・分析事業に加えて、栄養・運動指導及び食事提供等を実施することで、質の高い健康サポートを実現していく。
      また、企業向けの健康づくりサポートに取組むことで、企業の活力向上・組織の活性化を図り、生産性の向上を図り地域活性化につなげるとともに、下記(1)(2)によって蓄積した運動・健康データを分析して、名寄市の地域性に合った健康づくりに関する研究を行うとともに、健康データの蓄積・分析業務に携わっている学生のキャリア形成(志願者増加)、学生自身のの体力向上・健康増進・学習意欲を向上を狙うほか、栄養・健康系企業へ優秀な人材輩出、教職員の研究推進につなげていく。
      (1)市民向け健康サポート事業(市民健康づくり事業、ヘルシー弁当レシピ開発、大学生健康サポート事業、ジュニア選手育成事業)
      (2)企業向け健康経営サポート事業(Inbody測定等及び運動・栄養指導料、スポーツエールカンパニー認定取得サポート働く女性の健康サポート)
      (3)健康づくりに関する機器整備事業(運動機器整備、調理機器整備)
      (4)健康づくりに関する調査・研究事業(調査研究員人件費、調査研究費、講演会等開催費)

    現在の進捗状況

    市民の健康サポート事業では、地元大学生考案によるヘルシー弁当のレシピ開発がほぼ完成に近づいており、アドバイザーや弁当製造元との試食会を重ねながら、ウィンタースポーツの大会や合宿で訪れる選手等に販売できるよう、準備が進められています。また、個人・企業向けに、体重・体脂肪・体成分など詳細な評価ができる測定機器を使った測定会に併せて、評価に基づく栄養・運動指導を行い、市民の健康づくりの意識向上に取り組んでいます。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    事業推進そのものは順調に進んでいますが、物価高騰でヘルシー弁当のレシピ開発に関連して、販売する弁当の材料費高騰や、調理機器の購入費用の高騰が問題となっています。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    健康レシピ開発にあたっては、大手食品メーカーのサポートを受けることとなり、栄養学科を有する地元名寄市立大学にとって大きなPR効果をもたらすとともに、レシピ開発に取り組む学生にとっても実践的な学びにつながっている。また、企業向けの体成分等測定会では、測定後、測定結果の話題で職場内の会話が盛り上がり、みんなで健康づくりに取り組もうという雰囲気が生まれるなど、健康づくりの視点から企業の活性化にもつながっています。

    今後の展開

    引き続き、地元大学との連携を図るとともに、これまでスポーツ振興や健康づくり事業に直接的に関わりのなかった企業・団体と、まちづくりの視点から、スポーツ・運動の振興に取り組みたい

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    高齢者向けのスポーツ・運動の振興、健康づくり推進ではなく、子育て・働き盛り世代をターゲットにした事業を推進することで、その家族も含めた事業効果が得られ、地域が元気になります。

  • 占冠村

    2023年度選定事業

    カエデから採取できる樹液を村の特産品「メープルシロップ」にする事業

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    2023年度選定事業

    占冠村

    事業費
    1,000万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    カエデから採取できる樹液を
    村の特産品「メープルシロップ」にする事業

    メープルシロップの生産者が高齢化や設備の老朽化により生産量が減少しているため、事業拡大にためには生産体制の再構築が必要

    1. チューブを使用した採取網を構築
      樹液は、従来一本一本の木にドリルで穴をあけ、その樹の下にホースとタンクを繋げて採取し、タンクが満タンになると人がそのタンクを倉庫に移動させる工程となっていました。これを林内の20本程度のカエデをチューブで繋ぎ、樹液採取箇所を集約。作業効率化を図り、人手不足を解消することを想定しています。使用するチューブは北米で使用されている採取専用のシリコンチューブを輸入します。
    2. 煮詰め施設の刷新

      煮詰め窯は、数十年経過しているため老朽化していた、昔ながらの製法となっているため手間がかかり、生産量も多くない非常に効率の悪い状態となっていました。また、その煮詰めする生産施設は使用していない車庫を改造したもので、新しい煮詰め窯が入らないためあわせて新設を検討しております。新設といっても敷地内にある空いている建屋を改築し、従来の煮詰め窯と樹液保管設備も移設し、そこに新たな煮詰め窯を新設し生産性を高めます。

    現在の進捗状況

    煮詰め窯は、北米で一般的に使用している機械を輸入する予定で、購入手続きを行っており2025年1月までに輸入予定。
    建屋の改築に関しては、当初予定していた建屋が老朽化の為使用できないことから新たにログ倉庫建設に切り替え実施に向け調整している。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    当初予定していた改築予定建屋が柱等の老朽化から使用できないとの判断になり、新たにログ倉庫建設に変更となったことから、実施予定地の選考や周辺住民との調整など必要になった。周辺住民への説明を行ったことで新たにメープルシロップ事業を村民や来村者に広める機会となった。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    まだ事業を実施していない為具体的な効果等は記載できないが、事業実施場所を新たに占冠地区とすることで同地区の活性化につながる等期待をいただいている

    今後の展開

    建屋の改築及び採取、製造器具の更新を行うことでより効率的な製造を行い事業の収益性を高める。また、煮詰め施設を整備することで見学等も積極的に受け入れ、村民や来村者に事業の素晴らしさを伝える活動を積極的に行なっていきたい。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    ぜひ実施してほしいと考えている。楓を活用したシロップ製造事業は長いスパンで持続的に事業を展開することができ、事業を実施することで森林の整備も行うこととなる為、日本各地の里山を維持、管理しながら収益を上げていくことができる。通常の林業施業と組み合わせて行うことで、森林の持続可能性を高めていくことができる事業となっている。

  • 中頓別町

    2023年度選定事業

    地域の公共交通を維持して地域住民サービスを維持したい

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    2023年度選定事業

    中頓別町

    事業費
    11,170万円
    寄付額
    700万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    地域の公共交通を維持して
    地域住民サービスを維持したい

    本町では、地域の拠点病院や大型の商業施設等がある都市部との距離が離れており、最も近い鉄道路線駅までは約40㎞、拠点病院までは約90㎞もの距離を有し、最寄りの高校は約20km離れた隣町にある。

    一方で、町内を運行する公共交通は、路線バスが1路線と都市間バスが2路線、タクシーが1台という状況である。高齢化が進み、自家用車を持たない住民が増えていることや公共交通に頼らざるをえない高校生年代をはじめとして、路線や便数の維持も含めた公共交通手段の確保は住民の生活に直結する極めて大きな問題である。

    そんな中、全国的な課題である物流の2024年問題により、本地域における公共交通においてもドライバー不足が見込まれ、便数の減や路線の廃止、公共交通事業者に対する費用負担の増が見込まれる。

    このことを踏まえ、隣接する自治体、地域住民及び地域の交通事業者と協議を行い、民間事業者により運行していた路線バスを2023年10月から町営のデマンドバス及び高校通学用スクールバスとして運行し、地域の交通手段を維持・確保していくこととした。2022年度に車両購入及び車庫の整備をし、2023年8月から2ヶ月間の実証運行、2023年10月から本格運行を開始した。2024年度以降についても既存のスクールバス、高校通学用スクールバス、デマンドバスを合わせた体制で運行を継続していく。

    運行に係る経費については、国庫補助金や運賃収入を確保していくとともに、経費削減に努めて将来にわたって持続させていく。

    現在の進捗状況

    2023年9月末をもって町内を走る路線バスが廃止されたことに伴い、2023年8月からデマンドバスの実証実験、10月から本格運行を開始し、地域内の交通手段の維持に向けて取り組みを進めてきました。デマンドバスは、前日までの予約制による運行であり、予約不要の路線バスに比べると不便な点もありますが、少しでも利用しやすくなるよう2024年度からはオンライン予約システムを導入しております。また、2023年度の実績では、従前の路線バスへの赤字補填に比べると経費を低減することができております。

    従前は、隣町の高校への通学には路線バスが利用されておりました。路線バスが廃止されたことにより、新たに一般混乗可能の高校スクールバスを運行しております。これによって、授業や部活動などのスケジュールを反映し、ある程度柔軟に運行することが可能となり、通学生にとって利便性が高まりました。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    課題としては、予約制であることから、突発的なニーズをデマンドバスでは拾えないこと、周知が届いていない来訪者などが利用する際に乗車できない可能性があることが挙げられます。このことについては、音威子府駅での飛び乗り対応などを継続協議していきます。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    中頓別町では多くの方が自家用車を保有しており、公共交通への依存は少ない地域であります。そのため、当初は予約制への移行することで、利用へのハードルが高まり利用件数が減少することを想定しておりましたが、2023年度の実績では目標値を上回る利用がありました。これは、実績の数としては少なくても、交通手段が無くなることで困る方が確実にいることを示していると考えられます。あらためて地域に必要な交通手段であることを認識しました。

    一方で、これまではその日思いついた時に路線バスを利用して近隣町村に移動することができておりましたが、予約制となったことで事前スケジュールを組まなければならなくなり、一部の方からは、これまでのライフスタイルとのギャップによる不満の声が出ております。

    今後の展開

    新たな公共交通が地域の個人の生活に馴染むまでには時間を要するため、まずは、現在のデマンドバスや高校スクールバスを継続的に運行してまいります。

    デマンドバスや高校スクールバスの一般混乗、都市バス、ハイヤー・介護タクシー、なかとんべつライドシェア事業など、町内にも複数の交通モードが現存しておりますが、それぞれのモード間でこぼれ落ちているニーズがあります。新たな交通手段を増やすことは困難ですが、それぞれの運用を見直すことでカバー領域を広げ、地域で暮らす方の交通権を守ることができるよう公共交通の取り組みを進めていきます。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    過疎地域の自家用車保有率は高いですが、その中でも公共交通に頼らなければならない方もおられます。当町はデマンドバス・高校スクールバスというカタチですが、地域住民に添った公共交通のカタチを実施してほしいと思います

  • 富良野市

    2023年度選定事業

    枝草ごみをバイオ炭化し新たな資源(土壌改良剤など)として有効に活用する事業

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    2023年度選定事業

    富良野市

    事業費
    927万円
    寄付額
    649万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    枝草ごみをバイオ炭化し
    新たな資源(土壌改良剤など)として
    有効に活用する事業

    市では、1985年から埋立処分場の課題解決の切り札として一般廃棄物のリサイクル事業に取り組み、2002年度からは「燃やさない・埋めない」を基本理念に、搬入量ベースで約90%前後のリサイクル率を維持している。一方、剪定枝や刈り取った雑草等が対象となる枝草ごみは多くを堆肥化処理し、近隣の農家へ無償で引渡しをしているが、小枝や種子の混入により利用者が年々減少している状況があり、事業の継続性が危ぶまれている。

    そこで、枝草ごみの課題解決やリサイクル率の維持、ゼロカーボンを複合させた取り組みとして、枝草ごみを活用したバイオ炭製造を行い、運転手順の確立を進めながら品質分析や土壌改良材、融雪剤として農場散布による効果実証試験により製品改良を進め、炭化の有効性を高めていく。

    1. 回収した家庭から排出される枝草類を「バイオ炭化窯」にて炭化。
    2. 既存の生ごみから製造している有機たい肥とあわせてバイオ炭肥料の生成のほか、春先の融雪剤の代替として利用有効性を検証する。(また一部は、炭化窯の燃料としても利用。)
    3. 農地へバイオ炭を散布し、その効果を検証する。(市内農業者の圃場にて実施)
    4. 本市の土壌特性、栽培品目に適したバイオ炭とするため分析結果を踏まえて改良していく。

    現在の進捗状況

    2024年6月にバイオ炭装置を設置して当初は様々な条件で稼働を行い、炭化対象物(草類)の水分量による影響や炭化時に必要な熱量調査を行った結果、炭化のポイントは炭化対象物の水分量が重要であると判明する。以降は草類1に対して熱源となる木類2の比率で炭化作業を進め、重量及び容積の削減効果は70~80%程度となっている。

    また、炭化物の燃料利用を調査したが灰分が高い(34%)ため、燃料利用の際は品種選定が重要と考えている。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    • 当初は草類の乾燥に苦労したが、現在はバイオマス防湿シートと天日乾燥で対応している。
    • 実証装置の草類投入量は1回あたり50㎏前後の少量であることから、草類全量(年間約400t)を炭化する場合には新たな装置や処理フローを構築する必要がある。
    • 炭化物は容易に細かくなり、想定以上の減容が見込めることから、様々な用途が見込めると考えられる。
    • 炭化装置の準備・取出作業が人力によるため、夏場の作業が大変だった。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    実証事業のため広く周知は行っていないが、単一原料ではない炭化は珍しいようで別件で来られた視察者からの反応が高いことが印象的であった。
    また、バイオ炭を通じてゼロカーボン関連に携わる関係者との交流が拡大できた。

    今後の展開

    実証から本格事業に移行ためには、新たな炭化システムの構築が必要であることから、今回得られた知見等を活用して、更なる研究検証を進める予定です。
    また、生産したバイオ炭を農地施用のみではなく、Jクレジット活用なども検討する。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    他の市町村でも実施して欲しいと考えるが、多様な原料を使用しての炭化は改善の余地が大きいと考えるため猶予が必要と思う。

  • 標津町

    2023年度選定事業

    和紙の原料「ノリウツギ」の事業化に向けた地域住民への浸透と地域経済の活性化

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    2023年度選定事業

    標津町

    事業費
    560万円
    寄付額
    560万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフソリューション株式会社

    和紙の原料「ノリウツギ」の
    事業化に向けた地域住民への浸透と
    地域経済の活性化

    標津町で生産される「ノリウツギ」という樹木からとれる原料は、国宝や重要文化財の修復に使われる和紙の原料の一つであり、持続可能な生産は日本の文化財修理や和紙文化を支えることにつながります。その普及啓発や地域の新たな文化継承として、地域の宝の一つである鮭と和紙を組み合わせた“鮭ちょうちん”プロジェクトの企画制作とその企画展を開催しました。

    1. 企画展に向け地元関係者と共に企画展の内容を協議し、鮭ちょうちんの基本型を標津町内に所在する地元映像制作会社にデザイン設計を発注
    2. “鮭ちょうちん“を町民と共に製作し、新たな地域の特産品とすることを目指す。基本的なデザインのほか、製作する町民が各々独自のペイントをすることで、多様性のある作品へと作り上げる
    3. サーモン科学館内において、企画展(仮)ノリウツギと宇陀紙、文化財の修理に向けた鮭、ノリウツギ、宇陀紙、文化財の修復といった様々な標津町に関わるキーワードを一つに繋げる企画展を町のシンボルの一つであるサーモン科学館で開催する。
    4. 宇陀紙を製作する奈良県吉野町で、標津町産「ノリウツギ」を原料に作られる手漉き和紙を使い“鮭ちょうちん“を地域住民とともに製作と展示を行う。
    5. 今回製作したちょうちんは、町の様々なイベントの場において展示し、ノリウツギプロジェクトのシンボルや町の新たな文化となるような取り組みに繋げていく

    現在の進捗状況

    鮭ちょうちんの制作を行い、2024年7月13日から11月末日まで標津サーモン科学館で企画展を開催しております。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    事前に鮭よりも型が複雑でない“いくらちょうちん”を、町民の方々に制作して頂いた際、その製造工程が複雑であったため、幼児や小学校低学年の子どもたちが参加できる作業をいかに作るかに苦労しました。結果、マーブリングという和紙に色を付ける手法をこども園児らに行ってもらい、全ての世代の町民に参加していただける手法を確立することができました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    鮭ちょうちんプロジェクトの準備において、いくらちょうちんの制作過程を町民イベントとして実際に関わって頂いたことや、新聞や町広報などのPR活動により、様々な世代の町民に本プロジェクトの理解を進めることができました。実際にサーモン科学館で開催した企画展には、町内外から多くの来客を得られ、企画イベントとしても成功したと考えています。

    さらには、今回の企画展を開催した結果、町の夏祭り実行委員会から、祭りで使う弓張りちょうちんを、和紙を使ったものにしたいとの依頼が来るなど、本事業を起因とした新たな流れが町民の間にも生まれてきていると大いに実感しているところです。

    本事業を通じて、町内外の人々に標津町のノリウツギが、文化財修理に欠かすことのできない和紙原料の一つとなっていること、こうした活動が文化財保存に寄与していることなど、普及啓発につながったと考えております。

    今後の展開

    鮭ちょうちんを町の文化祭に展示するなど、鮭ちょうちんを標津町の新たな文化に根付かせるため、随時町内で催されるイベントや活動に利用していくとともに、文化財の保存や和紙文化の継承に寄与していきたいと考えます。

  • 札幌市

    2023年度選定事業

    健康増進に関する市民の意識変容の促進に向けた産官学連携の新たな取り組みを創出する

    詳細をみる

    2023年度選定事業

    札幌市

    事業費
    1,500万円
    寄付額
    500万円
    寄付企業
    エア・ウォーター西日本株式会社

    健康増進に関する市民の意識変容の促進に向けた
    産官学連携の新たな取り組みを創出する

    健康増進に関する市民の意識変容・行動変容の促進に向けて、産官学連携の新たな取組の創発と実践、成功事例を蓄積するとともに、「チ・カ・ホ」を最先端の様々な取組のショーケース機能として最大限活用し、「ウェルネス」を札幌市の新たな魅力として市内外に発信するため、NoMaps実行委員会等と連携し、以下の取組を行います。

    1. 共創プラットフォームの企画・運営
      幅広い「ウェルネス」分野の中で、「無関心層への働きかけ」という地域課題に合わせて深堀りし、多様なライフスタイルの市民を巻き込むため、対象に合わせて訴求するコンテンツとして組み上げていく仕組みとして、「札幌市ウェルネス推進会議」のリーディングケースとして、「都心」や「働く世代」をテーマとした分科会を作り、専門性のある主体が協働する場を設置するとともに、札幌市のリソース、様々な関係者の知見、多様なアプローチ(ナッジ、ゲーミフィケーションなど)を蓄積し、効果的に結びつける人材を配置することで、行政や個々の企業では辿り着けない「共創による価値創出」を目指します。
    2. NoMaps WELLNESSの開催
      「共創プラットフォーム」における象徴的な露出の場であり、「ウェルネス」に関する最新情報の市民に向けた発信の場として、NoMaps2024内のエリアコンテンツとして、NoMaps WELLNESSを「チ・カ・ホ」にて展開します。
      NoMaps WELLNESSでは、「札幌市ウェルネス推進会議」参画企業を軸としつつ、他の多様な企業・団体なども交え、健康増進にかかる様々なサービス・プロダクトの紹介およびその体験ブースを展開するとともに、広場エリアにて医療関係者及びサービス提供者らをゲストとしたステージコンテンツを展開し、「ウェルネス」に関する取組のショーケースとして、市民のみならず期間中に札幌を訪れている多様な方々に新たな体験価値を含めた情報発信を行います。

    現在の進捗状況

    2024年9月13日から9月15日まで、NoMaps WELLNESS 2024「めんどくさいから、始めよう。」を開催し、企画ブースには25もの企業・大学等が参画したほか、ラジオ体操指導士などを講師とした「ウゴク」イベント9件(一部雨天中止)や、関連ステージセッション10件を実施しました。出展者同士によるフレンドシップツアーや、ウェルネス関係企業によるリレーションシップツアーなど、一般市民向け以外にも、健康関連の取組を行う関係者同士の交流促進に取り組みました。

    メディア向けツアーも実施したことにより、イベント全体で6社以上の取材があり、オープニングセレモニーを中心に報道され、認知度向上につながりました。

    来場者数は全体で16,477人となり、多くの市民や来訪者に情報を届けられたことに加え、出展した企業・団体・大学の満足度も高く、次年度以降に向けて、改善しながら拡充して実施する方向性で検討しています。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    オフィスワーカーに働きかけるにあたり、会場に来場する/企画に参加するといった行動を起こすほどのインパクトを与えるためには、新技術やサービスなど、更なるリソースの集積に加え、戦略的な広報が必要であり、今回の経験を踏まえた改善が必要と考えています。

    今回は実績がなく、参画企業を集めることに苦戦したため、出展効果など、企業に対する具体的なメリットを整理しながら、民間企業の投資に見合う枠組みにしていく必要があります。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    主催者である札幌市としては、幅広い多くの市民に、健康行動のきっかけづくりとしてアプローチできる有効な手段の一つになったことに加え、企業や大学などの関係主体とのネットワークの構築、健康タイプ診断などの新たな取組の試行実施の場として有効と捉えています。

    出展者である企業・大学にとっても、自社製品・サービスに対するマーケット調査や顧客獲得に加え、市民に相対する経験として人材育成などの効果がありました。

    今後の展開

    今年度の経験や課題を生かしながら、「NoMaps WELLNESS」を継続して共催し、より効果的な取組として育てていきます。事業を実施する中で、16,000人超の市民や十数社の企業が集まる注目のイベントを若手研究者や学生などの発信や交流の場に活用できれば、北海道・札幌のウェルネス分野の次世代を担う人材の育成につながると感じたため、次回はこの点を意識した企画を検討したいと考えている。

    また、この取組を通じて企業や大学とのネットワークも拡充したことから、「NoMaps WELLNESS」以外の取組の充実も図っていきます。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    道内唯一の政令指定都市として、道内の他の市町村とは異なる役割が求められますので、全国と比べても優位性の持てるプラットフォームとして充実させ、周辺自治体などの施策と連動することで、より波及効果の高い取組が展開できると考えます。

  • 留寿都村

    2023年度選定事業

    イエバエを活用した豚糞の有機肥料化とタンパク餌料化の実証事業(MUSCAシステム)

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    2023年度選定事業

    留寿都村

    事業費
    600万円
    寄付額
    420万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    イエバエを活用した豚糞の有機肥料化と
    タンパク餌料化の実証事業(MUSCAシステム)

    MUSCAシステムは、昆虫(イエバエ)を利活用し、家畜排泄物に代表される様々な有機廃棄物を、僅か一週間で有機肥料と昆虫タンパク餌料に再資源化(アップサイクル)する技術で、農林水産省が「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」として認定しています。今回、当村においてMUSCAシステム適用の可能性を調査し、検証試験を行うとともにその波及効果をより高めるための方策を検討します。

    1. MUSCAシステムによる当村内の豚糞の再資源化(肥料及び餌料化)試験
      当村内の2大養豚場の1つであるルスツ羊蹄ファーム㈱の豚糞処理にMUSCAシステムを適用し、最適な処理条件と併せ、肥料及び餌料が安定的に生成されることの検証と試験を行います。具体的な目標は、豚糞処理量の30%の有機肥料と3%の昆虫タンパク餌料(乾燥粉末ベース)が、一週間で安定的に生成されることとします。
    2. 生成される有機肥料及び昆虫タンパク餌料の安全性と品質に関する調査
      MUSCAシステムで生産される有機肥料は、ルスツエリアのみならず、道内における減化学肥料の取組を行っている農業者の協力を得て品質評価を行うとともに、養豚用の飼料作物(小麦他)の生産可能性も調査します。
    3. 寒冷・多雪地対応型MUSCAシステム(プラント)に関する検討
      寒冷・多雪地における実証プラントに求められる仕様とコストを、パイロットプラント(豚糞を日量1トン処理、宮崎県に立地予定)をベースに検討します。実証実験の結果、豚糞の処理と有機肥料の製造が可能ということになれば、将来的にはルスツ羊蹄ファーム所有農場内にプラントを建設して運用することも検討しています。
    4. 地域活性化と温暖化防止効果に関する基礎調査
      豚糞→【MUSCAシステム】→有機肥料→飼料生産 の循環構図を中心に、当村エリアの活性化につながる方策を検討します。具体例として、年間5千トン規模の有機肥料生産拠点の創出、豚肉・野菜加工品工場(セントラルキッチン)建設による観光業との連携、アスパラガスなど他農産品への波及、農産物残渣処理費用の節減、一般生活ごみ処理の迅速化などが考えられます。
      さらに、循環構図の確立に伴い温暖化防止効果の定量分析ができるのか(効果を試算できる機関があるのか)、Jクレジット創出につながるのかについて調査します。
    イエバエ処理による外観の変化
    検証で生産された飼料及び肥料

    現在の進捗状況

    1. 「MUSUCAシステムによる当村内の豚糞の資源化試験」については、ルスツ羊蹄ファームで発生する豚糞(肥育豚舎と繁殖豚舎より排出される2種類)に対して、MUSCAシステムによる処理の可否試験(500g小トレイ試験、7~8月3回、MUSCA宮崎ラボにて実施))を実施したところ、システムの適用が充分可能であることを確認しました。また、豚舎により物性の異なる豚糞の配合比率を検証することで、副資材の外部調達を必要としない自社農場完結型の経済合理的な処理の可能性を見出すことができました。
    2. 「生成される有機肥料及び昆虫タンパク餌料の安全性と品質に関する調査」については、北海道大学北方フィールド科学センター七飯淡水実験所と意見交換を行い、餌料サンプルを提供すれば各種サーモンの育成試験を実施できることを確認しました。
    3. 「地域活性化と温暖化防止効果に関する基礎調査」については、MUSCAシステムとJクレジットの可能性について、JAようていに対する説明会を実施しました。その結果、JAようていから、来年度以降のMUSCA肥料の圃場実験に関する協力や、JAの選果場等から排出される農業未利用資源の非公開データの提供、Jクレジットへの理解等を得ることができました。  

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    養豚場内の排泄物処理設備の一部に不具合が発生し(マグナムポンプの不具合により、豚舎間の糞尿分離が不完全な状態となり)豚糞の正常な物性把握がやや遅れました。現行の処理設備はしばしば不具合が起きており、MUSCAシステムにおいても現場の過酷な環境に対応できる頑強なシステムが求められることを痛感しました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    当村の就業者の約3割を占める農林業者が組織するJAようていと複数回の面談および説明会をもち、MUSUCAシステムを説明してきました。堆肥化するには一般的に3~6ヵ月かかる作業が1週間と短期間で有機肥料化が可能である事、豚糞処理による異臭を抑制できる事、通常の堆肥化よりメタンの発生が大幅に節減される事に関心を持って頂きました。

    国は「みどりの食料システム戦略」において、MUSCAシステムを化学肥料の低減や温室効果ガスの低減対策に適したシステムと評価しています。

    今後の展開

    現時点での2024年度事業の進展状況から判断すると、「ルスツみどりの食料システム」の創出に向けたMUSCAシステムの実証プラント等が必要になります。そのため、2025年度はさらに踏み込んだ事業(2024年度事業の継続と深化)が必要と判断いたします。

  • 日高町

    2023年度選定事業

    身近な草花を見てみよう!調べてみよう!自然観察キットと図書の貸出事業

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    2023年度選定事業

    日高町

    事業費
    52万円
    寄付額
    52万円
    寄付企業
    エア・ウォーター・ライフサポート株式会社

    身近な草花を見てみよう!調べてみよう!
    自然観察キットと図書の貸出事業

    1. 自然観察用の道具を持ち運びのできる箱に入れ、希望者・団体に貸出する事業(20セット)
      超観察ルーペ、ハンディ顕微鏡ZOOM、ハンディ顕微鏡DX、充電池を「ハコットトランク」に納める
    2. 顕微鏡の使い方をレクチャーする事業
    3. 図書館の周りの植物観察会の実施(年3回程度)
    4. 自然環境に関する図書の約100冊の購入・貸出。
      図書館での個人貸出のほか、学校の学級単位での団体貸出も想定しています。身近な自然や地球環境に興味を持ってもらえるような図書で、発行年が2018年以降の比較的新しいものを中心に選定します。

    現在の進捗状況

    図書館のまわりの植物観察会(みちくさかんさつ会)を実施

    • 実施日と参加者数(2024年度)
      6月20日 2名、7月13日 4名、9月14日 5名、10月13日 6名
    • 内容
      図書館のまわりを歩いて植物を観察し、採取した植物を図書館内で顕微鏡やルーペで観察する。参加者は観察キットを4週間借りられる。
    • 展示
      購入済みの図書(約20万円分91冊)を図書館カウンター前で展示。観察キット体験コーナーを設置。布・印刷物・塩等を顕微鏡等で観察できる。

    事業を実施するのに課題・問題になっていることや
    実施するにあたり苦労した点

    課題

    • 参加者数を増やすことと、内容の充実のバランスが難しい。顕微鏡の使い方を教えるためには少数の方が良いため、当面は参加者数を無理に増やさず、少人数で定期的に実施したい。
    • 撮影する機材がなく、担当者個人のスマートフォンを使用している。担当者は講師の補助についているため、良いタイミングで撮影ができない。撮影のための人員と撮影機材が必要だった。(GoProのような手振れ補正機能付きで動画が撮影できるものが望ましい。)
    • 観察に時間がかかるため、本を紹介する時間を組み込むことが難しい。

    苦労した点

    • 物品の管理のため観察キットに図書館名をテプラで貼るのが、ちいさなパーツがたくさんあるため案外時間がかかりました。

    事業を実施した効果、住民などの反応

    • 参加した小学生が、借りた観察キットを使って夏休みの自由研究をしたそうです。
    • 2024年9月の観察会ではツユクサの葉の気孔を顕微鏡で観察しました。
    • 参加した小学生・講師とも、簡易な顕微鏡で気孔のような肉眼では見えないものを観察できることに驚いていました。
    • ルーペの使い勝手が良く、当館の学芸員によると石器の剥離面等を観察するのにも使えるとのことでした。

    今後の展開

    • 冬期間は屋内で観察できるもの(新札等)や、可能であれば雪の結晶の観察会を実施したいです。
    • 学芸員と協力し、郷土資料館の収蔵物を観察するイベントにも観察キットが利用できそうです。
    • 学校と協力した顕微鏡体験イベントも今後実施したいです。
    • 2025年度は本と観察キットを関連付けた取り組みも実施します。

    この事業を他の市町村でも実施してほしい

    • 実施してほしいと思います。物品を個人へ貸出できる仕組みを図書館は持っています。
    • 雑草に関する優れた図書が近年多数発行されているため、図書と関連付けた展開が可能です。
    • ハンディタイプの顕微鏡は設置の手間がかからず、気軽に身近なものを観察できます。
    • 子どもも大人も知的好奇心を刺激される観察キットをぜひみなさんに体験していただきたいです。

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事務局:エア・ウォーター北海道株式会社 事業企画部内 地域応援室